筒井庄治郎が、明治12年(1879)に発行した奈良名所案内図。 元治元年(1864)の「和州奈良之繪圖」の改訂版。 編集者の「故人 筒井庄八」は元治版に見える「絵図屋庄八」のこと。 元治版と同じ横長図で、南都七大寺の寺院名や奈良八景を列記し、 春日大宮御祭・同若宮御祭礼・薪能・二月堂・大仏殿の説明を付け、羅針盤をかたどった円形を12等分して方角を区切り、橋本町から各名所までの里数記入。 大仏殿の左には、「円聖武天王御勅願所也、御たけ五丈三尺五寸、御堂高サ十五丈六尺、東西卅二間南北二十八間、くわいろう東西九十間南北百間也、但南向」と記す。 西大寺・法隆寺などの名所は、実際の距離よりも近く描き、里数を注記。左側に絵図以外の情報をまとめ、東西の紙幅を広くし、合羽刷りで黄色と赤色の彩色を施す。 元治版の「五軒ヤシキ」の字を抹消し、「御奉行所」は「御奉行跡」に「多門屋敷」は「多門」にかえて奈良奉行所