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ブックマーク / jtsutsui.hatenablog.com (15)

  • グループレベル攪乱項とXの相関の図示 - 社会学者の研究メモ

    社会調査今期の授業もひと通り終わった。京大学部の統計の非常勤も今期でおしまい。(来年度は大学院の方を担当予定。)最後の授業で質疑応答をしたのだが、いくつかあったのが「攪乱項と説明変数の相関」というのがよく理解できない、というもの。(攪乱項どうしの相関は時間の関係で説明をすっ飛ばしたからか、そもそも質問がなかった。)たしかに、相関というと変数どうしの相関を想像しやすいので、「攪乱項との相関」といわれるとよく分からなくなるのかもしれない。この相関は、攪乱項がクラスター内相関している場合に図示しやすくなるので、例をあげて説明してみる。以下のようなデータがあったとする(人為的に作成したもの)。縦軸がscore(何かの成績)、横軸がincome1(所得その1)。色はグループ(クラスター)を表している。この場合説明変数(income1)の大きさによって、scoreのグループ平均値は異ならない。したがっ

  • 「幼稚園と学力の関係」における相関関係と因果関係 - 社会学者の研究メモ

    統計データの解釈について、しばしば指摘される注意事項が「相関関係と因果関係を混同するな」というものである。今回はこの警句について、「幼稚園出身の子の正答率、高い傾向 全国学力調査」(asahi.com)という記事を題材にして少々詳しく説明してみよう。記事では、全国学力調査での小6時点の算数の得点と中3時点の国語の得点は、いずれも「幼稚園>保育園>どちらも通っていない」の順に高かった。 朝日のこの記事では、この関係について三つのコメントを掲載している。 全国国公立幼稚園長会の池田多津美会長は「幼稚園は、充実した遊具や広い運動場で体験を通して主体的な学びを積み重ねている。勉強が難しくなる6年生ごろから学習意欲で差が出るのでは」と言う。 この推測は、幼稚園への通園経験自体に学力を伸ばす要因があるのでは、というもの。 次。 一方、保育所施設長でもある全国保育協議会の小川益丸会長は「保育所の教育が幼

    「幼稚園と学力の関係」における相関関係と因果関係 - 社会学者の研究メモ
  • 旦那だけハッピーな夫婦は破局しやすい? - 社会学者の研究メモ

    社会学こわいですね〜。ネタは、NYTime経由で見つけました。もとの論文はこれ。タイトルを訳すと「奥さんより幸せになっちゃダメ:幸福度ギャップと離婚」。Cahit Guven, Claudia Senik, Holger StichnothI, 2009, "You Can’t Be Happier than Your Wife: Happiness Gaps and Divorce", IZA DP No. 4599.適当に要約しておきます。(しっかり読んでないので詳細は各自原著にあたっちゃってください。)仮説:他の条件が同じなら、幸福度ギャップの大きい夫婦は離別しやすい。データ:ドイツ、イギリス、オーストラリアで実施された世帯抽出のパネルサーベイから。ドイツ(GSOEP, 1984-2007)、イギリス(BHPS, 1996-2007)、オーストラリア(HILDA, 2001-2007

  • 社会学にとって理論とは何か - 社会学者の研究メモ

    「理論と実証」について考えるときに、しばしば忘れられてしまうのは、理論と実証以前に、その両者に意味を与えるもっと大事なことがある、ということです。それは「問題関心」です。そして多くの実証研究は、この問題関心から出発しています。階層研究であれは公平性、都市研究であればコミュニティの価値、などが一例になるでしょう。そういった(根的には日常の社会生活に根ざしている)問題関心があるからこそ、それに関わる問を立て、答えていくという研究活動が成立するわけです。ほとんどの実証研究はこの枠組みに沿って行われているはずです。(そうではないものはちょっと想像しにくい。) 要するに、研究は実証するために行うものではありません。理論を構築するために行うものでもありません。理論を実証するために行うものでもありません。特定の問題関心から発する問いに、説得力をもって答えるために行うものです。(だから、日常的なコミュニ

    社会学にとって理論とは何か - 社会学者の研究メモ
  • 各種ジェンダー関連指標のまとめ - 社会学者の研究メモ

    (文献紹介は一回スキップします。) 国際マイクロデータの普及に伴い、徐々に国別のジェンダー平等を測るための総合指標(composite index)が利用される機会も増えているように思います。総合指標はその算出方法を考慮しないと十分に生かせないところもあります。ここで簡単にまとめておきますので、よろしければご参照下さい。 以下で解説するのはHDI、GDI、GEM、ついでにGGGIです。最初の三つは国連開発計画(UNDP, United Nations Development Programme)が毎年発行する『人間開発報告書(Human Development Report)』で発表されます。 HDI (Human Development Index) HDI(人間開発指数)はジェンダー関連指標ではありませんが、GDIの算出方法のもとになる指標なので、説明しておきます。これは国ごとの生活全

    各種ジェンダー関連指標のまとめ - 社会学者の研究メモ
  • 少子化問題の整理 - 社会学者の研究メモ

    社会学ちょっと前に野田聖子議員が少子化問題についてぶっちゃけてました。自民党少子化を加速させた:自民党・野田聖子衆院議員インタビュー(日経ビジネス、2010.2.15)内容をまとめつつ、コメントをつけてみます。最初に言っておきますが、正確な知識は各自に文献をあたるなどしてください(検索すればいくらでも出てくる)。ここでは粗めの情報のみです。あと、「子どもが増えてだからどうなんの」という(controversialな)話もしてません。一言だけいっておくと、「日だけ他の先進国と違って少子化を放置する」というのは、社会主義ほどではないにせよ壮大な社会実験の域になりますから、ちょっとスリリングすぎるような気もします。(いや、今でも十分実験状態なんだけど。)問題の整理...とその前に、頭の整理をしておきましょう。いま極端な少子化で深刻に悩んでいる主な先進国はというと。まず、日もびっくりなペース

    hmmm
    hmmm 2010/02/19
  • 家事分担研究の現在 - 社会学者の研究メモ

    社会学そのうちこちらでプレゼンをすることになりそう...なので頭の整理メモ。話自体は家族と仕事に関する日の研究アジェンダの変化についてを予定しているのですが、家事分担研究も重要なパートです。家事分担研究は、いくつかある家族社会学の流れの中でもかなり目立ったグループを形成しています。なかでも盛んなのは夫婦間の家事分担規定要因の研究(家事分担はどういった要因で決まるのか?)です。参考までに、日の夫婦の家事分担の現状を示すデータをご紹介しましょう。以下は、夫婦の家事時間の総量を100としたときのの分担割合(%)です*1。...というわけで、ごらんのとおりのありさまです。日の家事分担のへの偏りぶりは家族社会学界では周知の事実で、世界を見渡してみても、日の男はダントツで家事をしていません。このデータを見て、「そりゃ日の男はめちゃくちゃ働いているもん、無理もない」と思われるかもしれません

    hmmm
    hmmm 2010/02/16
    日本の方が家事においても高い品質が(家庭内でも周囲からも)要求されるという面はあるかも。
  • Google Earthで国別データマップ - 社会学者の研究メモ

    CIA World Factbookを使ったデータマップの作成アプリです。以前紹介したGoogle Motion Chartと同じく、プレゼンのキャッチに使えるかもしれません。 (1)Google EarthをググってGoogle Earth、Google Earth Pluginを入手、インストール。 (2)kmlfactbook.orgにアクセス。 (3)あとは直感的にやっても分かりますが、念のため、以下の手順で。 左のコラムからデータを選択。たとえば「People」の「Age Structure(%): 65 years and over」を選択。 真ん中のコラムでデータ表示形式を選択。とくにこだわりが無いなら、一番上の「2D/3D/Chart」の選択だけで大丈夫。 右のコラムの上の方にある「Preview in Map」をクリックすれば完成。 おすすめは、「Download KML

    Google Earthで国別データマップ - 社会学者の研究メモ
  • 同棲率と出生率 - 社会学者の研究メモ

    社会学(先日のエントリのフォローは後回しです。ごめんなさい。)今日は日ではクリスマス・イブですね〜。日ではクリスマスはカップルのためのイベントになっちゃっていますが、こちらではクリスマスは家族(特に子ども)のためのイベントです。なのでうわついた雰囲気はありません。家族と一緒に静かに過ごす人が大半。だから街も静か。さて。恋人といえば同棲(多少強引に)。出生率に関心のある家族社会学者、人口学者のあいだで前々から話題になっているのが、同棲出生率との強い関係です。実際どれくらい関係があるのか見てみましょう。(同棲率はOECDFamily database、TFRはWorld Bank WDIより。同棲率は2001〜2007年、TFRは2002年のものを抽出。今回のデータにはなぜかスウェーデンが入っていません。残念。)やっぱり、見事に相関していますね。ちょっと外れているのがアメリカとアイルラン

    hmmm
    hmmm 2009/12/24
  • 論文の書き方:FAQ - 社会学者の研究メモ

    なんだかアクセスが多くてびっくりですが、それだけいろんな人が研究の方法に関心を持っているということでしょう。 昨日、こちらの大学院で研究している日出身の院生の方とお話をする機会がありました。課程留学された動機を伺ったところ、少なくとも当時の日ではなかなか学べなかった研究法の指導が充実しているから、といったことをおっしゃっていました。「最近は社会学でもちょっとずつ変わっているという感触はありますよ」と伝えましたが(あくまで感触)、なにしろ北米の大学の研究法関連の文献や授業の充実度はすごいですからね〜。 文化もあると思うんですよ。アメリカ、カナダでは、研究じゃなくても「自分の持っている情報を説得力を持って伝える(presentation)」能力に大きな価値を置きますからね。 ですから研究報告でも、難しい話をする人がいるとして、聞き手がちんぷんかんぷんだと、聞き手のレベルが低いと思われずに、

    論文の書き方:FAQ - 社会学者の研究メモ
  • (学生向け)面白い論文の書き方(その二) - 社会学者の研究メモ

    おかげさまで前回のエントリは好評でした(2100ほどアクセスがありました)。引き続き、「ひと味違う論文作成方法」を試みます。 データ収集 さて、検証の目的から確認しておきましょう。検証の目的は、データを集めることではありません。論文を読む人(や報告を聞く人)を納得させることです。「そんな相対的な基準でいいわけ?」と思う人もいるでしょう。いいんです。アカデミックな世界も基は同じ学者仲間からの評価が基準になっています(こういうシステムをピア・レビューといいます)。学生であれば、指導教官を納得させるのが目的になります。 納得させるための手段にはいろんなものがありますが、どういうときに人は納得すると思いますか? 2つあります。 データで納得させる。 実証ってやつです。数字は強力です。きちんとしたかたちで提示すれば、まず反論されません。 理屈で納得させる。 論証ってやつですね。 つまり、場合によっ

    (学生向け)面白い論文の書き方(その二) - 社会学者の研究メモ
  • 面白い論文の書き方(その一) - 社会学者の研究メモ

    今回も教科書ネタ。 学生の論文には、読んでいて面白いものと、苦痛なもの指導しがいのあるものがあります。後者のような論文を書く学生は、論文についてこう考えていることが多いです。 興味のあることを見つけて、それについて文献を読み、それをまとめて、最後に自分の意見を書く。 こういう指導をされている先生方は意外に多いのではないかと思います(自分も昔はそうでした)。指導がラクだし。しかしこれは論文を書くときの方針にはなりませんし、してはダメです。 論文とは「研究成果」のアウトプットの1つです。少なくとも社会学における研究とは、解かれていない謎や決着のついていない問いを自分で見つけ出し、データ等の証拠を使ってそれに答えることです。(それ以外の論文もありますが、まず基を抑えないとダメです。)上記のダメ方針は、研究と単なる勉強を取り違えているのです。 研究の手順は標準的に教えられているもので十分です。

    面白い論文の書き方(その一) - 社会学者の研究メモ
  • グラノベッターのウィリアムソン批判 - 社会学者の研究メモ

    Granovetter, Mark. 1985. Economic Action and Social Structure: The Problem of Embeddedness. AJS 91(3): 481-510. 09年のノーベル経済学賞を受賞したO.ウィリアムソンの組織論(市場/ヒエラルキーモデル)に対するM.グラノベッターの批判が展開された論文。ウィリアムソンはR.コース以来の取引費用論を受けついだ、新制度派の代表的経済学者です。グラノベッターは社会学者なら知らない人はいないでしょうが、有名な「弱い紐帯」論に代表される、いわゆる構造分析(structural analysis)の提唱者の一人です。(他にはバート、マースデン、ウェルマンがいる。)同論文は『転職』に日語訳もあります。ウィリアムソンのノーベル賞受賞を記念して(?)、実は珍しい社会学者からの経済学モデル批判のこの論

    グラノベッターのウィリアムソン批判 - 社会学者の研究メモ
  • アンケート調査にはスキルが必要です - 社会学者の研究メモ

    トロントとは関係ないネタですが。 社会調査や調査教育に携わったことのある人なら、調査票を作ることにはそれなりにスキルが必要だということを知っているはずです。調査スキルを持っていない人が作った調査票はしばしば深刻な欠陥を含んでいて、その結果得られたデータが学術的に全く使えないものになった、ということはよくあります。調査経験が豊富な学者が集まって慎重に検討した調査票にミスが含まれていることがあるくらいですから(私もミスの経験あります)、いわんや調査シロウトは、です。 問題は、アンケート調査という調査手法があまりに一般に普及しているために、学術的データを得る手段としての調査票作成も簡単にできるのではないかと勘違いしてしまう研究者がいる、ということです。ありがちな悲劇のシナリオとして、偉い学者さん(しかし調査経験はあまりない)が科研費をとり、予算消化しきれないので調査票調査をすることにして、そのと

    アンケート調査にはスキルが必要です - 社会学者の研究メモ
    hmmm
    hmmm 2009/11/02
  • 本でました。 - 社会学者の研究メモ

    いちおうお知らせ。一生に一度は出してみたかった世界思想社の白いヤツシリーズ。 親密性の社会学―縮小する家族のゆくえ (SEKAISHISO SEMINAR) 作者: 筒井淳也出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2008/01メディア: 単行 クリック: 60回この商品を含むブログ (24件) を見る 10秒で分かる要点。 親密な関係には独自の効率性があり、それゆえにそこから得られる満足は市場や政府に代替されにくい。(「民でできることは民へ!」と言われてもできないものがある。しかも官にもできない。) あ〜、あしたの報告の分析が全然できない...。そもそも一週間前に自分が書いたプログラムの意味が分からない。自分で決めた制度に怒るどっかの大学の学長の気持ちが分からんでもない(違うか)。

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    hmmm
    hmmm 2008/02/06
    『親密性の社会学―縮小する家族のゆくえ』
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