オープンソースのソフトウェアが質、量ともに充実していくなかで、日本語フォントは成長が遅れていた分野の1つだが、徐々に選択肢を増やしてきている。行書体や隷書体などはほとんど見かけないが、日常的に使用するゴシック体、明朝体であれば実用になる日本語フォントがオープンソースで利用可能になっているのだ。そこで本稿では、オープンソースの日本語フォントを集め、それらの概要とサンプルをカタログ化してみたい。
Emacsファンが指折り数えて待ち望んでいたGNU Emacsの新バージョンがようやく公開された。Free Software Foundation(FSF)からGNU Emacs 22のリリースがアナウンスされたのは(正確に言うとバージョン22.1だが……)、前バージョンのリリースから実に6年近くの歳月を経ての出来事になる。今回のリリースでは、GTK+のサポート、Xでのドラッグアンドドロップの対応、各種の新規モードの追加、GNU Debugger(GDB)のグラフィカルインタフェース化などが行われている。 FSFに対しては、安定バージョンのリリースにこれだけの期間を要した点について若干の批判が寄せられている。実際、前回のEmacs 21のリリースは2001年10月まで遡らなければならない。 例えばJon Corbet氏が5月に投稿した記事には、せっかく開発したパッチや機能が安定リリースに反
正式公開はまだ数か月先とはいえ、GNU一般公衆利用許諾契約書(General Public License)のバージョン3(GPLv3)には、既にバージョン2とほぼ同じくらい多くの誤解が存在する。 こうした誤解の一部はGPLv3の長期にわたる公開改訂プロセスに起因しており、このプロセスは根拠のない噂や読み誤りを生むきっかけを数多く生んでいる。また、とりわけ特許やTivo化(TiVoization)に関する文言など、GPLv3における数々の重要条項の大幅な書き直しに起因した誤解もある。現行のドラフトでは既に修正や解決が行われているというのに、以前のドラフトの問題を気にかけている人々がいるのだ。また、フリーおよびオープンソースソフトウェアに反対する勢力による意図的な誤解と思えるものもある。さらに、GPLv3が体裁と内容の点でGPLv2よりも法的文書らしさが増しているという事実も、混乱を大きくし
Emacsはテキスト・エディタだが、その枠だけにはとどまらない。たとえば、PIMやタスク管理ツール、電子メール・クライアントなどとしても使うことができる。私にとっては、Emacsは文章の執筆と発行のためのツールである。その際、Museモードが特に役立っている。 Museモードとは、Michael Olson氏が手がけているもので、文書を作成するための習得しやすいマークアップ言語と、各種のフォーマットで出力を生成するための一連のスタイルとが組み合わされている。対応フォーマットは以下のとおりだ。 LaTeX(標準のbookクラスまたはarticleクラスを使用) Texinfo PDF(LaTeXベース) HTMLおよびXHTML DocBook XML Blosxom(軽量なブログ・ツール) 世間でMuseが実際に使われている用途には、ドキュメンテーションとチュートリアル、Webページ、レシ
Gnashは、Adobe(および同社に買収されたMacromedia)のShockwave Flash(SWF)ファイルを再生できるフリーのプレーヤだ。Gnashの開発者Rob Savoye氏が、Free Software Foundation(FSF)の要請を受けてプロジェクトを立ち上げたのは昨年の秋である。 米コロラド州を拠点にコンサルタント活動を行うSavoye氏は、FSFの声がかかる以前から、Flashプレーヤの実装を丹念に調べていた。組み込み可能なプレーヤを手がける顧客の依頼を受けてのことだ。swfdecがActionScriptに対応しておらず、GPLFlashのコードが根本的に書き直されていることを知った彼は、Flashに対応していたゲーム開発用ライブラリgameswfに取り組むことを決めた。gameswfは、ActionScriptに対応し、Flash 7の仕様の大半を実装
Mozilla Foundationは、今後の開発およびリリース体制をLinuxディストリビューション側の要請に合わせる方向で改善してゆくことに同意した。同ファウンデーションからの発表では、今回の合意に関心を示すすべてのLinuxディストリビューションとの間で、パッチの管理、ディストリビューション専用パッケージの作成、開発ポリシの決定に関し、より直接的な協力関係を築くようにするとされている。 これまでにもMozillaからはLinux用の“vanilla”パッケージとして、Webブラウザ、電子メールソフト、および各種の複合製品が提供されてはいたが、実際問題としてLinuxユーザの大部分は、各自のディストリビューション側から用意されるカスタムビルドを使用するのが常であった。通常こうした措置において個々のディストリビューションが行っているのは、GCCや標準Cライブラリなど低レベルのシステムコン
Debianの最新バージョンはEtchの名称で12月のリリースが予定されているが、同ディストリビューションに同梱するWebブラウザとしては、Mozillaが権利を所有するFirefoxを収録することが希望されている。この件に関するMozilla側からDebianに対する返答は、そうした形態でリリースする場合、同ソフトウェアの付属アートワークを外すことはできないという旨のものであった。なお法律関係の専門家によると、著作権法と商標法を正しく用いていれば、こうした問題はそもそもが生じなかったはず、ということになる。 知的財産保護を専門とする法律家で、以前にOpen Source Initiativeの相談役を務めていたLarry Rosen氏がNewsForgeに語った説明によると、「オープンソースに関する著作権のライセンスに従うと、特定のソフトウェアに対して任意の変更を施すことも、逆に何らの変
Debianパッケージの作成は、よく知らない人にすれば、実際よりもずっと難しく見える謎めいたプロセスである。その謎を少しでも解明できればと思い、この記事ではDebianパッケージを構築する2つの方法を取り上げる。標準のDebianパッケージングツールを使う方法と、CheckInstallユーティリティを使う方法だ。 この記事で取り上げるツール群はDebianとUbuntuでのパッケージ作成に用いたものだが、MEPIS、Xandros、Linspire、Freespireなど、Debianから派生した他のディストリビューションにも使えるだろう。紹介するツールや手法はこれらのディストリビューション全般にあてはまるはずだが、説明を簡単にするために、この記事では統一して「Debianパッケージ」という表現を用いることにする。 また、各ディストリビューションのパッケージングに関するポリシーの話には踏
Konsoleの作者Lars Doelle氏は7月、2つのプログラムにKonsoleのライセンスであるGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)に違反している疑いがあるというメモをMotorolaFans.comのフォーラムへと投稿した。GPL違反という問題は今に始まったことではない。しかし今回の場合Doelle氏は違反者に対し告知するだけに留まらず、違反プログラムの「ユーザ」に対しても違反プログラムの使用禁止を命じている。 Doelle氏によれば、Konsoleのコードを使用しているeKonsoleとqonsoleという2つのプログラムがGPLに違反していると言う。eKonsoleとqonsoleは、Konsoleを組み込み環境で使用できるようにMontaVista Mobilinuxディストリビューションへと移植したプログラムだ。 どちらのプログラムの作者もその身元は明らかではなく、Mot
先日、私は自宅のデジタルビデオとデジタル写真をバックアップするためのディスク容量を十分に確保しようと思い、新しいハードディスクを買って自宅のLinuxサーバーに増設した。保存しようとするすべてのファイルを1つのハードディスクに移動し、新しいバージョンのLinuxにアップグレードするために古いハードディスクのパーティションを切り直した。オペレーティングシステムの再インストールを終えた後、バックアップハードディスクをマウントしたわけだが、そこで中身が空だということが判明した。どういうわけか、全データをバックアップしたハードディスクと、消去するハードディスクとを取り違えてしまったのだ。こうして外部メディアへのバックアップを失敗したおかげで、写真とビデオのバックアップをすべて失ってしまった。 私はしばらく呆然としていたが、なんとか立ち直り、ファイル復元の方法を探すことにした。失ったファイルやパーテ
現在改訂が進められているGNU GPLのバージョン3 (GPLv3)、ディスカッション・ドラフト1の日本語全訳を公開する。原文のレベルでは、すでにディスカッション・ドラフト2が公開されていることに注意してほしい(ドラフト2の日本語訳も、準備が出来次第公開する予定である)。この訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。 GNU 一般公衆利用許諾書 (GNU General Public License) バージョン3のディスカッション・ドラフト1、2006年1月16日 日本語訳、2006年8月25日 これは草稿です。GNU 一般公衆利用許諾書の、正式に発表されたバージョンではありません。 Copyright (C) 2006 Free Software Foundation, Inc. 51 Franklin Street, Fifth Floor, B
2.1 0. 定義 第0節には、新しく導入された2つの用語、「『保護された著作物』 (covered work)」と「伝播(propagate)」の定義が含まれています。「『保護された著作物』」という用語を使うことにより、改訂されたGPLの言い回しをいくぶん簡明で分かりやすいものにすることができるのです。 「伝播」という用語には、二つの目的があります。一つは、GPLが条件を課すような種類の著作物の利用と、GPLが(ほとんどの部分において)条件を課さない種類の利用を分別するための簡単で便利な手段を提供するということです。 第二に、「伝播」という用語を使うことによって、本許諾書をその言い回しや効力において可能な限りグローバルなものとするという私たちの目標に一歩近付くことができます。ある著作物がGPLの下で許諾されていた場合、いくつかの特定の国々の著作権法が本許諾書の下で浮上するある種の法的問題
はじめに 「ライセンス間の矛盾(incompatibility)」という概念がある。日本語では まだあまり馴染みがないかもしれないが、オープンソース・ライセンシングを 考える上で非常に重要なことだと思うので簡単にご紹介したい。 訳語について いきなり余談だが、この話は海外におけるオープンソースがらみの議論では、あるライセン スがあるライセンスとcompatibleでない、という形でよく出てくる。FSFの定義 を見てもlicense compatibilityとなっている。compatibilityの訳としては、 普通「互換性」という語をあてるのではないかと思うが、以前筆者がGNUのウェ ブページや文書を訳した際には、compatibleを日本語で「互換」にしてしまう と、ぱっと見では両者がまるで互いに取り換え可能なように思われてしまうのではない かと危惧した。例えば、GNU GPLと現行の
GNU General Public License(GPL)は最も広範囲に用いられているソフトウェアライセンスの1つだが、同時に最も誤解されている規約であることも間違いがないだろう。こうした誤解の中には、反対派によるプロパガンダ活動に起因している部分もあるが、法律の専門家および素人の双方においてライセンス関連の条項に触れる機会が少ないこともそうした原因の一部であり、またエンドユーザ用のライセンス条項として通常用いられている文言とGPLの条文とが混同されているという側面も存在しているようだ。いずれにせよ、こうした混乱を生み出している主要な原因は、条文の誤読、世間に流布している噂、受け売り的な条項の流用、そして一方的な思いこみだと見ていいだろう。 今回NewsForgeは、実際どのような誤解が蔓延しているかを確認するにあたり、Software Freedom Law Centerの弁護士で同
GNU GPLは無から突然湧いて出てきたわけではない。GNU GPLと名が付くライセンスが登場する以前の事情をまとめてみた。 「GNU GPLをめぐって」ということでいろいろ書いてみようと思う。とりあえずGNU GPLと名が付くライセンスが登場する以前の事情を一通り押さえておきたい。今となっては信じがたい、というほどのことでもないが、GNU GPLなどというものが存在しないのどかな時代もあったのだ。 GPLなきGNU Richard M. Stallman率いるGNU プロジェクトと、彼が書いたGNU GPL(General Public License)とは切っても切れない関係だ。それだけに、プロジェクト発足当初か らGNU GPLが存在していた、あるいはGNU GPLによってGNU プロジェクトの方向 性が規定されたと思っている人もいるようだが、実はGNU プロジェクトが開始 された1
Web 2.0は、オープンソースやフリーソフトウェアにどのような影響をもたらすのだろうか。Web 2.0はフリーソフトウェアの味方なのか、敵なのか。 ここのところ、「Web 2.0」という言葉がソフトウェア業界を席巻している。 しかし、その意味を正確に理解している人はほとんどいない。そもそも提唱者 Tim O’ReillyのWhat Is Web 2.0からして、対比的に「Web 2.0的な」事例はいくつも挙げてはい るが、言葉でうまく定義できているわけではない。その事例にしても、Web 1.0とどこが違うのかよく分からないものもある。例えば、CMSとWikiがどう本質的に違うのか、筆者には今ひとつピンと来ない。 ただ、流行ものには流行るだけの意味はあるもので、Web 2.0という話が全 く無意味かと言えばそんなことはない。ここ数年で、ソフトウェアの開発が発 想のレベルでだいぶ変わってきた
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