「珊瑚は今年、二十一歳になった。二十歳の時に結婚して、一年そこそこで離婚した。赤ん坊の雪は、ようやくお座りができるようになったばかりだ。」読者の皆様はこの文を読んでどう感じるのだろうか? これはタイトル見開きの文章書き出しのページに書かれているこの物語、主人公・珊瑚の状況説明である。 この始まりで、大変そうな生活を、想像するも、こんなうまく道が開ていくものだろうかと、小説ならではだなぁと思う。 20歳で結婚し、わずか1年で離婚した山野珊瑚は、21歳のシングルマザー。生まれたばかりの娘・雪を預ける場所も、働く環境もなく、途方に暮れていたところ「赤ちゃん、お預かりします。」の小さな貼り紙を見つける。その貼り紙により出会った女性・藪内くららから「食」の大切さと、「前進」する勇気を教えられる。 本作は、起業成功レポートであり、シングルマザー子育て奮闘記であり、料理レシピ録でもある。そして対人ストレ