2月の半ば、展示「犀星スタイル 武藤良子原画展」開催中の金沢の室生犀星記念館を訪ねた。搬入のとき、トークショーのときと合わせて、会期中3度目の金沢だ。1度目2度目に訪ねたときは、記念館のような大きな場所で展示するという固まりがまだ飲み込めず、3度目にしてようやく、ごくんと腹の底まで落ちていった気がする。 1階は常設展で、展示「犀星スタイル」は2階で行われている。ガラスケースの正面を観ると、まず額装された絵が眼に入り、下を観ると犀星が実際に使っていた雑貨や食器が並び、その周りに犀星や娘の朝子さん、孫の洲々子さんの書いた文章が並ぶ。 例えば、煙草を吸う犀星の絵の下には、犀星が愛用していた煙管、吸い口、ライターが置かれ、朝子さんの著書から煙草を吸う犀星の描写が引かれて展示されている。絵、愛用の品、文章と、いつもとは違う三方向から作家を照らし立たせている。 下記の「勝手口から」は、来館者へ配る冊子