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ブックマーク / globe.asahi.com (39)

  • ナチス関連映画の人気はなぜ衰えない?歴史的作品やスピルバーグ監督作品から読み解く:朝日新聞GLOBE+

    ――自ら執筆し、編集にもあたった「ナチス映画論」で近年のナチス関連映画の状況を「雨後の筍の如く」「インフレ」と評しています。なぜナチス関連映画が近年たくさん作られているのでしょう。 テーマとして見たときに、ナチスというのは「悪役」として、安心して使えるいわば楽な素材です。現在進行形で起こっている世界の独裁や虐殺は慎重な扱いが必要ですが、ナチスにそうした配慮は必要はありません。また映像的な魅力もあります。壮大な式典や行進、スタイリッシュな制服、大げさな身ぶり手ぶりなど「見栄え」する要素に満ちているからです。政治的、社会的作品だけでなく、コメディーやホラー、時にはポルノでも描かれるのは、その娯楽としての使用価値の高さが影響しているでしょう。 ――そもそも、ナチス関連映画はいつごろから流行しているのでしょう。 少し、歴史を長いスパンで見てみましょう。実はナチス絡みの映画はずっと作られているんです

    ナチス関連映画の人気はなぜ衰えない?歴史的作品やスピルバーグ監督作品から読み解く:朝日新聞GLOBE+
  • 消えた仁王像 出雲の「村の宝」がオランダで展示の謎 数奇な運命がむすんだ人々の縁:朝日新聞GLOBE+

    アムステルダム国立美術館のアジア館に展示されている仁王像。その故郷は島根県仁多郡奥出雲町にある岩屋寺だ=2023年6月、筆者撮影 ヨーロッパ唯一の仁王像は、アジア館の目玉 アジア館地下ギャラリーの一番奥で、静かににらみをきかせて来館者を待ち受ける阿形像と吽形像は、身の丈2メートル37センチの木像だ。 美術館によれば、作者は不明で14世紀に造られたものらしい。阿形像の後頭部内側にある墨書から、すでに廃寺となった島根県仁多郡奥出雲町にある岩屋寺(いわやじ)にあったものと判明している。 そして、この墨書と岩屋寺の古文書から、運慶や快慶を生んだ「慶派」の仏師康秀(こうしゅう)が像の修復を行っていたこともわかった。日の古美術は、出所を明かさずに売買されることが多いらしく、このように詳細が明らかになることは珍しい。 2004年、アジア館のチーフキュレーター、メノー・フィツキさんは、京都の古美術商でこ

    消えた仁王像 出雲の「村の宝」がオランダで展示の謎 数奇な運命がむすんだ人々の縁:朝日新聞GLOBE+
  • ソ連は娯楽少なく…声優ジェーニャ「アニメは二つ。チェブラーシカとヌー・パガジー」:朝日新聞GLOBE+

    ソ連が崩壊してから12月25日で30年になる。史上初の社会主義超大国としてアメリカと世界を二分し、冷戦を繰り広げたが、経済の悪化や、政権弱体化を招いたゴルバチョフ氏の改革などにより、1991年に消滅した。 物不足、厳しい情報統制…そんなイメージが強いソ連だが、実際はどうだったのか。1980年代末から崩壊までのソ連で子ども時代をすごし、現在は日で声優として活躍しているジェーニャさんに「私が生きたソ連」を語ってもらった。 ソ連の記憶について語る声優のジェーニャさん ――ソ連での暮らしぶりを教えて下さい。 私はシベリアのノボシビリスクという都市で生まれたんですけど、父が軍人だった関係でリャザンやゴーリキー(現在のニジニノブゴロド)など転々としていました。 ものは少なかったですね。それはあとから分かったことで、当時は普通だと思っていました。商店に行っても、陳列棚が空っぽの記憶しか残っていません。

    ソ連は娯楽少なく…声優ジェーニャ「アニメは二つ。チェブラーシカとヌー・パガジー」:朝日新聞GLOBE+
  • ルーブル美術館始まって以来、大引っ越しプロジェクトが動き出した:朝日新聞GLOBE+

    フランス北部のリエバンにあるルーブル保存センターで下調べを受ける16世紀のイタリア人画家ジュリオ・ロマーノの作品=2021年2月9日、Dmitry Kostyukov/©2021 The New York Times。ルーブル美術館は、ここが欧州最大の美術の研究センターになることを目指している

    ルーブル美術館始まって以来、大引っ越しプロジェクトが動き出した:朝日新聞GLOBE+
  • 世界で翻訳が急増 K-POPの次は「K文学」だ:朝日新聞GLOBE+

    ■アジア人初のブッカー国際賞 「日の読者にこのようにお目にかかれることになって、とてもうれしく思います。日は私のが最も多く翻訳されている国でもあるんです」 昨年11月、作家ハン・ガンさんがオンラインイベント「K-BOOKフェスティバル」に出演した。2005年に韓国の芥川賞と称される「イ・サン文学賞」を受賞。突然肉をべなくなった女性と家族を描く小説『菜主義者』で16年、世界で最も権威ある文学賞の一つ、英国のブッカー賞の翻訳部門にあたるブッカー国際賞をアジア人で初めて受賞した。韓国を代表する女性作家で、ノーベル文学賞候補とも目される。 ハンさんが出演したコーナーでは、芥川賞作家の平野啓一郎さんが特別出演。「ハンさんのことはすごく尊敬していて、今日はお目にかかれてうれしいです」と敬意を示し、文学談議をかわした。 世界で最も権威ある文学賞の一つ、英国のブッカー賞の翻訳部門にあたるブッカー

    世界で翻訳が急増 K-POPの次は「K文学」だ:朝日新聞GLOBE+
  • 中村哲先生の思いは、私たちが受け継ぐ 日本で学んだアフガニスタン人留学生が帰国:朝日新聞GLOBE+

    東京農業大学の博士課程を終え、証書を手にするグラブ・グルブディン=2020年3月20日、人提供 3月20日、晴天が広がった東京農業大学のキャンパス。グラブ・グルブディン(32)は、四角い帽子と黒いガウンに身を包み、博士課程の修了証書を握りしめていた。「アフガニスタン、日の両国に感謝したい」 昨年12月、中村がアフガニスタンで凶弾に倒れた直後、日にいる留学生仲間らとフェイスブックなどで連絡を取り合い、中村の遺体が日に戻る日に成田空港に駆けつけたのが、グルブディンだった。 グルブディンは、中村の活動拠点で、殺害現場となったアフガニスタン東部ジャララバードで生まれ育った。地元のナンガルハル大学で農業を勉強していた2006年ごろ、中村が進めていた用水路の工事現場で中村と出会う。そのとき、中村が一人の「労働者」として働く姿に心を打たれ、日行きの背中を押された。 「日人の勤勉さと誠実さを目

    中村哲先生の思いは、私たちが受け継ぐ 日本で学んだアフガニスタン人留学生が帰国:朝日新聞GLOBE+
  • ブレイディみかこ「多様性はややこしい。でも楽ばかりしてると無知になる」:朝日新聞GLOBE+

    ■「元・最底辺校」で起きるドタバタ ――一気に読みました。英国社会の荒廃を無料託児所などの光景から浮き彫りにしたルポや、政府の緊縮財政の愚を指弾する時評とは、ずいぶん雰囲気が違う気がします。 そうかもしれません。英国で周囲にいる人々や出会った人々を観察して書くのでなく、いままさに私自身の現場である子育ての日々を、初めて書いたノンフィクションなんです。 ロンドンの南、ブライトンという海辺の町で息子が通う公立中は、貧しい白人の子どもが多く、少し前まで学力的に最底辺校と呼ばれていたところです。それが音楽とか演劇とか、生徒がやりたいことをのびのびやらせるユニークな改革を重ね、生徒たちの素行も改善され、学力も上がってきた。 とはいえ、トラブルは日常茶飯事。移民問題や貧困問題が背景にあります。そこで起きる出来事をちりばめながら、思春期の息子と私たち夫婦のホームドラマの要素も入っているので、マイルドな印

    ブレイディみかこ「多様性はややこしい。でも楽ばかりしてると無知になる」:朝日新聞GLOBE+
  • 映画「マルモイ」が描く 禁じられた朝鮮語の辞書作り:朝日新聞GLOBE+

    ちょうど1年前、韓国で「マルモイ」という映画が公開された。昨年は3・1独立運動100周年の年だった。日統治下の朝鮮で起こった民族独立運動だ。映画「マルモイ」には、朝鮮語の使用が禁じられ、日語の使用を強要された1940年代、朝鮮語の辞書を作ろうとした人たちが描かれている。民族の根ともいえる朝鮮語を守り、後世に残すこともまた一つの独立運動だった。 日では今年春ごろ、「マルモイ ことばあつめ」というタイトルで公開予定だ。韓国語で「マル」は言葉、「モイ」は集めることを意味する。 日でも、辞書作りを描いた映画といえば「舟を編む」(2013)がある。三浦しをんの同名小説が原作だ。その地味で膨大な作業に圧倒され、辞書を作ってくれた先人たちに畏敬の念を抱いた。ただ、「マルモイ」はその地味で膨大な作業が、さらにとても危険だったという違いがある。 映画「マルモイ」のポスター=ロッテエンターテインメン

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  • 日本アニメは世界の潮流から外れている 片渕須直監督が本気で心配する、その将来:朝日新聞GLOBE+

    【関連記事】世界で急成長の日アニメ、海外勢が猛追 輝き続けるカギは? 片渕監督の眼 【関連記事】なぜ日アニメは世界で愛される ディズニーとは対極の「ガラパゴスの力」 ――日のアニメには、見ている人が自分自身の人生と重ねて入り込める、共有できるストーリーが多いと、海外のアニメファンの多くが言っていた。だからこそ、国籍に関係なく、様々な国で受け入れられるのではないでしょうか。 えっとね、違うかもしれないんだけども、ある意味、日のアニメーションがティーンエージャーより上の世代に向けて特化していった、対象年齢を特化していった結果だと思うんですよ。例えば、ピクサーなどはまだ子供のために見せるという使命が残っていますよね。日はもうないですよ。 それはね、逆に言うと、そこが穴場なんです。「我々の世代に向けて語ってくれるメディアってない」と、ティーンエージャーや20代前半の人が思うわけです。とこ

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  • 工事現場看板の「オジギビト」、実は名前があった 上目遣いの笑顔にも理由が:朝日新聞GLOBE+

    ■創業者は映画看板のデザイナーだった ネットで検索すると、つくり主はすぐにわかった。東京都板橋区にある「つくし工房」。安全標識をはじめとする安全用品や安全工事看板の会社だ。前回の東京五輪が開催された1964年に創業。まもなく、この男の子の「初代」が誕生しているようだ。名前は「つくし坊や」。社に伺い、2代目の社長の星野照生さんにお話を聞いた。 「つくし坊やを考えたのは、創業者で先代社長の草刈武雄です。もともとはデザイナーとして、映画配給会社の松竹宣伝部で映画看板の元絵を描いていたんです」。安全用品の会社の創業者がデザイナーさんだったというのは、驚きだ。 「当時は東京五輪があって、これから格的な高度成長にかじを切ろうという頃でしょう。日中が掘り返されているといった状態ですね。掘り出した土が山のようになっていたり、水道管を引くために地面にずっと穴が開いていたりと、通りがかりの人にとって危険

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  • 「迷惑だ」と言いつつ「なぜ」を考えない 日本人、思考停止していませんか:朝日新聞GLOBE+

    ■迷惑かけない子、が夢ですか 23歳で日に来てすぐのころ。子どもが生まれたばかりの人が、「どんな子に育ってほしいですか」と聞かれて、「好きなことを自由にやったらいいけど、ひとさまに迷惑だけはかけないような子になってほしい」と答えているのを聞いて、びっくりしたんです。「迷惑をかけない子」って一体どんな子だろう……。バンドとか大きな音を立てるようなことをしない子? それとも地球を汚さないように地球環境に気を配る子? うーん。そもそも、それって親が抱く子どもへの夢なのかな? と、まじめに考え込んでしまいました。 ほかに不思議だなあと思ったのは、ワイドショーなどで見る有名人の謝罪会見でした。女性への暴力など大変深刻な事件を起こした人が、謝罪会見で「みなさまにご迷惑をおかけしました」と言うのが不思議でした。謝罪するべき相手は被害者やその家族であって、視聴者にもマスコミにも、まったく迷惑はかかってい

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  • 1世紀かけても終わらない ラテン語辞典づくりに生涯をかける人たち:朝日新聞GLOBE+

    ラテン語辞典TLLの資料庫と編集責任者のミヒャエル・ヒッレン=2019年11月22日、ドイツ・バイエルン州の州都ミュンヘンにあるバイエルン科学アカデミー、Gordon Welters/©2019 The New York Times

    1世紀かけても終わらない ラテン語辞典づくりに生涯をかける人たち:朝日新聞GLOBE+
  • 「通じない」に意味がある 語学を学ぶ大学生、多言語劇を演じて伝えたかったこと:朝日新聞GLOBE+

    外語大には日語以外に27言語の専攻語がある。外語祭では、1年生は学んでいる言語地域の料理や飲み物を出す「料理店」、2年生はその言語を使った「語劇」をやるのが伝統だ。外語祭実行委員会によると、多言語劇は主に3、4年生の有志によるもので、今年は「多言語有志語劇」「アジア有志語劇」の2団体が上演するという。こうした取り組みはすでに何年も前からやっているそうだが、いつ始まったのか詳細は不明ということだった。 まず、外語祭前に「多言語有志」の練習をのぞいてみた。日語、スペイン語、ドイツ語英語中国語……聞いていてなんとなくわかったのは5言語。想像通り、役者たちがそれぞれ違う言語でセリフを言っている。そのほかに、チェコ語、ノルウェー語、沖縄語、ペルシャ語、韓国語、ポルトガル語、マレー語、の全12言語が使われていた。 「多言語有志語劇」の練習風景 「これまでの多言語劇は、それぞれが自分の専攻言語で

    「通じない」に意味がある 語学を学ぶ大学生、多言語劇を演じて伝えたかったこと:朝日新聞GLOBE+
  • 人間が深層学習のAIを理解できないのには、理由がある:朝日新聞GLOBE+

    【特集】「『予測』という名の欲望」全記事はこちらから読めます ■人間にはAIの考えが分からない? ――ディープラーニングは、大量の「教師データ」を読み込み、入力する変数と、出力する変数との間の関係を見つけ出します。その関係が分かれば、新たなデータを入力したとき、出力が予測できるというわけですが、なぜ人間はそのプロセスを理解できないのでしょうか? おもにふたつの要因があります。質的なものと、量的なものです。量的な問題は、すごくシンプルです。ディープラーニングの内部で動くパラメータ(母数:システムの内部で動く情報)が多すぎるので、その大量・複雑なデータを人間の直感につなげることが難しい、という話です。最近は、多いものでは1億個を超えるパラメータから出力を予測します。じゃあ、その1億個をざっと人間が見てなにか分かるのかといえば、分からない。これが基的に起こることです。 ――大量の変数という意味

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  • GHQだけではなかった「漢字廃止論」 いま、漢字を使い続ける意味を考える:朝日新聞GLOBE+

    京都・祇園にある八坂神社の周辺は、着物姿の女性が目立つ。派手な柄の着物はレンタルショップで借りる人が多く、中国からの観光客が特に多いのだという。 その八坂神社のそばに「漢字ミュージアム」(漢検漢字博物館・図書館)がある。年200万人以上が受験する「漢検」の日漢字能力検定協会が、2016年に開設した。2階建ての館内を歩くと、漢字やひらがな、カタカナがどうやって使われるように至ったのか、その歴史がすっと頭に入ってくる。 見学して特に興味深かったのは、日を占領したGHQ(連合国軍総司令部)が、漢字を廃止しようとした経緯である。GHQの要請で米国から派遣された「アメリカ教育使節団」(大学の学長、教授、教育行政官ら27人)は、日語をローマ字表記にして、漢字習得にかける勉強時間を外国語や数学の学習にあてるべきだと考えた。1946年に「アメリカ教育使節団報告書」を発表している。(邦訳は講談社学術文

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  • 男女平等? ならば取り組むべきは「生理」だ 16歳の挑戦、世界に広がった:朝日新聞GLOBE+

    彼女は米ニューヨーク出身。父が日人、母が台湾人だ。父母が離婚して、母親と2人の妹とともに西海岸のオレゴン州ポートランドに移ってきた。16歳の時、母が失業してアパートを追い出され、知人の家やシェルターを転々とする生活に。 そこで、以前から学校の通学途中のバス停留所で見かけて気になっていたホームレス女性に話しかけてみた。 よくそんなことをしましたね、というと彼女はさらっと「だって私の母は誰にも偏見をもたないように、って私を育てたから。それにNYだと、誰かとすれ違う時にハローって言っても無視されることが多いけど、ポートランドはみんなすごくフレンドリーだし」。 彼女はホームレス女性にたずねた。「何に一番困りますか?」――答えは、「生理」(period)だった。興味を持った彼女は次から次へとたずねてみたが、圧倒的に多い答えはやはり「生理」。お金がなくて生理用品が買えない。だが恥ずかしくてシェルター

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  • 古民家はこんなにカラフルになれる ドイツ人建築デザイナーが蘇らせた家と集落:朝日新聞GLOBE+

    古民家を再生した自宅「双鶴庵(そうかくあん)」でくつろぐ。自慢のひとつが、昔のままに残した太いはりだ=新潟県十日町市竹所 会社の事務所が入る「まつだいカールベンクスハウス」(右)と旧街道沿いの街並み=新潟県十日町市松代、大室一也撮影 「以前は竹所には魅力がないと思って、集落の名を言うのも恥ずかしかった。隣の集落も全員出て行き、どうしようかと同世代で話していた」。元区長五十嵐富夫(67)は振り返る。来た当初は「豪雪地だからじきにいなくなる」とも言われていたベンクスが、この春から区長をつとめる。 東西冷戦下の東ドイツに育ったベンクスが、竹所に根を下ろすまでには、長い道のりがある。19歳になる1961年8月のある夜、東ベルリンで内装の仕事をしていたベンクスは、東西の境を流れていたシュプレー川に飛び込んだ。まだ東西間の往来は可能だったが、亡命者が相次ぎ、東ドイツ当局が規制を始めていた。「今行かない

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  • 公園を埋め、そして消えたイラン人 あの波は日本に何をもたらしたか:朝日新聞GLOBE+

    代々木公園の入り口は、多くのイラン人でごった返していた=西山毅・写真/文 「東京のキャバブのけむり」(ポット出版発行、径書房発売)より ■欧州に渡った 2人の明暗 2001年秋から04年春までテヘランで暮らした私にとって、イラン人は親日家という印象が強い。だれもがテレビドラマ「おしん」(*1)を知っているし、「ヒロシマ」を口にする。 (*1)1983年~84年に放映されたNHKの朝ドラ。戦中、戦後の混乱期を生きる女性を描いた。イランではイラクとの戦争中に放送されて共感を呼び、放送中は街から人影が消えるほどの人気に。 それだけに、1990年代初めに起きたことが心のどこかにつかえていた。当時、メディアは「公園がイラン人に占拠された」とセンセーショナルに報じた。変造テレホンカード(*2)や薬物取引など犯罪がらみの報道ばかり目立った。 (*2)公衆電話用のプリペイドカード。国際電話ができるカード式

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  • 「ナイルの賜物」今は昔 塩害に苦しむエジプト文明の地:朝日新聞GLOBE+

    ナイル川の最下流域にあたる、エジプトの地中海に近い地域。土の塩分濃度が高すぎて農業ができず、養魚場に変えられていた=高橋友佳理撮影 ナイル川の最下流域カフルシェイク県。首都カイロから北へ車で4時間以上かかる。ナイル川の支流を使った運河の終点に行くと、底を掘り返して盛った土手が白いもので覆われていた。塩だ。 エジプトのような乾燥地では、雨がほとんど降らない。農業用水や地下水には塩分が溶け込んでいるので、灌漑した農地の地表からの蒸発量が多いと、塩を残してしまう。しかも、ここのようなナイルデルタの下流では、水量が作物栽培に十分でない。農地からの排水を農業用水に再利用するうちに、さらに塩分濃度が高まる。 小麦やサトウキビを育てる畑の脇に、白い塩が見える土が積まれていた。なめてみようかと思ったが、ゴミや化学肥料がまざっていることを考え手が止まった。 ナイル川の最下流域では、農地の脇に塩が浮き出て固ま

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  • 中国で消えた時刻表が日本で生き続けるわけは? 鉄路10万キロを読む:朝日新聞GLOBE+

    俯瞰する楽しみ 刻む歴史 つなぐテツ愛 日語で書かれた「中国鉄道時刻表」を発行するのは、中国鉄道時刻研究会。中心となるのは、団体職員の何玏(か・ろく)さん(27)と会社員のtwinrailさん=ハンドルネーム=(26)。ふたりは東京大学工学部時代に知り合う。それぞれ大学院でも、交通にかかわる社会基盤の整備を専攻した。どちらかといえば「乗り鉄」の何さんと「撮り鉄」のtwinrailさん。「雄大で魅力あふれる中国の鉄道を多くの人に楽しんでほしい」。2013年に研究会を結成し、仲間を募って時刻表の刊行を始めた。14年夏号を皮切りに、これまで4刊を編んで販売している。 中国鉄道時刻研究会を主宰する何玏(か・ろく)さん(左)とtwinrailさん(右)。東京大学工学部時代からの友人。2013年に研究会を立ち上げた=2019年4月7日、東京都豊島区西池袋、吉岡桂子撮影 最新刊の2018ー19冬号は全

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