フランスにおける書籍デジタル化の動向 調査及び立法考査局海外立法情報課:服部有希(はっとり ゆうき) フランスは、文化・通信省の主導の下、フランス国立図書館(BnF)が中心となり、書籍等のデジタル化を推進している。その対象は、パブリック・ドメインの資料から始まり、著作権保護期間内にある著作物へと拡大しつつある。 本稿では、フランスにおける書籍等のデジタル化の進展を概観した上で、最新の動向である絶版書籍及び孤児著作物のデジタル化について紹介する。 書籍等のデジタル化の進展 BnFが書籍等のデジタル化を本格化させたのは、1997年の電子図書館Gallicaの公開からである。そのコンテンツ数は、現在、約290万点に達している(1)。 Gallicaの当初の構想は、主要作家の作品等を厳選した百科全書的なカタログの構築であった。しかし、2005年頃になると、方針が変更され、網羅的なデータベースの実
第4回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告> 2014年12月9日と10日,第4回日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative: CJKDLI)会議(E1526参照)が中国国家図書館(NLC)で開催された。国立国会図書館(NDL)と韓国国立中央図書館(NLK)からは各4名,主催国であるNLCからは12名が出席した。 初日の午前は,昨年実施の第3回会議(E1526参照)後の各館の電子図書館に関する取組を報告した。NLCは,政府のウェブ情報の保存や電子図書館拡大推進プロジェクトの進展のほか,電子図書館事業の紹介や最新技術を用いたサービス等を展示するために2014年9月に同館内に開設された電子図書館体験ゾーン等について報告を行った。NDLは,図書館向けデジタル化資料送信サービスの開始や視覚障害者等用デジタ
米国デジタル公共図書館(DPLA)戦略計画2015-2017 米国デジタル公共図書館(DPLA)は2015年1月,2015年から2017年の戦略計画を発表した。 DPLAは,米国各地の図書館,アーカイブズ,博物館,文化機関の所有するデジタルコンテンツを一元的に検索できるポータルサイトである(E1429参照)。2013年4月の公開から1年で,検索対象データが500機関の240万点から1,200機関の700万点に,スタッフも3名から12名にと,順調に拡大している。戦略計画ではさらなる発展を目指し,「コンテンツ」,「技術」,「アウトリーチ・教育」,「財政・継続性」といった観点から,最優先事項,補助的に行うべき事項を挙げている。 ●コンテンツ DPLAにメタデータを提供している機関は,Service Hub,Content Hubの2種類に分けられる。Service Hubは,州や特定地域内の諸機
米国テキサス州ベア郡サンアントニオの公共図書館“BiblioTech”とサンアントニオの住宅公団“San Antonio Housing Authority”が提携し、2館目の紙の本のない公共図書館“BiblioTech”を設立すると発表されています。 First digital library and housing authority partnership established SAHA development to include second BiblioTech branch(San Antonio Housing Authority, 2014/12/15) http://www.saha.org/pdf/BiblioTechWest14.pdf San Antonio Housing Authority http://www.saha.org/ BiblioTech ht
本稿では,シンガポール国立図書館庁(NLB)による図書館情報政策Libraries for Life(Library 2020)と,シンガポールの公共図書館が目指す次の時代の図書館のあり方について検討を行った。シンガポールではこれまでに,2つの図書館情報政策が策定されている。最初のLibrary 2000(1994年)では公共図書館インフラの整備が主に行われ,次のLibrary 2010(2005年)では,電子図書館やインターネットサービスの推進が積極的に行われた。2011年に発表されたLibrary 2020では,図書館のもっとも基本的なサービスである読書を推進するプログラムに焦点が絞られている。これからの時代を担う公共図書館の役割は,多様な背景をもつシンガポール人のコミュニティーをつなぐ場所であり,図書館にはシンガポール文化を掘り起こし,さらに新たに創出する期待が込められているのである
2014年8月13日、アルゼンチン国立図書館の電子図書館”Trapalanda”が公開されました。デジタル化された図書や雑誌、逐次刊行物、写本、地図やオーディオアーカイブ等、およそ6000点が提供されており、2014年末には1万点にまで拡大される予定とのことです。 なお、Trapalandaとは、16世紀以降のスペインによる植民地化の過程の中で登場した、アルゼンチンあるいはチリにあるとされた空想上の都市を意味するものです。アルゼンチン国立図書館は、同館にとってこの名称が「全所蔵資料へのデジタルアクセスを開くユートピアの名」だと説明しています。 Trapalanda http://trapalanda.bn.gov.ar/jspui/handle/123456789/1 Parodi y Gonzalez lanzaron la Biblioteca Digital Trapalanda (
HathiTrust訴訟,第二審でフェアユースが一部認められる 米国作家協会(Authors Guild),オーストラリア,カナダ等の著作権団体などが, HathiTrust(CA1760参照)と,これに参加していた大学図書館5館(コーネル大学,ミシガン大学,カリフォルニア大学,ウィスコンシン大学,インディアナ大学)に対して起こしていた著作権侵害訴訟で,ニューヨークにある連邦第二巡回区控訴裁判所が2014年6月10日に,判決を出した。同裁判所は,HathiTrustにおける著作物の利用の一部について,米国著作権法の第107条に規定されるフェアユース(Fair Use)に当たり,著作権団体側による著作権侵害の主張を否定する等の判断をした。 HathiTrustは,デジタル複製物の共同運営リポジトリHathiTrust電子図書館(HDL)の運営をしている。現在では,約90の研究機関が参加し,1
米国全土の図書館・美術館・博物館に所蔵されている様々なデジタルアーカイブを集めた電子図書館「アメリカ・デジタル公共図書館(The Digital Public Library of America・DPLA)」が、2013年4月18日の開設から1周年を迎えた。 開設から1年で急成長したDPLA 開設当初は240万点だったコレクション作品は、現時点で700万点に拡大。 ユニーク訪問者数は100万ユーザーを超えている。 また、160万冊の書籍・雑誌を閲読するための独自のインターフェイス「DPLAブックシェルフ(DPLA Bookshelf)」を公開するなど、ユーザー視点でインターフェイスの改善に努めてきた。 このほか、ユーザーの現在地に関連するDPLAのコレクションを表示するスマートフォンアプリ「OpenPics」 や検索ワードにまつわる画像をサムネイル表示するアプリケーション「Culture
米国デジタル公共図書館(DPLA)が、2013年4月18日の公開から1周年を迎えました。 この1年間にDPLAが達成したこととして、以下が挙げられているようです。 ・コレクション点数の増加(240万点から約3倍となる700万点へ) ・1,300以上の機関からのデータ提供(開始直後は500機関) ・ウェブサイトへの100万件以上のアクセス(ユニークユーザ)、APIを通じたヒット件数は900万件以上 ・第三者からのアプリの提供 ・160万冊の図書や雑誌をブラウジングするための斬新なインタフェースの導入 ・ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団やアンドリュー・メロン財団、匿名の支援者などからの200万ドル以上の助成の獲得 ・スタッフの増加(4名から8名へ。さらにあと2名も追加予定) ・DPLAfest 2013などのアウトリーチ活動を通じたコミュニティとの積極的な関与 また、DPLAの協力体制(Se
第3回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告> 2013年12月19日から20日まで,韓国国立中央図書館(NLK)において第3回日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative: CJKDLI)会議が開催された。 CJKDLIは,日本,中国,韓国の文化・学術遺産をインターネット上で統合的に検索し,利用できる電子図書館サービスの実現を目指す三か国の国立図書館による連携協力事業である。2010年8月に国立国会図書館(NDL),中国国家図書館(NLC),NLKが日中韓電子図書館イニシアチブ協定を締結後,日本,中国,韓国が持ち回りで会議を開催することになり,第1回目の会議は2011年10月にNLCで,第2回目の会議は2012年12月にNDLで開催された。第3回目となる今回の会議は,NLKで開催され,NDLからは3
IPOだ、買収だと、何かと騒がしいインターネットの世界で、忘れてはならないもうひとつの半分がある。それは、インターネットを万人が平等な機会を得るために使われ、立場にかかわらずテクノロジーが人々の生活や能力を向上させるために利用されるべきだと考えるイノベーターたちの世界である。 「インターネットの良心」とでも呼ぶべきその半分の世界の代表格が、ブリュースター・ケールだ。 ケールは、インターネット・アーカイブという非営利組織の創設者として知られている。インターネット・アーカイブは、いわばデジタル時代のアレキサンダー図書館。「すべての知識へ、どこからでも等しくアクセスできること」を目指して、ウェブサイト、書籍、映画、音楽、ニュース、コンサートなどのアーカイブ化を推し進めている。 政府からも企業からも独立した「知識の倉庫」 ウェブサイトをアーカイブするということだけを取っても、気が遠くなるような話で
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米国デジタル公共図書館(DPLA)が公開される 2013年4月18日,米国デジタル公共図書館(Digital Public Library of America:DPLA)のベータ版が公開された。DPLAは,米国各地の図書館・博物館・文書館等が有するデジタルコンテンツを一元的に無料で検索できるポータルサイトである。公開直前のボストン連続爆破テロ事件の影響で,予定されていた記念イベントが中止を余儀なくされた中での静かな船出であった。 DPLAの構築は,2010年10月にマサチューセッツ州ケンブリッジで開かれた非公式カンファレンスがきっかけとなっている(E1105参照)。この会合の後,同年12月にはハーバード大学バークマンセンター(Berkman Center for Internet & Society)が構築プロジェクトのかじ取りを担うことが決定し,2011年10月に開催された初の総会にお
“new stage”へ向かうHathiTrust: 2012年活動報告書より 2013年1月29日,HathiTrustが2012年活動報告書をウェブサイトで発表した。HathiTrustは,米国の大学図書館等が共同で運営しているデジタル化資料のリポジトリで,そのコンテンツの大半はGoogleブックスプロジェクトによりデジタル化された参加機関の蔵書である。一方で,従来図書館が保持してきた資料保存・品質・プライバシー・アクセス等の価値を重要視している「図書館による図書館のための電子図書館」であることが特徴として挙げられる(CA1760参照)。 HathiTrustにとって2012年最大の出来事は,Authors Guild訴訟(E1217参照)に進展があったことだろう。本件は“Special News”として活動報告書の冒頭で取り上げられており,この訴訟がHathiTrust及び同様の他事
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