タグ

ブックマーク / k-houmu-sensi2005.hatenablog.com (60)

  • 最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2014年版) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    前回の総選挙からちょうど丸2年が経とうとするタイミングで、再び訪れた審判の時。 そして、それに合わせて行われるのが、最高裁裁判所裁判官の国民審査である。 いつも言われているとおり、一般市民にとっては限られた情報しかない状況で、特定の人に「×」を付ける、というのは、極めて難解な作業であるのは間違いないわけで、多くの場合は「白票」(=信任票)を投じることになるわけだが*1、同じ「白票」を投じるにしても、それぞれの裁判官がこれまでに表明されたご意見について、ある程度前提知識を持ってから投票所に行った方が、多少なりとも“義務を果たした感”を得られるのではないか、と思う。 実に10名の裁判官が対象となった前回の国民審査*2に比べると、今回は、前回の国民審査からの間隔が短いこともあって、対象となる裁判官はその半分の5名、さらに、任命から一番日が経っている裁判官(鬼丸かおる裁判官)でも約1年10か月、最

    最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2014年版) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • まだ終わっていなかった「切り餅」事件 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    新春早々、最高裁HPにアップされたいくつかの判決を眺めていたら、どこかで見たような特許の無効審判不成立審決取消訴訟の判決が上がっていたので、思わず気になってダウンロードしてしまった。 平成23年9月7日に、知財高裁の衝撃的な逆転中間判決*1が示された後も、決して和解には持ち込まれることなく、最終的に最高裁の上告棄却決定(&上告受理申立不受理決定)までいってしまった*2、越後製菓とサトウ品の戦い。 まだ第二次訴訟が続いているのかどうか等、自分も良く分かっていないところはあるのだが、少なくとも最高裁決定が出された時点では、敗れた被告(サトウ品)側も振り上げた拳を下ろしていなかっただけに、この争いは、まだまだ続くだろうな、という予感はしていた。 そして、そんな予感を裏付けるようにアップされたのが以下の判決である。 知財高判平成25年12月24日(H25(行ケ)第10106号)*3 原告:佐藤

    まだ終わっていなかった「切り餅」事件 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • ついに世に出た“真打ち”的評釈 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    昨年秋に判決が出て以降、ジュリスト、NBL、と、ボチボチ速報的な評釈が登場していた「自炊代行業者著作権侵害事件」だが、1月6日付けで、判例DB大手のWestLaw社の「今週の判例コラム」のコーナーに、北大の田村善之教授の解説が掲載された*1。 おそらく、そんなに時間が経たないうちに、会員しか読めないエリアに持って行かれてしまうことになるとは思うのだが、コンパクトにまとめられたものであるにもかかわらず、今回の2件の東京地裁判決に対する評価としては、個人的に最も共感できる内容となっているだけに、取り急ぎこの場でご紹介しておくことにしたい。 「自炊代行業者と著作権侵害の成否」 田村教授の解説は、「自炊」の問題全般に簡単に言及した上で、「タイプ毎の著作権侵害の成否」について述べていくところから始まる。 そして、今やすっかりこの分野での必読論文になりつつある、小坂準記=金子剛大「まねきTV・ロクラク

    ついに世に出た“真打ち”的評釈 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • ニッチな攻防の末の妥協?〜企業結合審査をめぐる公取委のセンス - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    地デジバブルが去り、メーカーともども、日々崖っぷちに近づいている感がある家電量販業界。 ヤマダ電機が、約半年前にベスト電器との「資・業務提携」を発表した時も、当事者の大営発表で描かれているような“前向きな提携”をイメージできた人は稀で、多くの人は、一種の“救済的吸収合併”、と受け止めたのではないかと思う。 そんな中、暫しの時を経て、公正取引委員会による企業結合審査の結果が公表された。 「家電量販最大手のヤマダ電機は10日、ベスト電器の買収を公正取引委員会が同日付で承認したと発表した。同一グループの店舗による市場支配を避けるため、2013年6月末までに8店を第三者に譲渡する契約を結ぶことが承認の条件。」(日経済新聞2012年12月11日付け朝刊・第13面、強調筆者(以下同じ)) 公取委が公表した12月10日付けのリリースは、↓のとおり。 http://www.jftc.go.jp/pr

    ニッチな攻防の末の妥協?〜企業結合審査をめぐる公取委のセンス - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 新日鉄は国際裁判管轄の壁を超えられるか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    春先からメディアを賑わせている、「新日鉄対ポスコ」の営業秘密侵害訴訟*1。 提訴が報じられてから約半年、訴えた側の企業再編やら何やらを経て、ようやく、第1回の口頭弁論が開始されたようである。 「新日製鉄(現新日鉄住金)が韓国鉄鋼大手ポスコを相手取り、高級鋼板の製造技術を不正に取得したとして、約1000億円の賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、東京地裁で開かれた。」(日経済新聞2012年10月26日付朝刊・第9面) 新日鉄住金にとっては、まさに“社運を賭けた”戦いになるのは間違いないところで、記事の中でも「情報の流出源とされる元社員宅で証拠書類を差し押さえるなど入念な準備を進めてきた」*2とされている。 元々、件は、ポスコ→中国・宝山鋼鉄への技術流出に関する訴訟記録上、「新日鉄から技術を(不正に)入手した」という証言が出てきたことが発覚の経緯だと言われていて、そういった比較的

    新日鉄は国際裁判管轄の壁を超えられるか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 不幸と憎しみの連鎖 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    かねてからこのブログでも何度か取り上げている、オリンパス内部通報者不当配転訴訟。 夏休みには当事者である浜田氏のもご紹介したところだったのだが*1、この問題の根の深さを改めて感じさせるような記事が、4日付の朝刊に掲載されている。 「社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に上司の行為を通報した後の配置転換が裁判で無効と認められたのに、会社側が処遇を改善しないなどとして、オリンパス社員、浜田正晴さん(51)が3日、同社に1500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。」(日経済新聞2012年9月4日付け朝刊・第34面) この件に関しては、会社側の上告が既に棄却されており、浜田氏に対する配転無効の判決も既に確定している。 にもかかわらず、「オリンパスは配転先から異動させず、子会社への転籍や出向を打診」するなどしている、というのが損害賠償請求訴訟を提起した浜田氏側の言い分であり、多くの

    不幸と憎しみの連鎖 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 著作権の世界に見えた希望の光〜『BLJ』2012年6月号より。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    日経新聞の広告で、特集のタイトルが「著作権法はビジネスの足かせか」となっているのを見て、是非とも買わねば・・・と思っていた、『Business Law Journal』の最新号。 いつもなら、Amazonでクリックして週末にじっくり、というところだったのだが、今回は待ちきれなくて屋まで買いに行ってしまった。 BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2012年 06月号 [雑誌] 出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン発売日: 2012/04/21メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る ・・・で、この特集が、また想像していた以上のクオリティ、である。 何が凄いって、先月末に公表されたばかりの著作権法改正案の解説が入っている上に、それを福井健策弁護士が執筆し、さらに上野達弘教授や業界関係者のコメントまできっちり収められているところ。 今

    著作権の世界に見えた希望の光〜『BLJ』2012年6月号より。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 原発損害賠償紛争をめぐる綱引き - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    鳴り物入りで発足しながらも、体制の脆弱さゆえに、紛争解決に向けた進捗の遅れが、関係筋で指摘されている、「原子力損害賠償紛争解決センター」。 そんな中、昨年末に仲介委員の和解案が示され*1、双方の対応が注目されていた。 「原発事故の損害賠償を巡る紛争で和解を仲介する政府の「原子力損害賠償紛争解決センター」を通じ、東京電力に不動産の価値下落分や慰謝料などの支払いを求めた福島県大熊町の夫に対し、東電が26日、不動産の賠償を含む和解案に一部応じるとの回答をしたことが分かった。夫側弁護団が明らかにした。」(日経済新聞2011年1月27日付け朝刊・第35面) 弁護団のHPによれば、センターの和解案では、 「東京電力は件申立人(福島第一原発から約5キロ圏に自宅を持つ)に対して,不動産を含む財物の財産価値喪失分の賠償を直ちに行うべきである。」 という見解が明確に示されていたようである。 そして、東

    原発損害賠償紛争をめぐる綱引き - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • たった一度だけだった奇跡。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    「ローマの休日」仮処分事件を皮切りに、「シェーン」事件の最高裁判決で、旧著作権法下で世に出された名作映画が、一気にパブリックドメイン化する・・・と思ったのもつかの間、チャップリンや黒澤明の映画に関し、「監督という自然人を著作者にする」という大技で権利者側が一気に巻き返した感がある*1、映画著作権の存続期間をめぐる一連の事件。 平成21年のチャップリンの最高裁判決で、事実上流れが決まってしまったような気がして、自分も最近ではあまり個々の判決を追いかけていなかった。 だが、最高裁HPに突然アップされた一つの最高裁判決を読んで、「存続期間」をめぐる質的な問題を改めて思い知らされた次第である。 以下、今回の最高裁判決の内容を、件のそれまでの下級審判決と合わせて、ここでご紹介することにしたい。 最三小判平成24年1月17日(H22(受)第1884号)*2 上告人(原告):東宝株式会社 被上告人(

    たった一度だけだった奇跡。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 債権法改正を遮二無二進めようとする人と、それに抗する人と。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    今年一年、企業法務をめぐる様々な動きがあった。 やはり一番のインパクトは震災、原発事故絡みのあれこれだったと思うのだが、もうひとつ、債権法改正をめぐって、「中間論点整理」&それに対する意見募集、という大きな動きがあったことも忘れてはならないだろう。 正直、夏頃までは、諸々の出来事に追われて、冷静に債権法改正そのものあり方とか、賛成論者、反対論者双方の主張の根底に流れる“魂”の部分にまで目を向ける余裕があまりなかったのだが、ここに来てようやく、少し落ち着いて振り返ることができるようになりつつあるので、の紹介と合わせて、簡単に触れておくことにしたい。 改正推進派の執念 民法の中でも中心的なポジションを占める「債権法」を大幅に見直す、ということについては、研究者からも、実務サイドからも反対の声が依然として強く、先日公表されたパブコメの中にも、各所からの“怨嗟の声”があふれている*1。 そんな“

    債権法改正を遮二無二進めようとする人と、それに抗する人と。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • Winny無罪は必然か?それともクリスマスの奇跡か? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    20日の夜から21日にかけて、一斉に報じられた、「『ウィニー』開発者無罪確定へ」というニュース。 最高裁で検察官上告が棄却され、開発者の金子勇氏に対して「逆転無罪」判決を言い渡した大阪高裁の判決(大阪高判平成21年10月8日)が維持されたことにより、2004年の逮捕以来、“被疑者”“被告人”という地位に身を置き続けることを余儀なくされた金子氏も、ようやく名実ともに“解放”されることになった、といえるだろう。 「Winny」をめぐる一連の捜査が開発者の逮捕、起訴という事態にまで至ってしまった背景には、当時の世の中に蔓延していた「インターネット文化」に対するいわれなき不信感があったように思われ、法的な解釈はともかく、一開発者にまで刑事責任を負わせる、というのはやり過ぎ! という意見は、実務家の間でも当初から根強かった(元々、「幇助犯」のような従犯は、どんな事件でも常に起訴される、というわけでは

    Winny無罪は必然か?それともクリスマスの奇跡か? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 最後の最後で使われた切り札。〜北朝鮮映画著作権事件の決着 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    平成19年の年末に第一審判決が出され、結論の是非をめぐって、マニアックな知財業界の一部で盛り上がりを見せた北朝鮮映画著作権侵害事件。 その1年後には、知財高裁が、映画の著作権による保護を否定しつつも、一般不法行為の成立を肯定し、放送局(一審被告)側に12万円の支払いを命じる、という衝撃的な逆転判決を書いたこともあって、渉外的な観点からも、著作権による保護と一般不法行為による救済との関係を考える、という観点からも、いろいろと注目された事件であった*1。 あれから3年。 双方が上告受理申し立てを行ったこの事件に最終決着を付けるべく最高裁が示した結論は、原判決を破棄し、原告全面敗訴(被告であるテレビ局側の全面勝訴)とする当たり障りのないものとなったが、最高裁が示した判決理由の中には、原審までの間に出てきそうで来なかった件の重要な質も、僅かに含まれているように思われる。 そこで、以下では、この

    最後の最後で使われた切り札。〜北朝鮮映画著作権事件の決着 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 何を「正義」と呼ぶべきか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    平成18年夏の事故発生以来、“飲酒運転の恐ろしさ”を象徴するような出来事として語り継がれてきた「福岡飲酒運転3児死亡事故」。 「飲酒運転」が社員のコンプライアンス上の重大事象とされるようになった一つの契機となった事故、そして、事故を起こした社員・職員の処分量定をめぐって紛議が勃発する契機となった事故でもあった。 さらに、その後、加害者が起訴され、公判で裁きを受ける段階になっても、第一審(福岡地判平成20年1月8日)、控訴審(福岡高判平成21年5月15日)とで、危険運転致死傷罪の適用を巡って判断が分かれたこともあり、判決が出されるたびにメディアを賑わせる・・・そんな象徴的事象に一つの区切りを付ける判決が出された。 最三小判平成23年10月31日(H21(あ)第1060号)*1 この事件で最大の争点になっていたのは、被告人の行為が、事故当時の刑法第208条の2第1項前段*2、 「アルコール又は

    何を「正義」と呼ぶべきか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • まねきTV&ロクラク2最高裁判決の先にあるもの - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    今年の1月、多くの知財業界関係者に強いインパクトを与えた2件の最高裁判決(まねきTV、ロクラク2事件)が出されたのは記憶に新しいところである*1。 判決当初の“射程無限大”的な理解は、その後の冷静な議論を経て最近ではすっかり影をひそめ、今では、「放送の取得」という上記2事件のサービス運営事業者の行為の特徴に着目したり、最高裁判決の細かい文言の言い回しに着目するなどして、最高裁判決の射程をかなり限定して理解する見解が有力になっているのであるが*2、いかに“外部”の人間が議論を繰り返したところで、肝心の裁判所が今後「最高裁判決」をどう使うか、というところをしっかり見ていかないと、当の意味での判決の“射程”について断定的なことは言いづらいのも事実。 そんな中、おそらく判決が公表された事例では初めて、上記最高裁判決を参照しつつ結論を導いた下級審判決が登場した。 最高裁判決の“その先”を議論する上

    まねきTV&ロクラク2最高裁判決の先にあるもの - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • スパイスが利いてない最高裁判決 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    京都、大阪あたりの下級審判決を契機に、違法無効か、はたまた適法な慣習か、ということで議論が盛り上がっていた建物賃貸借契約の「更新料」に関し、遂に最高裁判決が出された。 しかし、先日、当ブログで“画期的”と評価した「敷引特約」に関する最高裁判決*1とは異なり、こちらの方は、どうも煮ても焼いてもえないような、刺激に欠ける判決になってしまっている。 随所で批判も出されているこの判決を、原審判決とも比較しながら、一応眺めておくことにしたい。 最二小判平成23年7月15日(H22(オ)第863号)*2 判決で引用されている事実関係は、 平成15年4月1日 賃貸借契約締結(期間は平成16年3月31日まで) 賃料月額3万8000円、更新料賃料2ヶ月分 平成15年4月1日 引渡し 平成16年から平成18年にかけて3回、1年間の契約更新、更新料支払 平成19年4月1日以降も建物使用を継続したため、法定更新

    スパイスが利いてない最高裁判決 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 原発賠償の新しい展開。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    最初に「一律100万円」という話題が出てきた時に、もしかしたら・・・と思ってはいたのだが、予想以上の展開になりそうだ。 日経紙に掲載された、原子力損害賠償審査会・能見善久会長(学習院大教授)の単独インタビューより*1。 「99年の事故は3日で終わったが、今回は1カ月たっても収束していない点が違う。審査会で議論するが、長期の避難生活の苦痛は認められるべきだし、むしろ損害の中心ではないか」 平成11年のJCO臨界事故において、「原子力損害調査研究会」が「精神的苦痛」(精神的損害)を賠償範囲に含めなかった、ということをインタビュアーに指摘された後に出てきた答えが、↑である。 確かに、これだけ事故のインパクトが大きく、かつ影響を受ける期間が長期化すると・・・という思いは、自分にもあったし、東電が各世帯一律に仮払補償金を支払った時も「避難にかかった費用」だけでなく、「精神的苦痛への賠償」を考慮しての

    原発賠償の新しい展開。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 原賠法をめぐる議論の混乱を憂う(下) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    当は2回で完結させるつもりだったのだが、予想以上に長文化してしまったので、前々編(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20110414/1302933056)・前編(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20110415/1303037424)に続き、もう少し書き残しておくことにする。 最後は国が被害者を救済してくれるのか? 今回の事故をめぐる賠償責任の議論の中でも、 「東電が(免責されたり、資力的に限界に達するなどして)被害者への賠償責任を負えなくなったとしても、最後は国が補償してくれる(or 補償すべきである) という点においては、論者の意見はほぼ共通しているように思われる。 「東電は免責されるべきだ!」という発言を繰り返す経団連の会長にしても、「国の責任において補償すべきだ」という発言を必ずセットにしていて、決して「被害者に対す

    原賠法をめぐる議論の混乱を憂う(下) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 原賠法をめぐる議論の混乱を憂う(中) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    前編(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20110414/1302933056)に続き、今回の原発事故に伴う原賠法に基づく賠償をめぐる課題について、引き続き考えてみることにする。 誰が「賠償額」を決めるのか? 原発の事故から1ヶ月が経過したこの時点で、「原子力損害賠償紛争審査会」が立ちあがり、この15日に第1回の会合が開かれている。 既に数日前のエントリーで紹介したとおり*1、「紛争審査会」は、その名が示すような「紛争調停」の機能だけではなく、JCO臨界事故の際に「原子力損害調査研究会」が担っていた「賠償指針の策定」という機能も担う機関として位置付けられた機関であり、能見善久・学習院大学教授、というこの難題に挑むには最適と思われる民法(不法行為法)学界の第一人者が会長に選任されたことで、審査会の示す結論も、(少なくとも司法界には)重みを持って、受け止められるこ

    原賠法をめぐる議論の混乱を憂う(中) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 原賠法をめぐる議論の混乱を憂う(上) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    先月の終わり頃、「原賠法をめぐる議論を有益なものとするために。」というタイトルで軽く記事を書いていたのだが*1、それから2週間ちょっと経った今になっても、議論は落ち着くどころか、余計に混迷を深めているように思えてならない。 自分自身、震災後間もない時期から、この「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)について、いろいろと検討を重ねてきたところでもあるので、これから先の議論が、(ネット上でだけでも・・・)少しでも実のあるものとなるように、改めて現状の議論の問題点を指摘してみようと思う。 そもそも何で東京電力が賠償しなければならないのか? おそらく、今回の原発事故をめぐる議論が噛み合わない最大の原因は、なぜ、件において、「原子力事業者」が事故によって生じた損害の賠償の責めを負わないといけないのか、という点についての理解が未だ世の中に浸透しきっていないことにあるのではないだろうか。 これまで

    原賠法をめぐる議論の混乱を憂う(上) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • これはちょっと・・・なQ&A - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    最近、「震災対応」のニーズが強まっていることもあって、阪神大震災を契機に作成された“法律相談応答例”が次々とWeb上で公開されている。 そして、商事法務(「地震に伴う法律問題Q&A」(平成7年))*1、新日法規出版(「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」(平成18年))*2と公開されたところで、満を持して日弁連のHPで公開されたのが、 「東日大震災法律相談Q&A」 http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/data/soudanQ&A.pdf である。 冒頭に記されている公開のコンセプトによると、 「Q&Aは,関東弁護士連合会が出版した「災害時の法律実務ハンドブック」(新日法規出版(株))の設問及び回答を簡略化し編集し直し,それに今回の震災に特有と考えられる津波災害と原発災害の設問,回答を追加した構成となっております。」 ということ

    これはちょっと・・・なQ&A - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~