ソク・チュミョン(石宙明)(1908-1950)という昆虫学者をご存じだろうか。 朝鮮半島のチョウの分布を詳細に調べた著書を残し、韓国では絵本や教科書の題材にもなった著名人だ。 “韓国のファーブル”とも呼ばれるソクだが、生涯をかけて集めた昆虫標本は朝鮮戦争の空襲で焼け、本人も戦争の混乱の中で死亡したため、ほぼすべて失われたものと考えられていた。 しかし、死後70年余りの時を経た去年、その一部が日本の九州大学に保管されていたことが明らかになった。 なぜ、ソクの標本は日本に残されていたのか。そこには、科学の絆で結ばれた日韓の昆虫学者たちの100年にわたる物語があった。 (科学・文化部記者 山内洋平)
