筆者が現行システムの見える化において「RUP(Rational Unified Process)」を用いる理由は二つある。一つは,作業の手順やその成果をすべてUMLで完結できること。全面的にUMLを用いることで,あいまいになりやすい成果物を論理的に一貫した形式で表現できる。 もう一つは,ビジネス分析モデルとシステム・モデルという抽象度の異なるモデル同士をひも付けられることだ。システムはあくまで業務を実現するための手段に過ぎない。そのシステムは業務とともに変化し続ける。こうした状況では,ビジネス分析モデルとシステム・モデルを同期させながら,継続的にメンテナンスできることが重要である。その点,UMLで業務とシステムをマッピングできるRUPは,見える化に向いた手法といえる。 まずはシステムをモデル化する RUPによる現行システムの分析(As-Is分析)は,システムと業務のモデル化を並行して進め,