鶴見俊輔『漫画の戦後思想』を読んでいるんだけど面白いね。 これを読んで知ったことだけども、宝塚ってのは人工都市でさ。人工的というか人の手で構成されたユートピアというか。その上に何が建ったかといえば、倒錯劇場だ。安易な物言いだけど、構成された物語の上で倒錯劇をやった手塚治虫が宝塚に生まれたのは必然ってものかもしれない。 大城のぼる『愉快な鉄工所』を最近読んだのだけど面白かった。何が面白いのかといえば、その破綻っぷりである。「鉄工場」のディテールを延々と描き、物語の当初の目的は忘れ去られ、ブツンと終わる。勿論これは雑誌連載ではなくて「描下ろしの単行本」として描かれたものなので、この非構成っぷりは見事だ。 さて『愉快な鉄工所』の舞台の満州も人工物だ。暴論だが、大城のぼるはディテールへの倒錯によって構成力のない『愉快な鉄工所』を描き、構成力のある「満州」に対置させた。手塚はその手に「倒錯」を持ちな
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