米原子力発電事業で巨額損失を計上する東芝が解体的な出直しを迫られている。“虎の子”の半導体事業の分社に加え、それとは別に上場子会社の売却などの検討にも入っている。平成29年3月期の債務超過回避に向けた資金の捻出は待ったなしで、支援を仰ぐ銀行に身を切る姿勢を示す狙いもあるが、元凶の原発事業を存続させるために、将来の成長事業でも売れるものから切り売りするという危うい道を歩み始めている。 東芝は財務力を示す株主資本が平成27年3月末に1兆円以上あったが、不正会計問題で昨年9月末には3632億円に目減りした。さらに米原発事業で最大7000億円規模の損失が生じる可能性となり、すべての資産を売っても借金を返せない債務超過の懸念が出てきた。 だが、資本増強の手段は限られる。東京証券取引所から投資家に注意を促す「特設注意市場銘柄」に指定され、公募増資のような市場で資金を調達することは困難だからだ。