俺は文章を書くのが好きで、なぜ書くかというと支配するために書いている。 これは自分の動機を色々な意味で乱暴に表現した言い方だけど、実際この通りで、俺は世の中のたくさんの物事がよくわからなくて、それを自分の言葉で自分自身のために説明し直すことが俺にとっては対象を屈従させたことと同じなので、それが理由で書いている。 一種の、そういう暴力的な方法でしか、この世界にある意味不明さと向き合えない。とにかく俺は「わかりたい」のだが、いまは、まるで真逆のことを言う。 「説明を受けてようやくわかった」 「感じていたもやもやを(自分の代わりに)うまく言語化してくれた」という意見を最近よく目にすることがあって、それを見かけるたびに、正直言うと少し嫌な気持ちになる。 俺自身が「わかる」ために言葉を並べることに憑かれているし、俺が書いたものを読んだり講義を聞いた人に「説明上手ですね」と言われると身もだえるほどうれ