いかにして儲けるか――。いま、介護業界にはそんな悪質な業者が数多くうごめいている。だが、そうした状況を把握しないまま、安倍首相は先日、特別養護老人ホーム(特養)の増設を掲げた。 介護・医療ジャーナリストの長岡美代氏によれば、万が一、そんな短絡的な介護政策を実行したら、人材不足に拍車がかかり、介護保険財政を破綻させかねないという。支持率低下のはて、苦肉の策として無理矢理ひねり出した目標は、机上の空論に過ぎない。 高齢者を「儲けの道具」としか考えていない ――介護サービスをめぐるトラブルが連日のように報じられていますが、その背景では今、何が起きているのでしょうか。 長岡 成長が続く介護ビジネスには、異業種からの参入が絶えません。先ごろも流通大手のイオンがデイサービス事業に本格参入することを表明したばかりです。 すでに介護保険だけでも10兆円の巨大市場になっており、団塊世代が75歳以上となる20