印刷する メールで送る テキスト HTML 電子書籍 PDF ダウンロード テキスト 電子書籍 PDF クリップした記事をMyページから読むことができます 2015年は日本のインダストリー4.0元年だった 2015年は、日本における「インダストリー4.0 元年」とでも呼ぶべき年だったかもしれない。2015年6月に発足した「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」など、官民学が一緒になった動きもようやく出てきたからだ。出遅れていると言われてきた日本の取り組みも、やっと重い腰を上げたのが2015年だった。 そんな中、2015年前半の国内報道の多くは、ドイツや米国などで起きている新たな製造業の革新的な動きから日本は遅れてはならないと、危機感を煽るものがほとんどだった。こういった煽りも、今年の日本での大きな動きにつながったのかもしれない。とはいえ、活動の成果的
インダストリー4.0の話題で必ず名前が挙がるのが独シーメンス。ドイツの重厚長大産業の雄だが、近年は設計、製造に関連するソフトウェア企業のM&Aを重ね、「デジタルファクトリー」という部門を設けるほど。この分野でシーメンス(実際には、子会社のシーメンスPLM)と火花を散らすのが、欧ダッソー・システムズだ。トヨタ自動車など日本企業にも、設計ソフトの「CATIA」をはじめとするシステムを提供している。ダッソー・システムズのベルナール・シャーレス社長兼CEO(最高経営責任者)は、ドイツのインダストリー4.0に「足りないモノ」を冷静な視点で捉えている。 (聞き手は佐藤浩実) ここ1年ほど、日本の製造業ではドイツ発の「インダストリー4.0」という言葉が流行しています。設計・製造関連のソフトウェアでダッソー・システムズと競合するシーメンスが、ドイツでの取り組みを牽引していますよね。欧州に本社を置くソフトウ
「普段はどのサイズを着ていますか」 「普段は…9号です」 「では、こちらのワンピースを試着してみてください」 福井市のアパレルショップ。その店の販売員とこんな会話を交わしたのは、2015年10月半ばのことだ。試着の際にサイズを聞かれて、答えると、そのサイズの洋服を用意してくれる。どこのアパレルショップでもよくある、何の変哲もないやり取りだ。なのに、この日は、少し複雑な気持ちになっていた。 「もしかしたら、3Dスキャナーで体形を測って、服のサイズを自動で導き出してくれるかも」。密かにそう期待していたからだ。 記者はこの日、生地メーカーのセーレンを取材するため、福井市にある同社の本社を訪れていた(福井市のアパレルショップというのは、本社1階にある直営店のことだ)。詳細は日経ビジネス11月16日号「身近にあった!インダストリー4.0」を読んでほしいが、同社は2015年4月、一般の消費者向けにワン
インダストリー4.0とは、モノとモノをインターネットでつなぐ「IoT」の技術を工場にも取り入れることで、モノ作りに革新を起こすとされる概念だ。発祥の地はドイツ。11月16日号の特集「身近にあった! インダストリー4.0」では、インダストリー4.0を実践する日独企業の最新事例を取り上げた。興味深いのは、それらの企業が必ずしも大企業ではないこと。とりわけ日本企業の多くは、インダストリー4.0がドイツで提唱されるずっと前から、自らの知恵でインダストリー4.0ともいえる仕組みを生み出していた。 日経ビジネスオンラインでは、本誌には掲載しきれなかった識者インタビューや企業の実例を掲載していく(詳細は本誌11月16日号をご覧ください)。 ドイツではインダストリー4.0の担い手が大企業から中堅企業に広がっている――。そんな話を聞いた時、ある有名な本のタイトルを思い出した。『Hidden Champion
さて、前回に引き続き、「インダストリー4.0」の話をしよう。前回(インダストリー4.0がピンと来ないワケ)では、ドイツを例に取り、雇用にどのような変化をもたらすかについて書いた。今回はもう少しダイレクトに、産業にとってどのような収支メリットが発生しそうかに触れてみたい(前回と同様、BCGの欧州の専門家グループによる、ドイツ、特にその製造業についてのインダストリー4.0のインパクト分析に基づく)。 結論から申し上げれば、これから5~10年という幅の中で顕在化しそうなメリットは、まずドイツの製造業のトータル生産コストの5~8%に当たる約12兆円から約20兆円のコスト低減。そして、ドイツの総生産額の1~2%に相当する約2兆6000億円から約5兆2000億円の売り上げ拡大が想定されている。 冒頭の図表1に示したように、コスト削減の大部分は、自動車、食品・飲料、そして機械関連の業界における加工費用の
つい先だって、私のドイツの同僚たちが、「インダストリー4.0」のドイツの雇用への影響についてのレポートをまとめた。上の図表1のように、2025年までの間に、ベースシナリオではドイツ全体で現在の総労働者数の5%に相当する約35万人の雇用「増」が見込まれる、という内容だ。 興味深いのはこの内訳で、オートメーションの進展などで、組立・生産現場を中心に約61万人の雇用が減少、一方、IT(情報技術)・データサイエンス領域を中心に約96万人の雇用が創出されるという。この差分が、35万人の純増となるわけだ。 すぐにお気づきになられただろうが、実際には、雇用が減少する工場現場の人たちがそのまま(簡単に)IT・データサイエンスの領域に移行できるとは思えない。全体として雇用が増えたとしても、ミスマッチはかなり大きなものとなり、再教育を行ったとしても、個々の働き手にとってはなかなか大変な時代がやってくる、という
「『インダストリー4.0』について解説記事書いて。困ったら佐藤(先輩)に聞け。よろしくねー」。日経ビジネスオンライン(NBO)の編集長からの軽いメールを取材帰りに受け、筆者は戸惑った。「インダストリー4.0」。ここ最近、新聞や雑誌でよく目にする単語だが、正直言って詳しくは知らない。「なんで自分がやるんですか」。編集部に戻り、編集長に真意を尋ねた。 「どうせおまえは勉強してないだろう。だからおまえが分かれば、どんな人にも『インダストリー4.0』が分かるはずだ」と編集長。小ばかにされている気もしたが、事実だ。何も言い返せなかった。 「4.0は一日にしてならず」 「改善改良を進めた先にあるもので、レボリューションではなくエボリューションで、『ローマは一日にして成らず』よ」 「インダストリー4.0について聞きたいんですが」――。書類を前に渋面を作っている佐藤先輩に教えを請いにいくと、予想の斜め上を
「つながる工場」を目指す産学連携の組織が日本でも生まれた。製造業へのIoT(モノのインターネット)導入を進めるドイツや米国に対抗する狙いだ。だが、実際に効果を上げるには、2つの壁を乗り越えなければならない。 6月18日午後、東京都内のホールは100人を超す中年男性たちでごった返していた。「つながる工場」を目指す団体「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)」の設立総会だ。参加者の勤務先は富士通、日立製作所、三菱電機などなど。「ものづくり白書」でIoT(モノのインターネット)を大きく取り上げた経済産業官僚の講演で幕を開けた総会は、3時間30分も続いた。 IVIの発起人である法政大学の西岡靖之教授によれば、「(IVIは)つながる仕組みを再定義していく」ために産学で作る団体だ。6月18日時点で、富士通やオムロンなど53社(主な企業を下図に記載)が参加している。
第4次産業革命を進めるには、様々な場所からリアルタイムでデータを集め、他社と共同で分析を深めることが不可欠。だが、日本は足踏みしている。他社とつながるメリットよりも、磨き上げてきた生産ノウハウなどの情報流出リスクを警戒するからだ。日本の製造業を牽引してきたトヨタ自動車ですら、その呪縛から抜け出せていない。 せっかくの機能が宝の持ち腐れになっている──。トヨタの工場にロボットを納める、ある大手機械メーカーの役員はこうこぼす。「トヨタさんがインターネットにつながせてくれない」。 納入したロボットは、工場の外部とつながる遠隔監視機能を搭載している。本来ならネット経由で稼働状況をモニターし、保守業務を効率化できるはずだが、現時点では不可能だ。ネットに接続すると「生産ノウハウが社外に流出しかねない」と、トヨタが難色を示しているからだ。 故障したらその場で人がすぐに対応できるように「担当者が工場に常駐
ドイツがモノ作りの刷新を試みたのは今回が初めてではない。「ジャスト・イン・タイム」や「カンバン方式」に代表される「トヨタ生産方式」が世界のお手本になった1980年代。めきめきと力を付ける日本企業への対抗策として、「CIM(コンピューター統合製造)」という考え方が流行した。コンピューターを徹底活用して、モノ作りの効率を高めようとした。 だが、この取り組みは失敗に終わった。ドイツ北部ブロムベルクにある産業機器大手、フェニックス・コンタクトで生産技術を担当するオラフ・グレイザー氏は振り返る。「あの時は人を排除しようとしたのが間違いだった」。 「人の排除」への反省 人の仕事をすべてコンピューターと機械に置き換えようとしたことで、投資が過大になったのだ。知恵を出してモノ作りを支えてきた従業員の支持も得られず、活動は尻すぼみになった。 学識者を中心に議論が始まったインダストリー4.0の構想には、かつて
ドイツの工場が変わり始めた。合言葉は、第4次産業革命を意味する「Industrie(インダストリー)4.0」。世界に冠たるモノ作り大国を変化へと駆り立てるものは、一体何なのか。 ドイツ南部にある人口4万4000人の小さな町、アンベルク。シーメンスがこの地にれんが造りの工場を建てたのは、1989年の秋だった。時代は「第3次産業革命」の真っただ中。同革命の主役である、機械や製造ラインに組み込む専用コンピューターを作るために、1000人の従業員が雇われた。 彼らが組み立てた製品はドイツ中の工場に届けられ、製造ラインを動かす頭脳となった。クルマや化学製品、産業機械といった、この国の製造業の強さを縁の下で支えた。 四半世紀後の2015年。この工場では今もなお、当時とほぼ変わらぬ1000人超の従業員が働く。工場建屋の広さも1万平方メートルと全く同じだ。しかし、生産台数は8倍の年1200万個に、品目数は
関連キーワード 教育 | 教育IT | IoT(Internet of Things) | iTeachers iTeachers TV第13回は玉川大学の小酒井准教授が登場《クリックで拡大》 生産工程をITで革新しようという、ドイツ初のプロジェクト「インダストリー4.0」。あらゆるモノがインターネットにつながり、情報をやりとりして新たな価値を生み出す概念「Internet of Things(IoT)」を発展させた取り組みとして注目度が高まりつつあります。「教育機関も、ITを取り巻くこうした最新動向を無視してはいけない」と強調するのが、玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科の小酒井 正和 准教授です。 特に多くの学習者にとって社会への入口となる大学においては、こうした最新動向を迅速に学生に伝える必要があると小酒井准教授は説きます。またITが多くの産業に関わる現状を踏まえると、知識の獲得
Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2015-05-28 06:30 「Industry 4.0」と呼ばれる概念が、欧州で広がりつつある。この考え方では、モノのインターネット(IoT)が従来の製造業を変えると予想されている。 多くの人たち(特に未来学者)は、産業革命が起こり、さらに情報革命がそれに取って代わり、今は一種の「ポスト情報革命」時代が来ているという歴史の流れをよく話題にする。欧州の一部では、この考え方はIndustry 4.0と呼ばれている。 念のために書いておくが、この数字はこの数十年間に起こった情報技術の革新の波(例えばWeb 2.0)とは無関係だ。しかし、Industry 4.0がもたらすと考えられている変化は、ITと深い関係がある。 Industry 4.0はドイツ政府が提唱したもので、製造業の次のフェーズ、
ドイツでは、「第4の産業革命」が進んでいる。工業のデジタル化によって21世紀の製造業の様相を根本的に変え、製造コストを大幅に削減する。「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」と呼ばれるこの巨大プロジェクトにドイツが成功すれば、高コスト国としての悩みは一挙に解消できる。ドイツ連邦政府、州政府、産業界、学界は今、総力を挙げてこのメガ・プロジェクトに取り組んでいる。 日本では知られていない巨大プロジェクト ドイツと同じ物づくり大国・貿易立国である日本で、インダストリー4.0はほとんど知られていない。新聞やテレビも、この革命の実態を詳しく伝えていない。だがこの産業革命は、日本にとっても大きなインパクトを持つ。もしも我が国の産業界がこの波に乗り遅れた場合、ドイツに大きく水を開けられる危険がある。 「工業のデジタル化」というと、読者の皆さんの中には、「日本でも工業用ロボットなどによる生産
印刷する メールで送る テキスト HTML 電子書籍 PDF ダウンロード テキスト 電子書籍 PDF クリップした記事をMyページから読むことができます 近年、製造業を取り巻く環境は大きく変化し、製品への要求も高度化する中で重視されているのが、PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)ソフトウェアだ。 コンピュータを利用した製品のデザイン、耐久性のテスト、世界中のさまざまな部署を横断したプロジェクトチームをつくるコラボレーション機能など、ものづくり全体をサポートする重要な役割を担っている。 PLM分野のソフトウェア大手で、日本でもトヨタ自動車をはじめとしたなどさまざまな企業が採用しているのがSiemens PLM Softwareの製品だ。同社のアジア太平洋地域を統括するマネージングディレクターで、本社シニアバイスプレジデントを兼務するKC
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