「ヒートショックに注意を」。この冬、警察や医師が耳慣れない言葉でお年寄りに注意を呼びかけている。「熱の衝撃」を意味する現象が引き金となって命を落とすお年寄りが後を絶たないためだ。はてさて、ヒートショックによる死とは−−謎解きのキーワードは「節電」と「風呂」だ。【近松仁太郎】 寒い冬の夜、身も心も温めてくれるのが風呂。ところが、お年寄りには注意が必要だ。暖房が効いた居間から、冷えた脱衣場で服を脱ぐと、血管が収縮して血圧が上がる。そのまま熱い湯につかると今度は血管が広がり、血圧が下がる。こうした体に強い負担がかかる温度変化が「ヒートショック」。 暖房が効いた居間と冷えた脱衣場の温度差は10度以上ある場合もある。急激な血圧の上下で意識がもうろうとしたり、意識を失って浴槽で溺れてしまうお年寄りがいる。 厚生労働省によると、昨年1年間で浴槽で水死した人は全国で4433人。このうち約9割は65歳