引き続き藤村由香氏の『記紀万葉の謎』。方法論的にはいきなり万葉集・古事記ということなので異論はあるが、個々の事例は参考になるものが多い。P28から引用しておく。 「高知生まれの友人の話を聞いて驚いた。彼女は「じ」と「ぢ」を特別意識もせずに区別して発音しているという。「”おじいちゃん”はやっぱり、”おぢいちゃん”でなければダメなのよ」というのである。ひょっとして昔の人には「じ」と「ぢ」は明らかに違う音だったのかもしれないと思ってるのである」 だが、その次に「関係」も「くわんけい」と発声するようにと、子や孫に規範としての教育が行われていたという記述が出てきて、表題の「旧かなの音が聞こえる」という一般論の中に埋没してしまっていたのは残念。 この問題について家人からはっきり聞いたのは知り合って40年以上たってのことだった。そういうことが話題にならなかったし、生粋の土佐っ子は自認していても両親とも高