行動分析学の最もメジャーな学会誌である Journal of Applied Behavior Analysis とJournal of the Experimental Analysis of Behavior のバックナンバーがほとんどすべて無料で読めるようになりました。 これまでも各雑誌の抄録検索サイト(JABA / JEAB)から一部の論文のPDFをダウンロードすることが可能でしたが、このたびバックナンバーがアメリカのNational Institutes of Health (NIH)が運営する PubMed Central (PMC) に収録されたことにより、近々6ヶ月の最新号以外は無料で本文をダウンロードできるようになったのです。 試しに1968年に刊行されたJABAの創刊号を見てみると、 ・Effects of teacher attention on study beha
[お断り] 1. 弾さんの「『行動経済学』友野・光文社新書に対して感想を」との要望にお応えして書いたものです。しかし、時機を逸してしまったので、トラックバックはしません(いろいろと考え込んでいるうちに思ったよりも時間が経過してしまいました。頭が悪くてすみません)。 2. 以下の記述はすべて「現時点での矢野の個人的な考え方」に過ぎません。 実際の世の中とは全然違ったり、世界の大半の経済学者は違った考え方をするかもしれません。それと実証分析には基づいていません(それどころか実証可能かどうかもはっきりしません)。「まあ、こんな風な考え方もあるのかなぁ」と参考程度に読んでいただければ幸いです。 [話の設定] さて、話を簡単にするために世界に二つの街(以下、市)しかない場合を考えます。「そんなの非現実だバカ野郎」などという苦情は一切受け付けません。とにかく誰が何と言おうが、そう仮定します。 一つ目の
Knowledge And The Wealth Of Nations: A Story Of Economic DiscoveryW W Norton & Co Incこのアイテムの詳細を見る 知識が経済にどのような影響を及ぼすかを、Paul Romerの有名な論文を中心に描いたもの。率直にいって、もとの論文を読んだ人には読む価値はないし、逆に論文を読んだことのない人には、本書の解説だけを読んでも、モデルの構造は理解できないだろう。ただ、知識や情報が経済学でどのように扱われてきたかという経済学史的なおさらいとしては、わかりやすく書かれている。 アダム・スミスやマルクスのころから、技術革新(マルクスのいう「資本の有機的構成の高度化」)が経済成長の最大のエンジンであることは認識されていたのに、新古典派は「完全情報」の世界を仮構することによって、知識の問題を無視してしまった。新古典派成長理論
弾さんから「『行動経済学』(友野典男・光文社新書)について感想を述べよ」とご要望があって、ここ数日、行動経済学ネタが出ているのですが、行動経済学は元々行動ファイナンスと呼ばれていた分野とほぼ同じで「行動ファイナンス」で検索するとかなりの解説書が見つかります。 え〜っとはじめにお断りしておきますが、矢野はこの分野の専門家ではありません。ただ、数年前に真剣にこの分野に参入しようかと思っていた時期があり、その頃に啓蒙書を1冊、サーベイ論文を1編読みました。どちらも良いものだと思うので、ご紹介します。 まず啓蒙書: 最新 行動ファイナンス入門 ジョン・R. ノフシンガー http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894716526/ 薄い本の割りに値段が高いのがちょっと難点ですが、非常によく出来た啓蒙書だと思います。一度図書館で借りて読んで、自分で欲しかっ
以前、ちょっとした話題になった経済学の論文を紹介します。その名もUgly Criminals(醜い犯罪者たち)・・・です。 英語で50ページもある論文なのですが、内容を要約すると「ブサイク→犯罪に走る」という身も蓋もない相関があることを著者らは発見していて、彼らはその原因は「ブサイク→就職で差別→犯罪に走る」のではないか推測しています(50ページの論文が約100語に要約されましたね。すばらしい(自画自賛))。 読んでみると「不美人な女性は結婚市場で不利」とか「別に研究せんでもエエやんけ」とツッコミたくなるような内容が満載です。 経済学者って素晴らしいですね。 [論文] Ugly Criminals (PDF注意!) http://www.econ.cudenver.edu/mocan/Mocan_Tekin_Ugly%20Criminals%20Jan%2031%202006.pdf こら
Barro Regression Does social capital improve regional economic growth? - Investigation using prefectural cross-sectional data in Japan - Abstract The purpose of this research is to empirically examine the relationship between social capital and regional economic growth using prefectural data in Japan. The concept of social capital has been increasingly discussed in recent literature, however, rese
<大蔵省財政金融研究所「フィナンシャル・レビュー」December−1997> 限定合理性とその成長―環境配分問題への応用 小島 寛之 要 約 限定合理性の方 法論の 整備の 必要性は,今 日ますます高 くなって き ているといえ る。 そ れは,新古典派の 想定する完全合理性による 経済分析の限 界が明らか になりつつあ り,経 済社会においては 人々が完全知のもとで行動 決定している わけではな いことが共通 認識と なってきているか らである。そこでこの論文 では,限定合 理性の問題 意識と方向性 を模索 し,そのひとつのモデルとして,「論理的選好理論」を提出することにしたい。 新古典派の経済 学 が暗黙裡に 仮定し ており,現 実的 妥当 性が疑われる ものとして,選 好 の完全性,知識の 完全性,情報の完全性,記 憶の完全性,不確 実性に 対する確率認 識の完 全性
世銀のサイトをうろうろしていたら、こんな論文を見つけた。サッカーを題材に、グローバル経済のあり方を論じる、というアプローチ。この人絶対サッカー好きで、半分ネタみたいなものなんだろうな、とか思って斜め読みしてみたわけだが、それなりに興味深いところもあった。 著者のMilanovic氏は世銀のResearch Departmentでlead economistを務める。所得格差が研究テーマのようで、こんなページも作ってる。業績リストはこんな感じ。 で、論文。細かいところは原文をあたっていただくとして、ここではさわりだけ。 サッカーというスポーツには興味深い特徴がある、という指摘からスタート。サッカーという「労働市場」は、世界で最もグローバル化が進んでいる。世界をリードするクラブチームは、国籍に関係なく優れた選手を高値で獲得する実力本位の世界であり、「労働者」である選手たちが国境を越えて移動する
Glimcher '04 Neuron。被験者対コンピュータでナッシュ均衡になるようなゲームをしているときの神経活動を記録すると、大脳皮質頭頂連合野LIPは選択肢の期待効用の比を表象していると著者は言うのだが… ■ Natureで久しぶりにsingle-unit study 「神経:眼窩前頭皮質ニューロンは経済的価値を符号化する」 "Neurons in the orbitofrontal cortex encode economic value" Camillo Padoa-Schioppa and John A. Assad おおひさしぶりにNatureに! と思ったらなんかneuroeconomics追いかけましたよ、みたいな雰囲気。しかもぱっと見orbitofrontalからの記録だし、TREMBLAY AND SCHULTZのNature '99 ("Relative rewar
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く