作家の川内有緒さんが、本に動かされて旅へ出る連載「ホンタビ!」。登場人物を思うのか、著者について考えるのか、それとも誰かに会ったり、何か食べたり、遊んだり? さて、今月はどこに行こう。本を旅する、本で旅する。 [今月の本] 中川 毅たけし著 『時を刻む湖――7万枚の地層に挑んだ科学者たち』 (岩波書店) 万葉歌に詠まれ、国の名勝にも指定されている景勝地の湖底から土の縞模様「年縞ねんこう」が発見された――。2013年、「世界の標準時計」として認められた福井県若狭町の水月湖。研究者たちが描いた夢、国境を越えた友情、栄光と挫折……やがて〝奇跡の湖〟と呼ばれるまでの挑戦と苦悩の日々を、当事者のひとりが熱く語る自然科学ドキュメント。 人生、なにごともやってみなくてはわからない。旅も行かないと良さがわからないし、ごはんも食べてみるまで味はわからない。しかし、今回の「年縞」は、その「やってみるまで……」