戦後史家・有馬哲夫氏が新たに公開された機密文書から戦後秘史を読み解く『SAPIO』の連載。今回は、「原発の父」こと正力松太郎氏を操ったCIA職員について有馬氏が綴る。 * * * 長官や副長官などを除いてCIA職員の姓名や身元を明かすことはアメリカの法律で禁じられている。したがって、アメリカの公文書はCIAの外国人アセット(*1)や協力者についての情報は公開するが、彼らと接触したCIA局員のものは公開しない。 【*1:IAが当該国で工作などに利用する人物。たとえば緒方竹虎や野村吉三郎なども。本人が利用されていると知っている場合と知らない場合がある】 ただし、ごくまれに、彼らの情報が公開されてしまうケースがある。彼らが裁判や議会で証言を求められた場合だ。 とくに、後者の場合は、秘密機関に所属していたことはあまり考慮されない。 ダニエル・S・ワトソンが1977年に姓名と身元を明かすことになった