ネットにつながらず、コンテンツも増やせず、読めるのは漫画「北斗の拳」全巻だけ――。そんな電子書籍端末を東京都内のベンチャー企業が開発した。こだわったのは、紙の手触りや本を開く感覚の再現だ。電子書籍に距離を置く「紙で読みたい漫画ファン層」を取り込めると踏んだ。 端末は、その名も「全巻一冊 北斗の拳」。大きさはA5判の漫画本と同じだ。外装は紙でつくり、主人公ケンシロウや宿敵のラオウが描かれたカバーをつけた。本を開くように端末を開くと、左右に見開きで配置された2枚の画面に電源が入り、「北斗の拳 究極版」の全18巻がモノクロで読める。 開発したのは東京都江東区のプログレス・テクノロジーズ。きっかけは「電子書籍が思ったほど普及しない」という違和感だった。出版科学研究所によると、紙の出版物の市場は1兆3701億円だが、電子出版は2215億円。小西享取締役は「電子端末が進化しすぎて、紙で読みたい人にマッ