調査部 荒川 創太 先日、あるセミナーで、キヤノンが今年、一般職(組合員層)に導入した新賃金制度の内容について話を聞く機会を得た。すでに新聞等のマスコミでも報じられたように、新制度の最大の特徴は、組合員層にも「職務」と「職責」にもとづく「役割給」を導入した点にある(管理職には 2001 年に導入している)。ただ組合員層の場合、職務と言っても、実際にこなしている仕事のレベルが管理職業務に近いものから、日々のルーチンワーク(日常業務)まで幅広になっているケースも多い。一人ひとりの職務をどのような範囲で捉えるのかなどに興味があったが、同社の場合は幅があってもあくまでメーンの職務で等級を決定するとのことであった。参考になるところが多かった。 目標管理制度をやめる?! しかしながら、今回のセミナーでは、「役割給」よりもっと他のところに関心が行った。それは、いまや成果主義賃金制度における必須アイテムと
JILPT主任研究員 石井 徹 「キャリア教育と進路指導はどこが違うのですか」という質問を学校の教師からしばしばたずねられる。私は「ほとんど同じではないですか」と答えている。 学校では、進路について学ぶことを進路学習と呼んでいる。これをしっかりやらせることがキャリア教育であり進路指導である。これではなにも変わらないのではないかといわれそうである。そこでここ数年急に浮上してきた「キャリア教育」という言葉について、その背景や含意を考えてみたい。 キャリアカウンセリングの重視 背景としては近年、我が国で若年者のフリーターや不登校、学校中退の問題、さらにはニートへの対策としてキャリア教育が問われるようになってきたことがある。これは、学校に責任があるかのように思われがちであるが、仕事やキャリアの支援は学校だけでなく、家庭や地域、企業、社会が分担しなければならない問題である。 こうした若者の問題に対応
JILPT調査データ・アーカイブ アンケート調査の個票データを公開・提供しています。学術研究・統計分析等にご利用ください。 2024年5月30日 公開データリストに追加(公開本数 計174本) 「グローバル化する日本企業の経営方針と人材育成調査」(調査シリーズNo.223) 2024年5月9日 公開データリストに追加 「AIなどデジタル技術の導入と労使コミュニケーションに関する調査」(調査シリーズNo.210) 2024年5月30日 国別労働トピック(2024年5月 フランス・台湾)を更新しました 2024年5月29日 統計トピックスを更新しました(パートタイム労働者の賃金) 国内労働事情 取材記事を掲載しました 賃上げ率が1991年以来、33年ぶりとなる5%台に到達の見通しも ――労働組合の回答集計でみる賃上げ額・賃上げ率の最新状況 大手には及ばないが4.66%と1992年以来の高い賃上
概要 本報告書は民間職業紹介事業所(いわゆる人材紹介会社)の事業運営と紹介業務従事者(いわゆるコンサルタント)に関する事例研究です。近年、規制緩和とインターネットなどにより、人材紹介会社をめぐる事業環境は大きく変化しています。職業紹介の中核はマッチングですが、これらの変化はマッチングを支えている事業運営の仕組みとコンサルタントの働き方にも少なからぬ影響を及ぼしています。このため、人材紹介会社 54 社を対象にしたヒアリング調査を実施し、次のような点を明らかにしました。 (1) 事業運営の違いに注目すると、業務効率を重視する紹介会社とコンサルタントの個人的な能力に全面的に依存する紹介会社に大別できる。前者では、マッチングを組織レベルの仕事ととらえ、後者では個人レベルの仕事とみている。 (2) コンサルタントは、個人事業主的コンサルタントと組織人としてのコンサルタントのふたつの類型に分けること
JILPT主任研究員 西澤 弘 ホワイトカラー職種の職業紹介を行う有料の職業紹介事業所(いわゆる人材紹介会社)は、2000年以降、その数が急増している。この背景には、1997年の紹介職種に関する規制緩和と1999年の労働者派遣法の改正に伴う紹介予定派遣制度の導入がある。現在、職業紹介の事業許可を受けた事業所は、規制緩和前の1996年に比べて2倍以上に増えており、その結果、同業者間での競争が激化している。このような厳しい事業環境のもとで各社は生き残りのための戦略を模索しているが、その代表的なものが効率の追求と職人技である。本コラムでは、このたびとりまとめた調査結果[1]にもとづいてそれらの戦略とその課題の骨子を紹介したい。 二極化の進行 有料職業紹介事業は、企業の求人依頼に対して確保した求職者をマッチングすることを通じて収益を確保する事業である。事業運営のポイントは3つある。いかに求人を確保
JILPT研究員 藤本 真 1.若年層の雇用の受け皿? 1990 年代後半 以降、 多くのメーカーが、より低コストでの生産や、多品種少量生産体制のもとでの頻繁な生産量変動への対応を求められるようになり、その結果、「業務請負」という形で製造業務を遂行していくケースが増加した。業務請負会社に特定の業務を委託するという形で、自社で直接には雇用していない人材を活用する業務請負は、社会保険負担など直接雇用にともなうコストを削減することができ、また要員の確保に時間がかからないといったメリットを企業にもたらす。したがってその活用は依然拡大しつつあると見られ、製造業企業の立地が多い地域では、業務請負会社による求人が急増しているという。 業務請負会社に雇用される労働者は「請負労働者」とよばれることが多いが、その多くを若年層が占めているといわれる。若年層の高失業率が問題視される中で、請負労働者という就業機会は
概要 就業への移行が困難な低学歴層や非労働ヘ化する傾向がある若年層に焦点をあて、無業・フリーターの若者へのインタビュー調査や総務省「就業構造基本調査」 個票データの特別集計などにより、その意識や行動の実態を把握、分析しました。さらに、わが国の若者支援策の現状に加え、イギリスの「コネクションズ」政策など新たな施策の運営実態と評価状況を調査し、若者就業支援策を有効に展開するために必要な施策の方向について考察しました。 調査、分析の結果から、若者就業支援政策にかかわる提言として、(1)学校外の就業支援組織と学校との連携の推進、(2)就業支援組織の支援の質を高める仕組みの確立、(3)相談担当者の対応力を高める仕組みの確立、(4)若者支援に対する若者自身の参加の促進、(5)包括的な移行支援に向けた検討、(6)持続可能な公的支援の仕組みの確立、(7)学校在学段階の若者への支援の充実、をあげています。
技能をどう高め、いかに継承させるか――「現代の名工」からの言葉 AI(人工知能)をはじめとする最新のデジタル技術が、高品質なものづくりに活用されつつあり、デジタルだからこそ、見える化や再現性の向上が容易になってきている。しかし、現場では、いまだ労働者の五感や、長年にわたる作業経験が頼りになる場面も多く、時間をかけて身につけた熟練技術の大切さは変わっていない。また、デジタルが普及した仕事の世界に移行するからこそ、文字や数値などでは伝えにくい「カン・コツ」「技」について、どう後進に伝え、指導していくかがますます重要になってくると言える。本号では、卓越した技能者である「現代の名工」3名の取材などを通し、どうやって技能を高め、技能継承させていったらよいのか、現場からの声に耳を傾ける。 目次 「現代の名工」取材 2023年11月に厚生労働省が決定した2023年度の卓越した技能者(「現代の名工」)に選
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