――自ら執筆し、編集にもあたった「ナチス映画論」で近年のナチス関連映画の状況を「雨後の筍の如く」「インフレ」と評しています。なぜナチス関連映画が近年たくさん作られているのでしょう。 テーマとして見たときに、ナチスというのは「悪役」として、安心して使えるいわば楽な素材です。現在進行形で起こっている世界の独裁や虐殺は慎重な扱いが必要ですが、ナチスにそうした配慮は必要はありません。また映像的な魅力もあります。壮大な式典や行進、スタイリッシュな制服、大げさな身ぶり手ぶりなど「見栄え」する要素に満ちているからです。政治的、社会的作品だけでなく、コメディーやホラー、時にはポルノでも描かれるのは、その娯楽としての使用価値の高さが影響しているでしょう。 ――そもそも、ナチス関連映画はいつごろから流行しているのでしょう。 少し、歴史を長いスパンで見てみましょう。実はナチス絡みの映画はずっと作られているんです