<失われた公演>を記録する:コロナ禍とエンパクの取組 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館・後藤隆基(ごとうりゅうき) 演劇・映像文化の研究機関であり,博物館でもある早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(エンパク)では,2020年4月以来,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために中止や延期を余儀なくされた舞台公演の調査と資料収集を行い,10月7日からはオンライン展示を開催している。未曾有のパンデミックをアーカイブする様々な取組が各地で行われているが(E2282,E2283,E2321参照),当館の取組は,演劇という視座から<現在>を歴史化すること,2020年に上演が叶わなかった公演を,関係者個々の<記憶>だけでなく,公の<記録>として集積し,後世に伝えることを企図したものである。 演劇は,実際に上演されなければ,そのとき,その作品が<表現>されたことにならない。コロナ禍による公演の中止・延期