このごろ双葉にはやるもの、 飲み屋、下宿屋、弁当屋。のぞき、暴行、傷害事件。 汚染、被爆、ニセ発表。 飲み屋で札びら切る男、魚の出どころ聞く女。 起きたる事故は数あれど、安全、安全、鳴くおうむ。 なりふりかまわずバラまくものは、 粗品、広報、放射能。 運ぶアテなき廃棄物、山積みされたる恐ろしや。 これは、1972年に結成された 双葉地方原発反対同盟がつくった「原発落首」だ。 40年前に、すべてが言い尽くされている。 以下、そのフクシマをめぐる数冊を紹介する。 類書は多いが、ややディープなものを選んだ。 ◆若松丈太郎『福島原発難民』(2011・5 コールサック社) 福島が「フクシマ」になったのは3・11以降のことではなかったことを言いたくて、まず詩集をとりあげる。『鎮魂詩四〇四人集』(1408夜)のコールサック社の詩集シリーズのなかの一冊だ。サブタイトルが「南相馬市・一詩人の警告 1971年