「北京時間」と「新疆時間」 新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチの地窩堡国際空港に昼過ぎに降り立つと、シシカバブの匂いが、ツンと鼻を突いてきた。シシカバブは中国では、「羊肉串」(ヤンロウチュア)と呼ぶ。文字通り羊の串焼肉に、新疆ウイグル独特の七味唐辛子を振りかけた名物料理だ。 地窩堡国際空港は改装して13年になる近代的な建物で、地元観光協会の人と思しき男性が、降り立った人一人ひとりに観光地図を配っていた。こんなサービスをしてくれる中国の空港は、他にはない。後に知ったが、観光客激減で、それほど苦労しているのである。 他の空港ではないハプニングにも出くわした。空港の出迎え口で待っていてくれるはずの現地の運転手が、見当たらなかったのである。というより、300人を乗せた飛行機が北京から到着したばかりで、他にも中国各地からの便が続々と到着しているというのに、出迎える人が皆無なのだ。代わりに重武装した