「自己変革能力のある社会システムへの道標:複雑系と無気力の心理学の視点から」(井庭崇, 1998)からの抜粋第二弾。僕が社会変革に関する重要な分析枠組みだと思う、アルバート・ハーシュマンの voice-exit モデルの説明の部分です。 今回は、先に引用してから、現在との接点について書くことにします。 自己変革能力のある社会システムへの道標:複雑系と無気力の心理学の視点から ・・・ 3. 社会変革のための退出と発言 社会や組織の変革の力として、A・ハーシュマンは「退出」(exit)と「発言」(voice)の二つの行動様式を提示している [2]。第一の退出オプションとは、不満のある商品や政党を選ばなくなったり、あるいは組織から脱退することによって、反対の意思表 示を行なうというものである。度重なる退出オプションの行使によって、経営者や政党は自らの欠陥を間接的に知らされることになる。第二の発言