「今、魅力的なロックをやるならここに到達しないといけない」というところに気づき、そこを見事に実践したアルバム。本日休演の通算4作目となる『MOOD』は、そういう意味でも彼らの過去最高傑作であり、現代のロックアルバムの最高峰と言っていい。『MOOD』は全10曲を収録。リーダーの岩出拓十郎の鼻にかかった低く倦怠感のある歌とサイケデリック風味ある金属的でヨレたギターは初期から変わらない。だが、なぜここでこういう音が必要なのか、なぜこの曲にこのリフがのっかるのか、こうしたリズムはなぜそこに求められているのか……といった必然をしっかり理解した上で鳴らされている。偶発的にラフで荒削りな音が出たわけではなく、意識的にそれを作り上げただけでもなく、音そのものが意志を持ったように蠢いているというべきか。岩出のボーカルもギターも、有泉慧の何かを呟いているようなベースラインも、樋口拓美の重いのに乾いたドラムも、