18時、東京。ホテルの喫茶で人と会っていた僕はひどくくたびれて、エントランスの片隅にあるソファーに思わず腰をかけた。カーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モアが流れ始め、カレンのあの低い歌声が僕の足元に敷かれたレッドの絨毯に優しく染み込んでいくように響いていた。目の前には大理石でできたテーブルがあって、落ち着いた照明をバックにクリスマスツリーを映していた。ボール。イルミネーション。スター。金、銀、赤の豪華な色合い。それはまるで星空のようだった。テーブルサイズの星空。星。月。僕はそれを目の当たりにして彼らのことを思い出していた。そう、あれはやけに月が大きく見えた夜だったと思う。仕事から帰った僕はテレビを見ていた。異国の窮状を追う報道番組の1コーナー。カメラは暗がりで身を寄せ合う三人の少年をとらえていた。年齢は日本なら小学校高学年くらい。「親は?」「ご飯は食べたの?」「家は?」インタビュアーの