成年後見利用が自動的に選挙権喪失に繋がるのかどうなのか、いろんな動向を調べている。その中で、昨年の2010年5月20日にヨーロッパ人権裁判所が下した判決にぶつかった。 EU加盟諸国の間では、障害者の選挙権制限を撤廃ないし緩和する動きが顕著であるが、なお後見利用が自動的に選挙権喪失に連動する法制度を持つ国もある。この事件の被告側となったハンガリーもそうした国の一つであり、同国憲法には、後見に付されたものは選挙権を失う旨の規定が明記されている。2010年5月20日にヨーロッパ人権裁判所は、同国のこの後見規定がヨーロッパ人権条約に抵触するとの判決を下した。ECtHR, Alayos Kiss v. Hungary, No38832/06,Judgment of 20 May 2010. なおヨーロッパ人権裁判所というのはヨーロッパ人権条約を批准している加盟国の条約実施状態を監督するために1950