本を出版するのは、大変なことである。 自分だけのことではない。出版社も膨大な準備をするし、お金もかかる。もし本が出来上がった状態で出版見合わせになれば、損害は計り知れない。 その観点からも疑問に思う出来事があった。ジャーナリストの「詩織」氏(ご本人の家族の希望のため、名字は伏せられている)が、ジャーナリストの山口敬之氏に強姦(ごうかん)被害を受け、その逮捕状が取り消されたと記者会見をしたあの事案。何が疑問かというと、山口氏の「総理」という本が、2016年6月9日に刊行されていること。この日付は首をかしげる。まず「事件」の概要を振り返る。 詩織氏は、山口氏と飲食をしている途中で意識を失い、気がつくとホテルで山口氏から被害を受けていたという。彼女はお酒に強く、これまで記憶を失ったこともなく、薬を盛られたのではと語っている。山口氏は行為は同意の上だったと主張し、疑惑を否定。だが防犯カメラの映像、