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ブックマーク / realsound.jp (386)

  • 本日休演はもう“京都のバンド”ではない 岩出拓十郎が明かす、レコーディングや歌への意識の変化

    「今、魅力的なロックをやるならここに到達しないといけない」というところに気づき、そこを見事に実践したアルバム。日休演の通算4作目となる『MOOD』は、そういう意味でも彼らの過去最高傑作であり、現代のロックアルバムの最高峰と言っていい。『MOOD』は全10曲を収録。リーダーの岩出拓十郎の鼻にかかった低く倦怠感のある歌とサイケデリック風味ある金属的でヨレたギターは初期から変わらない。だが、なぜここでこういう音が必要なのか、なぜこの曲にこのリフがのっかるのか、こうしたリズムはなぜそこに求められているのか……といった必然をしっかり理解した上で鳴らされている。偶発的にラフで荒削りな音が出たわけではなく、意識的にそれを作り上げただけでもなく、音そのものが意志を持ったように蠢いているというべきか。岩出のボーカルもギターも、有泉慧の何かを呟いているようなベースラインも、樋口拓美の重いのに乾いたドラムも、

    本日休演はもう“京都のバンド”ではない 岩出拓十郎が明かす、レコーディングや歌への意識の変化
  • ゆうさり「私の音楽は“わかりやすさ”とは別の場所にある」 独自の美意識を形成した音楽遍歴を辿る

    「ゆうさり」とは「夕方になること」あるいは「夕方」を意味する言葉である。その繊細でノスタルジックなイメージは確かに、(それが由来かは定かではないが)その名をアーティストネームに冠した2002年生まれ、埼玉在住のアーティスト・新川莉子によるソロプロジェクト「ゆうさり」の生み出す音楽にもしっくりくる。 ゆうさりの音楽は、お守りのような音楽である。握りしめたら大切な記憶を思い出したり、心がじんわりと切なく温かくなるような効能を持っている。訴えるのではなく、存在そのものが「大丈夫」と伝えているような音楽である。その音世界は部屋でひとりで聴くのも似合うが、むしろ散歩をしたり、移動をしたり、これから何か行動を起こそうというときに聴くのも似合うと思う。この音楽を握りしめれば、少なからず勇気のようなものが沸いてくるのを感じるからだ。それは彼女の音楽が、根底にアンビエントやフォークやドリームポップだけでなく

    ゆうさり「私の音楽は“わかりやすさ”とは別の場所にある」 独自の美意識を形成した音楽遍歴を辿る
  • フェス界隈で話題の謎多きバンド “幽体コミュニケーションズ” 固定概念に捉われないコラージュ的音楽の作り方

    京都の3人組バンド、幽体コミュニケーションズ。2019年に大学のサークル内で結成された彼らは、すでに『カクバリズムの文化祭』や『ナノボロフェスタ』、『りんご音楽祭』といったイベントに出演するなどして、話題を集めている。そのヒップホップ的なコラージュセンスに現代詩的な言語感覚、さらにフォーク的なアンビエンスまでも混ぜ合わせる幻惑的な音楽世界は、「在る」ことや「見る」ことといった一見シンプルな命や世界の在りようが、如何に複雑で広大な領域と共に成り立っているかを私たちに伝えようとしているようにも思える。人や街や世界は、「見えるもの」だけで成り立っているのではない、ということを。 先日配信された彼らの新曲「ユ」は、君島大空の透明なカオスと星野源のストレンジなポップセンスが合わさったような、立体的で多声的で、それでいて楽しくチャーミングな1曲である。このポップな1曲が、落語家・立川吉笑からのオファー

    フェス界隈で話題の謎多きバンド “幽体コミュニケーションズ” 固定概念に捉われないコラージュ的音楽の作り方
  • 『昭和ブギウギ』著者・輪島裕介は『ブギウギ』をどう観た? 笠置シヅ子の功績を聞く

    笠置シヅ子をモデルとした主人公・福来スズ子(趣里)の半生を描いたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』が最終週に突入している。朝ドラでは異例とも言えるほぼ毎週のステージパフォーマンス、骨太の人間ドラマで多くの視聴者を魅了してきた。そして、作で欠かせなかったのが、スズ子のモデルである笠置シヅ子が歌っていた楽曲の数々。現在も歌い継がれる「東京ブギウギ」や「買物ブギ」はもちろん、戦前の「ラッパと娘」をはじめとした多彩な楽曲がドラマを彩った。 そんな作をさらにもう一段階深いところまで味わえる書籍が、輪島裕介氏の著者『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』(NHK出版)。スズ子のモデル・笠置シヅ子、羽鳥善一(草彅剛)のモデル・服部良一がどんな人物で、どんな思いで、“エンターテインメント”で当時の日を照らしていたのかが理解できる一冊となっている。戦前戦後の日のあり方、そして楽曲の数々につい

    『昭和ブギウギ』著者・輪島裕介は『ブギウギ』をどう観た? 笠置シヅ子の功績を聞く
  • 10年ぶりのデザイン言語刷新に乗り出すアドビ 担当者に聞く「Spectrum 2」誕生の経緯と目的

    アドビが自社製品に採用するデザイン言語「Spectrum 2」を発表した。これは2013年に実装された「Spectrum」を10年ぶりにアップデートするもので、同社のUIUXデザインの根幹をなすものだ。 デザイン言語とはデザインにおける共通の指標であり、設計の原則のこと。古くはアップルがApple IIのために設計・提唱した「Human Interface Guidelines」がある。使いやすい・見やすいソフトウェアを設計するためにはこうしたデザイン言語によってインターフェイスの統一性を整備することが欠かせない。 今回はアドビのシニアディレクターであり「Spectrum」の担当を務めるShawn Cheris(ショーン・ケリス)氏にインタビューを行い、「Spectrum 2」誕生の経緯について伺うことができた。 Shawn Cheris(ショーン・ケリス)氏 ーーアドビがデザイン言語、

    10年ぶりのデザイン言語刷新に乗り出すアドビ 担当者に聞く「Spectrum 2」誕生の経緯と目的
  • 福岡晃子が語る“microKORG愛” チャットモンチーでもソロワークでも活躍する名機の「トリッキーな使い方」

    2002年に発売され、世界的大ヒットを記録した小型シンセサイザー『microKORG』。デビューから22年の時を経ても色褪せず、ミュージシャンたちからは“名機”と呼ばれる一台だが、2023年にはスケルトン仕様の『microKORG Crystal』が発売され、大きな話題を呼んでいる。 そこでリアルサウンドテックでは、microKORGを愛してやまないミュージシャンにインタビューを行う企画を実施。今回はチャットモンチーのベーシストとしてデビューし、現在はaccobin名義でソロ活動を行う福岡晃子にインタビュー。自身のキャリアやチャットモンチー時代の秘話、”ベーシストならではのmicroKORGの使い方”、そして新製品である『microKORG Crystal』について、たっぷりと話を聞いた。(編集部) 「microKORGは3人体制のときから使っていた」 福岡晃子 ――まずは福岡さんが音楽

    福岡晃子が語る“microKORG愛” チャットモンチーでもソロワークでも活躍する名機の「トリッキーな使い方」
  • 『スーパードンキーコング』の音楽はいかにして生まれたのか デビッド・ワイズの挑戦とキャリアの転機

    『伝説の騎士エルロンド』『バトルトード』『スーパードンキーコング』シリーズなどの音楽を手がけたゲーム音楽家、デビッド・ワイズの楽曲と活動に迫る短期連載。 前回はレア社とともに迎えた成長期までを紹介したが、第2回となる稿では、「スーパードンキーコング」シリーズへの挑戦から、レア社とデビッド自身が迎えた転機までを取り上げる。 【目次】 ■スーパーファミコン音源の限界に挑む試み──『スーパードンキーコング』シリーズ ■任天堂ゲームへのリスペクトを込めた楽曲群──『ディディーコングレーシング』 ■映像演出を支える音楽づくり──『スターフォックス アドベンチャー』 ■2002年~2009年 レア社の過渡期とデビッド・ワイズの転機 スーパーファミコン音源の限界に挑む試み──『スーパードンキーコング』シリーズ 1994年11月に発売された『スーパードンキーコング』は、3Dグラフィックソフトウェアをいち

    『スーパードンキーコング』の音楽はいかにして生まれたのか デビッド・ワイズの挑戦とキャリアの転機
  • お値段、なんと27万5000円の新刊登場──定価が“高額すぎる本”、他にどんなものがある?

    2023年に岩波書店から刊行された『関孝和全集』が話題になっている。全3巻、4064ページという大ボリュームで、上製函入で輸送ケース付き。江戸時代に普及した数学“和算”を大成した関孝和の全貌を明らかにしている。その価格も衝撃的で、なんと27万5000円もする。1冊当たり約9万1666円だが、分売は不可となっている。1990年代以降に関孝和の新史料が相次いで発掘され、研究が進展したことにより出版に至ったものだ。 バブルの時期には各社から高価な学術書や図鑑などが出版されたが、2000年以降は出版不況の影響でこうした編集に手間も時間もかかるの出版は難しくなっている。さらに、学術書の顧客であった大学や図書館も予算不足に陥っており、買い手を探すのにも苦労していると聞く。そんな中で出版に踏み切った岩波書店は偉業と言っていいだろう。 かつて、「タモリ倶楽部」で高価なランキングをした際、1位になった

    お値段、なんと27万5000円の新刊登場──定価が“高額すぎる本”、他にどんなものがある?
  • はっぴいえんどはなぜ特別な存在になったのか 曽我部恵一、オリジナルALから紐解く伝説的バンドの足跡 

    音楽界に多大な功績を残した細野晴臣、大瀧詠一、松隆、鈴木茂によって1969年に結成された伝説のバンド、はっぴいえんど。彼らのオリジナルアルバム3作品がCDとアナログ盤で再発売され、話題を呼んでいる。 はっぴいえんど リアルサウンドでは、はっぴいえんどが残した3枚のオリジナルアルバム『はっぴいえんど』『風街ろまん』『HAPPY END』を90年代に聴き、おおいに影響を受けたという曽我部恵一にインタビュー。 50年の時を超えて、今なお世代を超えて愛聴される名盤の魅力とは。曽我部恵一の証言と共に、「日語ロックの礎」を築いた彼らの足取りを辿っていく(佐野郷子)。 90年代前半はまだ今のような評価はされていなかった 曽我部恵一 ーー先ずは、曽我部さんがはっぴいえんどに巡り会ったきっかけを。 曽我部恵一(以下、曽我部):僕がはっぴいえんどを初めて聴いたのは、90年代にサニーデイ・サービスを結

    はっぴいえんどはなぜ特別な存在になったのか 曽我部恵一、オリジナルALから紐解く伝説的バンドの足跡 
  • 西城秀樹、大滝詠一ら支えたミュージシャン 稲垣次郎 90歳の視点で語る日本ジャズ史と海外からの評価

    あなたは稲垣次郎という名前を聞いたことがあるだろうか。 実は近年、彼の作品は海外を中心に注目を集めている。 稲垣次郎は1933年生まれのジャズ・ミュージシャンで、世代的には渡辺貞夫や高柳昌行や白木秀雄と同世代で、宮沢昭や穐吉敏子らの少し歳下。ハナ肇とクレイジーキャッツの前身のハナ肇とキューバン・キャッツや、クレイジーキャッツの原型ともいわれるフランキー堺とシティ・スリッカーズにも在籍し、そのあとも、ジョージ川口とビッグフォーや白木秀雄クインテットにも在籍。日のジャズ史の生き字引のような人だ。 そんな稲垣が注目を集めるきっかけは、2000年代に起こった日のジャズの掘り起こしと再評価だった。レコードショップ Universoundsの尾川雄介が監修した『Deep Jazz Reality』シリーズで鈴木弘、石川晶、猪俣猛、杉喜代志らとともにCD化されたことで国内で広まったあと、レコードで

    西城秀樹、大滝詠一ら支えたミュージシャン 稲垣次郎 90歳の視点で語る日本ジャズ史と海外からの評価
  • 朝ドラ『ブギウギ』笠置シヅ子とはどんな人物だったのか? 自伝から音楽史まで、関連書を読み解く

    10月2日から放映が開始されたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』、皆さんご覧になっていますか? 今回の朝ドラはいつにも増して注目度が高いようで、書店に並ぶ関連書の数も多い。ドラマに合わせた新刊だけでなく、復刊も目に付く。その中から重要と思われるものを何冊かピックアップして『ブギウギ』鑑賞の手助けとしてみたい。 笠置シヅ子『笠置シヅ子自伝 歌う自画像 私のブギウギ伝記』(宝島社) ドラマ『ブギウギ』は二週目が終わったところ。個人や組織、団体が仮名に替えられているものの(「日劇」を「日帝」にしたのはちょっとどうかと思った)、おおむね史実に忠実に展開しているようだ。 そこでまず取り上げるべきなのは、『笠置シヅ子自伝 歌う自画像 私のブギウギ伝記』(宝島社)だ。笠置自身が語った半生記の復刻である。 オリジナルが北斗出版社から発売されたのは1948(昭和23)年9月。この親はかなり稀覯だと思われる。

    朝ドラ『ブギウギ』笠置シヅ子とはどんな人物だったのか? 自伝から音楽史まで、関連書を読み解く
  • 白く長い帽子に、赤く垂れた長い舌……不気味すぎる『中国の死神』、「無常」とは 若手民俗学者・大谷亨に訊く、その正体

    背の高い帽子をかぶり、長い舌を垂らし、ときに人の魂を連れ去り、ときに人に福をもたらす死神、それが「無常(むじょう)」。中国社会に深く根差したこの鬼神を、地道なフィールドワークで探り、『中国の死神』(青弓社)として上梓したのが若手民俗学者の大谷亨だ。不気味なこの中国の死神はいかに生まれ、今も民衆の生活とともにあるのか? 無常を探求することで、現代中国を知るキーポイントも浮かぶ。必見の著者インタビュー。 『中国の死神』の著者である大谷亨さん(写真中央)。現在、中国に拠点を置き、日々フィールドワークにいそしんでいる。 不気味な顔した「無常」、実は地獄の下級役人? ――大谷さんが『中国の死神』でテーマにした「無常(むじょう)」ですが、日ではあまり知られておらず、読者もイメージしにくいかと思います。どんな姿の神さまなんですか? 白無常と黒無常が描かれたイラスト。ひょろ長い帽子は「無常」のトレードマ

    白く長い帽子に、赤く垂れた長い舌……不気味すぎる『中国の死神』、「無常」とは 若手民俗学者・大谷亨に訊く、その正体
  • 日本の歴史上、最も有名な武家法「御成敗式目」はなにが画期的だったのか? 気鋭の歴史学者・佐藤雄基に訊く

    1232年、鎌倉幕府三代執権の北条泰時により制定された初の武家法「御成敗式目」は、日歴史上「最も有名な武家法」とも称され、今なお広くその名が知られている。しかし、その内容が詳らかに知られてはいないだろう。 中公新書より刊行された『御成敗式目 鎌倉武士の法と生活』は、同法の主要な条文を詳しく解説、実態や後世への影響を明らかにした一冊だ。著者の佐藤雄基氏に、同書の狙いと「御成敗式目」の先進性について話を聞いた。(編集部) 佐藤雄基氏 ――「御成敗式目」と言えば、昨年(2022年)放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では坂口健太郎さんが演じていた北条泰時が制定した日初の「武家法」として有名ですが、今回それをメインに扱った新書を執筆しようと思った、そもそもの動機やきっかけは何だったのでしょう? 佐藤雄基(以下、佐藤):私はもともと日の中世の法を研究しています。平安時代の終わりから鎌

    日本の歴史上、最も有名な武家法「御成敗式目」はなにが画期的だったのか? 気鋭の歴史学者・佐藤雄基に訊く
  • 漫画の原画をどう保存していくか? 漫画家・竹宮惠子に聞く今後の課題と展望

    8月14日の読売新聞の報道によると、文化庁は来年度から日漫画の原画やアニメのセル画の収集に乗り出すという。近年、美術品としての価値も認められつつある漫画の原画。秋田県横手市の「横手市増田まんが美術館」のような、保存機能をもつ施設の整備も進んでいる。しかし、一時代を築いた漫画家の高齢化に伴い、膨大な量の原画の行く末を案じる声も大きい。 昨今は漫画をデジタルで描く漫画家も多く、そうした作品は原画が残らない。記者が取材をしていると、原画の存在を知らない漫画家もいて、時代の変化を感じずにはいられなかった。日文化遺産である漫画文化を後世に伝えるためには、原画の保存が不可欠であるといえよう。 『風と木の詩(うた)』『地球(テラ)へ…』などの代表作をもつ日を代表する漫画家・竹宮惠子は、2019年にNHKの番組で原画の行く末を案じつつ、漫画家の“終活”についても語っていた。番組放送から数年たち、原

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  • 「AIと人間は言語の学習において、正反対のアプローチを採っている」 ベストセラー新書『言語の本質』著者インタビュー

    AIと人間は言語の学習において、正反対のアプローチを採っている」 ベストセラー新書『言語の質』著者インタビュー 今井むつみ、秋田喜美 著『言語の質 ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書) 『言語の質 ことばはどう生まれ、進化したか』(今井むつみ、秋田喜美(きみ)著/中公新書)が売れに売れている。言語学を扱ったとしては異例のベストセラーとなっているが、これはChatGPTなどの対話型AIの進化に伴う、言語への関心の高まりが背景にありそうだ。 今回、話題騒然の著をまとめ上げた今井むつみ氏、秋田喜美氏のふたりに、言語学に秘められた謎と魅力を語ってもらった。ちなみに今井氏は認知科学者、秋田氏は言語学者である。違う分野だからこそ分析できた、理解が深まった部分はあるのではないだろうか。 ふたりの話を聞いていると、言語の質を問うことは、「人間とは何か?」という深淵なる謎に迫る問いであ

    「AIと人間は言語の学習において、正反対のアプローチを採っている」 ベストセラー新書『言語の本質』著者インタビュー
  • 冨田ラボ、スタンダードを更新し続けて迎えた20周年 制作環境や音楽的興味の変遷、“AIによる作曲”への見解まで語る

    冨田ラボ、スタンダードを更新し続けて迎えた20周年 制作環境や音楽的興味の変遷、“AIによる作曲”への見解まで語る “写植の感覚”で挑んだ新曲のサンプリング秘話 ――昨年6月にリリースした7thアルバム『7+』は、近年のモードが地続きで反映されつつ、“バックトゥベーシックス”的な趣もあったと思うんです。今回のベストに収録された2023年制作の3曲(「Take That ! feat. TENDRE」、「夏の亡霊 feat. KIRINJI」、「for YOUR BUDDY」)はモード的にどういう感触が強いですか? 冨田:『7+』は、アルバムのすべてがコロナ禍に作られたことが反映されたと思っていて。やっぱり何人かの人に「昔の冨田ラボな感じがありますよね」って言われたんです。昔からのファンからも「戻った感じがある」って言われたり。最初に作った曲「MAP for LOVE」が、コロナによって中止

    冨田ラボ、スタンダードを更新し続けて迎えた20周年 制作環境や音楽的興味の変遷、“AIによる作曲”への見解まで語る
  • 人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? 「【推しの子】って、今売れているんですか(笑)」

    リアルサウンドブックでたびたび登場している、秋田県羽後町の「ミケーネ」は、人口約1万3000人の農村の田園風景の中に立つ個人経営の書店だ。実は記者が小学校のころから通っている書店で、数多くの漫画との出会いの場を提供してくれた店でもある。今回は阿部久夫店長と、「ミケーネ」で漫画を買うというラブライバーの武田遼哉さんに直撃インタビュー。地方の書店の現状と課題、そして未来について考えてみた。 「ミケーネ」の外観。地域の文化発信基地である書店を守ることはできるのだろうか。 地方書店はAmazonのVIP顧客!? ――書店に関しては、都心と地方の格差が著しいと言わざるを得ません。おそらく、一般のお客さんは数十万部が印刷されるベストセラーは、どこの書店に行っても並んでいると思っているかもしれません。しかし、実態は人気のあるタイトルほど大都市の大型書店に集中し、地方の個人経営の書店に並んでいないという実

    人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? 「【推しの子】って、今売れているんですか(笑)」
  • 『ガクサン』作者・佐原実波に聞く、学習参考書の奥深い世界「大人になると、もっと多様な目的で使えます」

    出版不況が叫ばれる中でも、紙のの売上が堅調とされるのが学習参考書である。少子化が進む中でありながら、書店を訪問すると、学参がかなりのスペースを占めていることに驚く。近年は『うんこ漢字ドリル』シリーズのヒットなどもあり、出版業界でも注目に値するジャンルといえる。 【試し読み】学習参考書の魅力に迫った異色の漫画『ガクサン』を読む 画像ページはこちら そんな学参そのものを楽しもう、という趣旨の異色の漫画が存在する。それが、現在「コミックDAYS」と「Dモーニング」で連載されている『ガクサン』である。3月23日には、待望の4巻が発売されたばかりだ。学参は大人が読んでも楽しめると話す著者の佐原実波に、紙の書籍ならではの魅力を語ってもらった。 お仕事漫画は「モーニング」の伝統? ――学習参考書(以下、学参)がテーマの異色の漫画です。佐原先生は書店で学参を扱っていたとか、何か縁があってこの題材を選ばれ

    『ガクサン』作者・佐原実波に聞く、学習参考書の奥深い世界「大人になると、もっと多様な目的で使えます」
  • 後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」

    暗黒批評家・後藤護が著した書籍『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社)は、耳慣れない「アフロ・マニエリスム」なる概念を軸に、これまでにない切り口で黒人音楽史を捉え直した一冊だ。アフロ・マニエリスムとは、ドイツのジャーナリストで文筆家のグスタフ・ルネ・ホッケが1950年代に再評価した後期イタリア・ルネサンスの美術様式「マニエリスム」の理論を換骨奪胎し、ブラック・カルチャーに応用したもの。後藤護は、このアフロ・マニエリスムによって、奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代までを総括しようと試みた。 ジャズ・ミュージシャンにして文筆家の菊地成孔は、書『黒人音楽史』をどのように読んだのか。リアルサウンド ブックでは、ふたりの初対談をお届けする。(編集部) 後藤護 菊地:いわゆる黒人音楽史についてのは20世紀にたくさん出ています。特にジャズ批評の多くは、歴史主義で書かれてい

    後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」
  • 『ボンバーマン』ミュージックの先駆者、竹間ジュンの功績を考える

    1985年12月に、ファミリーコンピュータ用ソフト『ボンバーマン』が発売。その後、1990年12月に、PCエンジン用ソフト『ボンバーマン』が発売された。2020年12月をもって前作は発売35周年、後作は発売30周年を迎えた。派生作品やメディアミックスも含めると膨大な数にのぼるボンバーマンシリーズは、ハドソンがコナミデジタルエンタテインメントに吸収合併された後は、コナミブランドで展開されている。2005年11月にサイトロンから発売された『ボンバーマン ザ ミュージック』は、シリーズの原型となった1983年発売の『爆弾男』から、2005年発売のニンテンドーDS版『ボンバーマン』やプレイステーションポータブル版『ボンバーマン ぱにっくボンバー』まで、ハドソンブランドから発売されたシリーズ38作のBGMをセレクト収録した資料的な一枚であるが、廃盤となって久しい。 『ボンバーマン ザ ミュージック』

    『ボンバーマン』ミュージックの先駆者、竹間ジュンの功績を考える