兵庫県姫路市の公園に、高さ26・75メートルの塔がそびえている。全国規模では唯一という、太平洋戦争の空襲犠牲者の慰霊塔だ。一般にはあまり知られていないこの慰霊塔は、なぜ姫路市に建てられたのか。 JR姫路駅から約1・5キロの手柄山中央公園に、その「空爆死没者慰霊塔」がある。1956年建立の鉄筋コンクリート造りだ。剣を地中に刺した意匠で不戦の誓いを表している。 国は52年に連合軍の占領が解けた後、旧軍人軍属らへの恩給、援護制度を作った。だが塔の裏には、「非業の死を遂げた幾多の無辜(むこ)の市民については全くこれを顧みるところがなかった」などと国を厳しく批判する文章が刻まれている。 しかし、この塔はあまり知られていない。 民間戦災被害者の救済立法に取り組む超党派国会議連(会長・河村建夫元官房長官)が4月、法案素案に「国の慰霊施設の設置」を盛り込むと、総務省は「国立ではないが、すでに全国規模の施設