米国発の金融危機をきっかけに自動車の販売不振は瞬く間に全世界に広がった。日産自動車も例外ではなく2009年3月期は9年ぶりの赤字に陥った。カルロス・ゴーン氏を社長として招き入れてから初の赤字決算であり、カリスマ経営者を持ってしても今回の危機から免れることはできなかった。 2008年末には金融市場で「日産は資金ショートするのでは」と噂されるほど資金不足に苦しんでいたが、2010年3月期の第1四半期(4~6月)は営業損益が黒字に転換するまでに回復した。反撃の原動力となったのが中国市場だ。先行していたトヨタ自動車やホンダを追い抜く勢いで販売台数を伸ばし、2009年には中国での販売台数が日本を初めて上回ることになる。 好調な販売現場で何が起きているのか。その秘密を解き明かそうと、記者は中国内の日産系ディーラーに足を踏み入れた。そこでは何とクルマがひっくり返して売られていたのだ。 《日経ビジネスは2