作家の村上春樹氏が母校の兵庫県立神戸高等学校図書館で借りた本の図書カード(本についている貸出用のカード)が、2015年10月5日の神戸新聞ネットニュース及び夕刊で公表されました。これは、神戸高校図書館の廃棄図書に残っていた図書カードが、カードに氏名が載っている本人の同意なく神戸新聞に提供されたものです。公表されたカードには、村上氏のほかにもその本を借りた当時の生徒の学年、組、氏名、貸出日、返却日が記入されており、それらがはっきりと読み取れる状態の画像が掲載されました。 私たち学校図書館問題研究会は、1985年の結成当時から利用者のプライバシーを守ることの大切さについて議論を重ねてきました。1988年には「のぞましい貸出方式が備えるべき五つの条件」を確認し、その5つめには「返却後、個人の記録が残らない」とあります。私たちは、今回のできごとが利用者のプライバシー保護の点から問題があると考えます