現代中国人の自伝的物語といえば、どうしたって文化大革命と毛沢東を批判的に描いたベストセラー、ユン・チアン「ワイルド・スワン」を思い浮かべてしまうのですが、これはどうか。 ●李昆武/フィリップ・オティエ『チャイニーズ・ライフ 激動の中国を生きたある中国人画家の物語』上・下巻(野嶋剛訳、2013年明石書店、各1800円+税、amazon) タイトルどおり、ひとりの中国人の自伝マンガです。本書の成立過程がすこし変わってて、企画は中国在住のフランス外交官であるフィリップ・オティエ。李昆武は雲南省昆明の新聞社で美術記者として働いていましたが、知り合いのオティエから、平凡な中国人としての自伝マンガ執筆を依頼されます。 全三巻がフランスで刊行されたのが2009年~2011年、タイトルは「ある中国人の人生」。英訳が2012年。中国本土で中国語訳(っていうのか?)が出版されたのが2013年1月になってから。