「読書は精神に栄養を与える食事。栄養を与えないと、人は精神的に死んでしまう」 小説「帝都物語」をはじめ、神秘学、博物学など多分野にわたる著者の執筆活動を支えてきたのは、読書だ。旺盛な好奇心を満たすと同時に、知識の源としてきた。そんな読書人生で得た、読書を終生の友とするための奥義を本書で紹介する。 例えば、「くず本かお宝本かを決めるのは自分」。周りの評価によらず、面白いかどうかは自分が決めろ、ということだ。そして、「世界の見方を一変させる本を探す」など、様々なアドバイスが詰め込まれている。 また、著者が影響を受けた本は、学術系から風俗系まで幅広く紹介している。 その一つが、レーニンの「唯物論と経験批判論」。20世紀初頭の動乱期のロシアには、未来国家建設に向け、今ならトンデモ扱いされるような「新科学」を提唱する学者が大勢いた。レーニンは同書で、「正しい唯物論の科学」に基づき、こうした学者を批判