平成19年の年末に第一審判決が出され、結論の是非をめぐって、マニアックな知財業界の一部で盛り上がりを見せた北朝鮮映画著作権侵害事件。 その1年後には、知財高裁が、映画の著作権による保護を否定しつつも、一般不法行為の成立を肯定し、放送局(一審被告)側に12万円の支払いを命じる、という衝撃的な逆転判決を書いたこともあって、渉外的な観点からも、著作権による保護と一般不法行為による救済との関係を考える、という観点からも、いろいろと注目された事件であった*1。 あれから3年。 双方が上告受理申し立てを行ったこの事件に最終決着を付けるべく最高裁が示した結論は、原判決を破棄し、原告全面敗訴(被告であるテレビ局側の全面勝訴)とする当たり障りのないものとなったが、最高裁が示した判決理由の中には、原審までの間に出てきそうで来なかった本件の重要な本質も、僅かに含まれているように思われる。 そこで、以下では、この