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ブックマーク / blog.ihatovo.com (9)

  • 古酒 - 科学と生活のイーハトーヴ

    細胞を培養しているクリーンルームには、タンクに大量の70%エタノールを入れて置いてある。 作業する場所や手を消毒するのに、しょっちゅう使うからだ。 この前から、このエタノールで手を消毒した後、しばらくすると、その手からなにやら酸っぱいにおいがしてくることに気づいた。 たいへん気持ちわるい。 しかし、70%のエタノールというのは、腐るものだろうか。 僻地にサンプル採集に行く人たちは、固定液がないときに、虫とか魚とかを焼酎やウォッカといった強いお酒に漬けて持ってかえるという。 (放射線生物学研究室のNさん談) 腐るはずがない。 4年生のEくんの手にも、問題のエタノールを吹きかけて、 「ほら、くさいでしょ」 とにおいをかがせたら、やはり酸っぱいにおいがするという。 うーむ、と悩んでいたら、助手のMさんが、いとも簡単に答を出した。 「酢酸になってるんじゃないの?」 C2H5OH(エタノール)が酸化

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  • 南方熊楠展@国立科学博物館に行ってきた - 科学と生活のイーハトーヴ

    南方熊楠生誕150周年記念企画展「南方熊楠-100年早かった智の人-」(2017年12月19日(木) ~2018年3月4日(日))- 国立科学博物館 熊楠といえば、とてつもなく博識の博物学者で民俗学者で、そしてそのふるまいも破天荒で、なんだかすごい人。 水木しげるさんの『楠』の、あの強烈な「熊あん」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか。 楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫) 作者: 水木しげる 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2015/03/19 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る とはいえ、どうにもすごすぎて、その全体像をとらえきれないのも熊楠です。 今、上野の国立科学博物館で行われている熊楠展では、彼がどうやってその膨大な「智」を集積し、組み立て、発信していったのか、という点から、熊楠の人生と業績を見直す試みをしています。 熊楠

    南方熊楠展@国立科学博物館に行ってきた - 科学と生活のイーハトーヴ
  • ここのところ気に入っている台所道具 - 科学と生活のイーハトーヴ

    料理クラスタの方には「今さらかよ!」というものばかりなのですが、自分で使ってみて感動したのでご報告です。 おひつ 夫の帰りが遅いので、ご飯は炊飯器で炊いてそのまま保温しておくというやり方が定着していたのですが、保温したままのご飯はどうしてもおいしくない。 炊飯器もだいぶ古くなって、ほんの数十分の保温でも味が落ちてしまう。 鍋炊きご飯はとてもおいしいけれども、そのままおいとくと、カピカピでべちゃっとした感じに。 「炊きたてご飯はすぐおひつに移すとおいしさを保つことができる」という話はよく聞きます。 でも、おひつ……おひつなあ……。洗い物増えるのは手間だなあ……。木でできたものはメンテナンスがさらにめんどうそうだなあ……。 と思いつつ調べていたところ、なんとセラミックのおひつというものがあるじゃありませんか! ご飯を入れたまま冷蔵庫で保存できるし、レンジで加熱もできる。 おそらく食洗機も大丈夫

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  • 『花子とアン』の時代の翻訳にまつわる著作権事情 » 科学と生活のイーハトーヴ

    もらったを気楽に翻訳して出版する花子、それでよかったの? NHKで放映中の朝の連続テレビ小説『花子とアン』は、タイトルのとおり、『赤毛のアン』の翻訳者として知られる村岡花子氏の生涯を題材としたドラマです。 先週、ついに花子が『赤毛のアン』の原書である『Anne of Green Gables』と運命の出会いを果たし、ドラマもクライマックスが近づいてきました。 このドラマでは、花子がいろいろな人から英語を手渡され、その魅力を日の子供たちに伝えようと翻訳に取り組むシーンがたびたび登場します。 後に義弟となる村岡郁也さんからは『The Prince and The Pauper』(『王子と乞』)を、そして女学校時代の恩師であるスコット先生からは、『Pollyanna Grows Up』(『パレアナの成長』(または『パレアナの青春』))と、『Anne of Green Gables

  • ニュースから原著論文を探す方法 » 科学と生活のイーハトーヴ

    サイエンス関連のニュース記事には、原著論文の紹介やリンクがないことが多いです。 しかし、もっと詳しい内容を知りたいときや、記事の内容に疑問をもったときなど、もとの論文を見ておきたいと思うこともあるかもしれません。 原著論文は、意外と簡単に探し出すことができます。いろんなやり方があると思いますが、私が原著論文を特定する方法をご紹介します。 (1)論文の掲載誌がわかっている場合 NatureとかScienceなどの有名な雑誌の場合、ニュース記事に雑誌の名前だけは掲載されていることがあります。この場合は、その雑誌のウェブサイトに行って、アーカイブ(過去記事のストック)からキーワード検索等で探すのが早いです。 (2)論文の掲載誌がわからない場合であって、日の研究者の場合 (2.1)研究者の所属機関のウェブサイトから、プレスリリースを探します。プレスリリースが出ている場合は、たいてい原

  • 子供が大きくなるということ | 科学と生活のイーハトーヴ

    この4月から、子供もついに年長さんになる。あと1年で小学生だ。 時が経つのが早いかといえば、そのようで、またそうでもないようで。いずれにしても、大きくなったなあと思うことが多い今日この頃。 子供が大きくなって嬉しいと思う気持ちの中には、色合いの違ったさまざまな「嬉しい」がある。 子供自身の力でできることが増えていき、自立していく様子を見るのが嬉しい。 自立とともに、自信を育てていっている様子を見るのが嬉しい。 子供が伝えてくれる考えや思いが、どんどん豊かになっていくのが嬉しい。それは、言葉や身体表現などの「伝える道具」が豊かになってきているためでもあるだろう。 親を説得するために、必死で屁理屈を考え出したりするのもおもしろい。子供の世界の広がりを横からのぞかせてもらって、わくわくするのが嬉しい。一緒にいろんな話ができるようになってきたことが嬉しい。 生まれてもうすぐ6年という

  • 科学と生活のイーハトーヴ » 書評:「科学は誰のものか~社会の側から問い直す」

    科学は誰のものか―社会の側から問い直す (生活人新書 328)posted with amazlet at 10.09.17平川 秀幸 日放送出版協会 売り上げランキング: 61164 Amazon.co.jp で詳細を見る 大阪大学の平川秀幸氏の新著。 なお、平川先生とは、以前からネット上でよくやりとりをさせていただき、一度はカラオケでその美声に聞き惚れる栄に浴したこともある(学問の話をしろよ>私)程度のつながりがあることを、あらかじめ表明しておく。 以下、私が感じた書の魅力と、疑問点・違和感にわけてご紹介していこう。 魅力 -単なる「教養じゃない!- 書は、平川氏のご専門である「科学技術社会論(STS)」の入門書だが、同時に読者にアウトプットをけしかける応用編でもある。 科学技術の専門家ではないひとたちを読者対象に、非専門家がどのように科学技術に手や口を出していくか

  • 21世紀型科学教育の創造ワークショップ | 科学と生活のイーハトーヴ

    というわけで、ひどい体調のまま、ゲストコメンテーターとして参加してまいりました「21世紀型科学教育の創造」ワークショップ@科学技術館。Wさん、お声がけありがとうございました。 今回は、「キャリアを拓く科学教育」というテーマでした。 午前中の基調講演3題は、どれも非常に示唆に富み、おもしろかったです。 特に、情報研の新井紀子先生のお話が素晴らしかった。(ほかのお二人が劣る、という訳ではありません) NetCommonsの開発者でもいらっしゃる新井先生は、実に聡明で、お綺麗で、すってき~☆な方なのですよ(集合写真でお隣に並んじゃったー♪)。 「どうして数学(算数)なんかやらなきゃいけないの?」という問いに対して、多くの教師が与えるだろう答え「論理的思考力を養うため」。 これに、まずツッコミを入れられました。 1.論理的に「読み解く」力(状況を正しく、もれなく読み取る。同等の異なる表現に置き換え

  • 科学と生活のイーハトーヴ » Blog Archive » 私が女性であるということ

    自分が女性であるということを強く意識しはじめたのは、結婚してから、正確には子供を妊娠してからでした。 それまでは、「自分は女性だから損をしている」「得をしている」と考えたことは一度もなく、すべては個人の努力次第で決まると考えていました。 子供を産むまでの経歴をざっと振り返ると、保育園→公立小学校→私立中高一貫女子校→東大東大大学院→ポスドク→一部上場品メーカー。 自分なりの悩みや紆余曲折はあったものの、世間的には「順調」な人生を送ってきたといえます。 だからこそ、というべきか、私はずっと、単純な「努力教」信者でした。 自分を支え、導いてくれた人たち(親、友人、先生方など)に感謝の気持ちはもっていたものの、はたしてそれが十分であったかどうか。 たまたまそういった人たちがそばにいて、好意を寄せてもらえたということ、多くのチャンスに恵まれたということを、自分にそれだけの価値があっ

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