【河原一郎】熊本県を28日まで訪れていた天皇、皇后両陛下を熊本空港で見送る人々の中に、熊本市在住の作家・石牟礼道子さん(86)がいた。今回の訪問前、水俣病の胎児性患者に会って欲しいと書いた手紙を宮内庁に送っていた。患者らと面会した両陛下をひと目見送りたいと、入院中の病院から駆けつけた。 ロビーで両陛下を待つ人たちの最前列にいたという石牟礼さん。一人ひとりに視線を配り、歩く皇后さまと目が合ったと思い、車いすから立ち上がると、皇后さまも少し歩みを緩めたように見えた。見送り後、侍従を名乗る男性が皇后さまからの伝言として、「くれぐれもお体を大切に」との言葉と見送りのお礼を伝えてきたという。 石牟礼さんは7月末、東京であった会合で隣になった皇后さまに「水俣に行きますからね」と伝えられ、その後、宮内庁に手紙を送った。「今も認定されない潜在患者の方々は苦しんでいます。50歳を超えてもあどけない顔の胎児性