黄海に面した北朝鮮の港から、木造船が忽然と姿を消した。それも3隻同時で、4人の乗組員も一緒だったために大事件となり、現地は大騒ぎになっている。 現地のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは昨年末のこと。場所は黄海南道(ファンヘナムド)の龍淵(リョンヨン)郡だ。まず、事が大きくなったのは、この場所柄が関係している。 郡内には、黄海に突き出した長山串(チャンサンゴッ)という岬があるが、そこから15キロほど南下すると、白翎島(ペンニョンド)という島にたどり着く。実はこの島、韓国領だ。韓国の仁川(インチョン)から200キロ離れているが、北朝鮮までは十数キロという極めて特殊なロケーションにある。 また、夢金浦(モングムポ)の海水浴場管理所の保衛指導員(秘密警察)とその家族、そして朝鮮人民軍(北朝鮮軍)を除隊したばかりの人1人という、乗組員の顔ぶれも問題を大きくした。 この保衛指導員は、船に