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ブックマーク / honz.jp (14)

  • 『(あまり)病気をしない暮らし』(略称:あま病)を読んで健やかに! - HONZ

    自己肯定感の強い男、と周囲から言われ続けている。まぁ、そんな気がしないでもない。しかし、多々異論はあるだろうけれど、主観的にはけっこう謙虚だと思っている。謙虚と自己肯定は必ずしも排他的ではない。謙虚にして自己肯定感がつよい。素晴らしいではないか。と、まぁ、こういうことを書いたりするから、やっぱり自己肯定男と思われるのである。 信じてもらえないだろうが、かなり気の弱い方であった。小さい頃はほとんど赤面恐怖症だったほどだ。27歳から研究を始めたのだが、研究者としてやっていけそうだと思えるまでに25年もかかった。振り返ってみると、どうもその頃、10年ほど前から自己肯定感が肥大してきたような気がする。どうしてかというと、それなりの理由がある。 たとえば、職の研究費。みんな大変だというけれど、独立してからずっと困ったことがなかった。いや、ぜんぜんなかった訳ではない。余って困ったことはある。まぁ、実

    『(あまり)病気をしない暮らし』(略称:あま病)を読んで健やかに! - HONZ
  • 『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』その何気ない行動が、ゾウの生死を分ける - HONZ

    アフリカでゾウの密猟が急増していると聞かされても、多くの人にとって自分事として捉えることが難しいだろう。しかしゾウが殺されているのは、決して糧としての肉を目的としたものなどではない。付属物にすぎないはずの象牙が1kgあたり2000ドルで闇取引され、遠く中国や日にやってくるのだ。 サバンナのダイヤモンドとも言われる象牙。書は、元アフリカ特派員の著者がアフリカ南部における象牙マーケットの全貌を描き出し、取引された象牙の行く末と私達の生活を結びつけた衝撃のノンフィクションである。 事態は深刻だ。アフリカでは、1940年代に約500万頭いたとされているアフリカゾウが、2010年代にはすでに約1割の50万頭にまで激減しており、このままのペースで密猟が続けば、野生のゾウはわずか10数年で絶滅してしまうかもしれないと言われている。 また、虐殺時の模様も凄惨極まりない。密猟者たちは銃弾を撃ち込んで動

    『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』その何気ない行動が、ゾウの生死を分ける - HONZ
  • 『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 ドリームのないアメリカ - HONZ

    2016年6月に出版された原書はアメリカでベストセラーとなり、世界中で高い評価を受けた。英エコノミストは「2016年に出版されたの中で、アメリカを知るために最も重要な一冊」と評している。1984年生まれの若き白人のアメリカ人である著者J.D.ヴァンス自身が述べるように、彼はイェール大学ロースクールを卒業し経済的成功を収めてはいるものの、「人生で何か偉業成し遂げたわけではない」。そんなヴァンスの人生を綴った書が大きな話題を呼んだのは、彼の故郷に暮らすアメリカの白人たちの姿がトランプ支持者のそれとピタリと重なったから。トランプ現象を支える人々の実像を追い求めて、多くの人がこのを手に取ったのだ。アメリカの繁栄から取り残された白人たちの現実は、多くのアメリカ人たちにとっても、これまで知ることのなかった驚くべきものだった。 ケンタッキー州北東部出身であるヴァンスの家族の祖先は、アイルランド島北

    『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 ドリームのないアメリカ - HONZ
  • 『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち - HONZ

    1987年、アメリカのテキサス州でわずか1歳半の女の子が井戸に落ちてしまった。女の子の名前はジェシカ・マクローア。ジェシカの体は井戸の枠に引っかかってしまい、大規模な救出活動が繰り広げられるものの、なかなか抜けない。ああ、可哀想なジェシカ。救出活動はテレビなどでも盛んに報道され、アメリカの多くの人たちがその動向に釘付けとなった。そして58時間後、ようやくジェシカは救出される。よかった、よかった。 ところで、ジェシカはなぜそれほど注目を集めたのだろうか。それはおそらく、窮地にあるジェシカに多くの人が同情し、共感を覚えたからだろう。「もし自分が(あるいは自分の子どもが)ジェシカのようであったら」と考えて、恐怖や辛さを自ら感じた人も少なくなかったはずだ。当時の米大統領ロナルド・レーガンもこう語っている。「このできごとのあいだ、全米の誰もが、ジェシカの代母や代父になった」。 そのように「共感(em

    『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち - HONZ
  • 「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ

    『巨大ウイルスと第4のドメイン』を筆頭に魅力的なウイルス論、入門を書いてきた著者による最新作『生物はウイルスが進化させた』は、「生物」に対する見方を根底から覆す、最新のウイルス研究成果についての一冊だ。多くの野心的な仮説と、確かにそうかもと思わせる検証でぐっと惹きつけ、読み終えた時にはウイルスに対する考え方が大きく変わっていることだろう。 まさにそれによって、「生物とは何か」「ウイルスとは何か」、そして「生物の進化とは何か」を問い直す「コペルニクス的な転回」を余儀なくされる、そんな存在こそが「巨大ウイルス」なのかもしれないのである。 内容的にはいくらか過去作との内容の重複もあるが、ウイルスとは何か、細菌との違いといった基的なところの説明から、従来のウイルス観を覆す巨大ウイルスとは何か、その特異性とは──と話をつなげ、”そもそもウイルスの定義とはどうあるべきなのだろうか”と最終章にてこれま

    「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ
    kabutomutsu
    kabutomutsu 2017/05/05
    ウイルス進化説=トンデモだと思ってましたが。最近は違うの?
  • 『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』ミレニアム世代の寄付と仕事の関係 - HONZ

    効果的な利他主義者はその問いを突き詰めて考え、仕事を選択する。寄付先の選択も同様で、たくさんのいいことができる寄付先を選ぶ。例えば、 ・ 犬が好きなので、地元の動物シェルターに寄付している ・ 日人なので、なによりも日の恵まれない人たちに寄付をする ・ が乳がんで亡くなったので、乳がん研究に寄付している ということについて、彼らはどのように考えるだろうか。寄付をするもっともらしい理由に思えるが、効果的な利他主義者は、寄付の理由としてこれらを間違っていると考える。 また、寄付に関する著名な実験の一つに、一方のグループに1人の子供の写真を見せて、その名前と年齢を教え、その少女の命を救うには30万ドルをかけて新しい効果な薬を開発するための基金への寄付を依頼する。もう一方のグループには、八人の子供の写真を見せて、名前と年齢を教え、同様の薬の開発で8人全員の命を救うことができると寄付を呼びかけ

    『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』ミレニアム世代の寄付と仕事の関係 - HONZ
  • 『警察捜査の正体』見えない場所で起きていること - HONZ

    2004年に北海道警察の裏金問題で告発を行った中心人物である、原田宏二氏が警察捜査の実態を解説した1冊だ。捜査の根拠となる法律はどのようなものなのか、それらは実際どれほど機能しているのか、なぜ権力の濫用が起きてしまうのか。ノンキャリアとしては最高のポストまで登りつめて退官した経験をもとに、著者は取り締まる側の視点から語っていく。冤罪事件から身近な取り締まりに至るまで、それらの背後にある「事情」を知ることができる。 はじめに、著者のスタンスを紹介しておきたい。 世の中には、警察を正義の味方にしておきたい人もいる。まるで警察を悪の権化のように言うアンチ警察の人もいる。私はいずれにも与しない。 不正を告発した際には北海道警察から「裏切り者」のレッテルを貼られた著者だが、感情的にならず問題点を淡々と指摘することに徹しているので、単なる印象を超えた理解ができる。 著者は刑事訴訟法(以下、刑訴法)や警

    『警察捜査の正体』見えない場所で起きていること - HONZ
  • 『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相』驚愕の結末 - HONZ

    2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。ひとりの教師が担任の児童を執拗に苛め続けて、「早く死ね、自分で死ね」自殺を強要し、その子供はPTSDによる長期入院に追い込まれてしまった……。 この報道がなされると、雑誌やテレビでは鬼か悪魔かというくらいの勢いで「殺人教師」について大きく特集を割いた。両親、特に母親からの訴えは、息子を守ろうとする必死さに溢れ、学校、教育委員会とも非を認め教師に謝罪させている。 でもそれは、クレーマーな親による「でっちあげ」であったのだ。冤罪であると同時に凄まじい濡れ衣だった。そもそも結局誰も死んでないのに「殺人教師」と名付けることがすごい。モンスターペアレントという言葉がまだない頃の事件である。 事件のあらましはこうだ。被害を受けたとされる4年生の児童、浅川裕二(仮名)の母親、浅川和子(仮名)は、この川上譲教諭(仮名)が、20

    『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相』驚愕の結末 - HONZ
  • 『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで - HONZ

    “耳鼻削ぎ”とは穏やかではない。というか、野蛮。現代人はそう感じるだろう。日歴史上で耳や鼻を削ぐといえば、戦国時代の話かな。敵の首をいくつとったか戦功を証明するのに、首だと持って帰るには重いから耳。いや耳だと左右二つ削いで数をごまかせるので鼻になったんだっけ。いやはや、戦国時代は血腥い…。 著者は日各地の“耳塚”“鼻塚”を訪ね歩き調査する。無惨に討たれた武士たちの耳や鼻が何百と葬られたというのなら、さぞや怨念が染み付いているだろう、怨霊話もあるだろう。耳や鼻を削ぐという行為の意味もみえてくるだろう、と思いきや。 なぜかどこへいっても「耳の神様が耳の聞こえをよくしてくださるところ」という話ばかりだったのだという。 私は日中の耳塚・鼻塚を訪ねてまわり〜(中略)けっきょくのところ、どこの耳塚・鼻塚からも不気味な怨霊譚が聞かれることはなかった。それどころか〜(中略)土地の人から愛され、ご利

    『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで - HONZ
  • 『ナポレオンに背いた「黒い将軍」』革命に咲いた黒い薔薇 - HONZ

    18世紀、有色人種とりわけ黒人がその肌の色のみで差別され、奴隷として働かされていた時代に、ヨーロッパで一兵卒から将軍にまで上り詰めた有色人の男がいた。180センチを超える体躯(当時としてはかなり大きい)とハンサムな容貌の持ち主であったという。そして、その美しい肉体の中には常人では及ぶことの出来ない勇敢さと情熱を、また公正で高潔な精神を宿していた。男は自らをアレックス・デュマと名乗っていた。名はトマ=アレクサンドル・ダビィ・ド・ラ・パイユトリ-という。 彼はフランス人貴族と黒人奴隷の女性との間にできたムラートであった。自由、平等、友愛を謳うフランス革命に共感し革命の擁護者として、その軍事的才能を発揮し敵であるオーストリア兵からは「黒い悪魔」として恐れられた。 デュマは人種的差別が公然と行われていたヨーロッパで白人将兵の指揮をとり、彼らから信頼と尊敬の念を勝ち取っていた。祖国フランスが、肌の

    『ナポレオンに背いた「黒い将軍」』革命に咲いた黒い薔薇 - HONZ
  • 息もつかせぬ極秘作戦。「世紀のドル確認作業」で沖縄を救え!『沖縄返還と通貨パニック』 - HONZ

    1972年5月15日の沖縄返還に先立つ、1971年8月15日。アメリカ合衆国大統領ニクソンは、ドルと金の交換停止を発表する。ニクソン・ショックである。 敗戦から急速に立ち直り未来へと時計の針を進めていく土をよそに、なおも四半世紀にわたるアメリカの支配に耐え、ようやく返還の日を迎えようとしていた沖縄の人々の生活は、危機に瀕する。沖縄返還にともないドルから円への通貨交換を控えていたからである。 ニクソン声明を受けて日政府はドルと円の交換率を変動相場制に移行すると決定した。事実上の円切り上げ=ドルの価値が下落する、最悪の事態なのである。 1ドルの価値が360円から305円へと55円目減りするならば、地上戦の地獄を生き抜き、アメリカ支配に耐えながら、沖縄住民が営々として築いてきた個人資産は一夜にして16%も失われる事になる。また沖縄は生活物資の80%を日土からの輸入に頼っており、円切り上げ

    息もつかせぬ極秘作戦。「世紀のドル確認作業」で沖縄を救え!『沖縄返還と通貨パニック』 - HONZ
  • 『21世紀の貨幣論』 マネーの思想史 - HONZ

    マネーのない生活は想像すら難しい。電車に乗るためにも、ランチべるためにも、部屋に明かりを灯すためにも、マネーが重要な役割を果たしている。空気や水のように当たり前の存在だと思われるこのマネー、一体どのように生まれたのか。 マネーが生まれる前の社会から、マネーが発明される様子を想像してみよう。マネー以前の社会では、人々は自分が作ったモノと、自分が必要なモノを物々交換していた。いつしか誰かが、物々交換の非効率性に気がついたはずだ。なんといっても、「自分は欲しいモノを持っていて、かつ、自分の持っているモノを欲しがっている人を見つけ」るのは容易ではない。そして、あるとき他の誰かが特定のモノ、多くの場合は金や銀、を「交換の手段」にすることを思いつく。この「特定の手段」を使えば、どのようなモノとも交換ができるようになり、富の蓄積すら可能となった。 このような「マネー誕生物語」はなんとも説得出来である

    『21世紀の貨幣論』 マネーの思想史 - HONZ
  • これを読まずに日本の未来は語れない『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』 - HONZ

    帯にはLNG船の写真と「日の丸」のような赤丸。その赤丸の中には「HONZ成毛眞氏大興奮!」と白抜き文字。そりゃあ間違いなく面白そうだと、書店で慌てて買ってみた。 なんてことはなくて、きっちりとゲラを読みこんだ上で、帯文の一助としていただいた。まさにこれを読まずに日の未来は語れないと考えたからだ。著者は三井物産でエネルギー関連事業に携わってきた岩瀬昇さんだ。あとがきを読んで気づいたのだが、ライフネット生命の岩瀬大輔社長のお父上らしい。 帯裏には「エネルギー界の池上彰さん誕生!」とある。まさに読み込んでいる途中からそう感じていただ。シェールガスや石油の現状は、専門的、技術的、国際政治的、流動的であり、理解しにくいことの筆頭なのだが、これまでそれを丁寧に説明してくれるはなかった。 アメリカで起こっているシェールガス革命のインパクトは知っているつもりだった。世界最大のエネルギー消費国であるア

    これを読まずに日本の未来は語れない『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』 - HONZ
  • 世界は「なりすまし」で溢れている!『詐欺と詐称の大百科』 - HONZ

    「なりすまし」というと、ツイッターのなりすましアカウントに釣られて真に受けてしまい、ちょいと恥ずかしい思いをする、というのは今やよくある話である。 ある選挙の際、候補者の名を騙るアカウントが現れて大勢がフォローするも「これはニセモノだ」というアナウンスがあって、「いやいやホンモノだ」という話もあって、あげく真贋騒動自体が話題作りじゃないの?といいだすものもあり、と、訳の分からないこともあった。 「わたしは原子力については素人ですが、みなさん一緒に勉強しましょう」といって議論をリードしていたアカウントが、じつは原子力関連のリスクコミュニケーションの専門家で、「これは世論誘導の一環じゃあるまいか」という例もあった。 わたしたちは日頃、いかなる根拠をもって人を信じているのだろうか。「この人はこんな人」と、プロフィールや人柄を認識しているが、それがどこまで正確なのか、ほんとうにわかっていると言える

    世界は「なりすまし」で溢れている!『詐欺と詐称の大百科』 - HONZ
    kabutomutsu
    kabutomutsu 2014/09/24
    ”「わたしは原子力については素人ですが、みなさん一緒に勉強しましょう」といって議論をリードしていたアカウントが、じつは原子力関連のリスクコミュニケーションの専門家で、” いいねd
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