お会いした起業家の方が起業の動機を語ってくれた。 普遍性のある話だと感じた。 「何故起業なさったのですか?」 「話すと長いので、どこから話したらいいでしょうかね……。そうですね、私の父が倒れた時のことからですかね。」 「お父上ですか。」 「父です。体調が悪いって言って、病院で検査したら末期がんだったんです。八方手を尽くしたんですが、半年くらいで亡くなってしまって。」 「それは、ご愁傷様です。」 「まあ、酒もタバコもバカスカやってた父なので、長生きはしないだろうとは思ってましたけど、まさかあんなに早く逝くなんて想像もしませんでした。」 「そうですか。」 「で、そん時思ったんです。「人間て、あっさり死ぬんだな」って。恥ずかしながら、私その時まで人が死ぬっていう実感を持ったことがなくて。もちろん祖父や祖母の葬式には出ましたけど、それはなんというか、当然のこととして受け止めてたんです。」 「はい。