しかし、これからまさにEV販売を増やしていきたい自動車メーカーにとっては、1度の火災事故がブランドの失墜を招き、競争から脱落する恐れがある。車載電池のメーカーとしても、シェアの獲得競争が過熱する中で、自社製の電池からの発火で車両が燃えれば、自動車メーカーが調達先を変更するリスクも増す。 車載電池の発火原因はさまざまとされるが、代表格として挙がるのが、電池セルにおけるコンタミネーション(金属異物の混入、以下、コンタミ)だ(図3)。電池の製造過程では、セパレーターに使う金属の切り粉などが、セル内に混入することがある。これが内部短絡(ショート)を引き起こし、化学反応が急激に進んで一定の温度に達すると、熱暴走により発火するという仕組みだ。電池メーカーはコンタミの検出にコストをかけているが、見つけるのは容易ではないとされる。