本篇は、1984年10月20日に講談社から刊行された大西巨人著『天路の奈落』に著者が加筆修正を施したものです。 現在、同書は絶版のため入手が困難な状態にあるので、本サイトにおいてPDFファイル形式で公開します。毎週月曜日に新しいファイルを掲載の予定です。 帯より── 真のマルクス主義とは何か。 「神聖喜劇」の著者が渾身の力をこめて、〝革命運動〟の道義を問う。 時はまだ戦後の混乱が続く1950年、西海は鏡山県における日本前衛党でのことである。西海地方委員会議長杉坂一整が麻薬密売容疑で逮捕される。これに関連して鏡山県委員長鮫島主税は、人間的なマルクス主義の観点から通達を発する。この直後から鮫島スパイ説が流され、遂には拡大地方委員会が開かれて多数派である「所懐派」が「万国派」を追放して行く……。 目次 序曲 麻薬密売 第一 箝口令 一 / 二 / 三 / 四 / 五 第二 拡大地方委員会の夜 一