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ブックマーク / tosche.net (6)

  • Toshi Omagari | Metro Nova前編

    私の初めてのMonotypeからの新規書体であるMetro Novaが発売されました。これはMetroというサンセリフ体のリバイバル、つまり復刻です。今回はこのMetroとMetro Novaについて前編(歴史)と後編(デザイン)に分けて話をしようと思います。 まずは現行のデジタル版Metroをご覧ください(上)。基的にはFuturaに似ていますが、小文字のステムに斜めカットが入っていて(a b f i j t などなど)、よりカリグラフィ的で動きのある書体になっています。大文字だと特に目立つのはQでしょう。そういった特徴のおかげで、またMetro発売当時のLinotype鋳植機にFuturaがなかったので、特にアメリカで人気の書体でした。日での認知度はほとんどありませんが、とてもファンの多い書体です。NIVEAやExpediaはMetro(のカスタム版)を制定書体またはロゴとして用い

  • Toshi Omagari | Metro Nova後編

    Metro後編では、Novaのデザインについて話したいと思います。Metroがどういう書体なのかは前編をご覧ください。書体の復刻には理由が必要で、すでに同じ書体がデジタル版としてある場合は尚更です。Metroの場合は全くデジタル化されてないバージョンがあったから(しかもそれが大変魅力的である)というのが最も大きな理由ですが、それ以外にも様々な設計の見直しを図りました。Metroは一見すると特に問題のない書体ですが、使用するライノタイプ鋳植機にはさまざまなデザイン上の制約がありました。まずはユニット・システムです。各文字は規定の字幅に合わせてデザインされなければいけません(全角を12分割するユニット。例えばiは3ユニット、nは5ユニットなどなど)。等幅ほどキツい制約ではありませんが、それでも字幅が必ずユニットの整数倍になってないといけないのはやはり難儀です。 そして各ウエイトやイタリックを混

  • Toshi Omagari | コンペのタダ働き問題

    ロゴなんかのデザインコンペを見たときに、なにやら不公平な印象を抱いたことはありませんか。その違和感には名前があるんです。英語圏でのデザイン業界ではspeculative work、略してspec work(スペックワーク)という言葉があります。これは支払いが未確定な仕事、もっと言えばタダ働きの可能性が濃厚な仕事という意味で、特にデザインコンペに対してよく使われる言葉です。 その例を挙げてみます。あなたは企業主で、会社のロゴやウェブサイトなどのビジュアルを誰かに依頼したいとします。そこでコンペということにして多くの参加者を募り、最も優秀なものを選び、その作品に報酬を与えます。こうすることで依頼一件分の予算でたくさんのアイデアを集めることができるわけです。 それでは何故これが間違っているか、また別の例で説明します。あなたはお腹が減っています。そこでいろんなシェフに声をかけて料理を作ってもらい、

  • Toshi Omagari | 単語と言語

    あんまり時事ネタを書くのは趣味ではありませんし(そもそもブログ自体が習慣になってないし、この記事も2か月近く放置していたものの再利用…)、他の方も散々書かれていることだとは思いますが、五輪ロゴの審査について自分も思うところがあったので書きます。私は英国に住んでいるのでこの問題が日のマスメディアでどう扱われているかは分かりませんが、ネットの情報を見る限りではロゴに対する認識がその来の役割とズレているのでは、と感じました。ここで扱うのはロゴの役割なので、純粋にデザイン的な側面から佐野研二郎さんのロゴについて私見を書きはしますが、その出自は題と関係ないので扱いません。今回はテーマ別の二立てです(後編はこちら)。 オリンピック大会に個性を与えるために重要に要素の一つがデザインですが、その規模ゆえにロゴを作れば一丁上がりというわけにはいきません。会場の標識システム、テレビ、ウェブ、ポスター、

  • Toshi Omagari | BubbleKern

    Let me talk about kerning. Well, I was going to write a boring history of kerning in digital type design and its problem, but I think anyone who has done kerning before is aware of them already so I dropped that section. Basically it’s still in the same mentality of metal type with rectangle body, so cumbersome and time-consuming that most of us find it boring, though it’s not that we undervalue i

  • Toshi Omagari | ドイツからやってきた書体制作ソフトGlyphs

    え~、Arialの後編を期待されていた方もいらっしゃるかもしれませんが、それはさておいて今回は書体制作ソフトのお話です。後編はそのうちやりますから。 グラフィックデザインや文字組版では専らAdobeのCreative Suiteを使うのと同様に、書体デザイン業界ではFontLabというソフトほぼ一択となっています。もちろん他に選択肢がないわけではありませんし、和文書体のデザインでは伝統的にURWという会社のIKARUSというソフトが使われていますが、それは企業専用のようなもので、一般ユーザーに手が出る金額ではなく操作も非常に複雑だと聞きます(訂正歓迎)。FontLabも慣れるまでは非常に難しいソフトではありますが、その廉価版とも言うべきFontographerは日語にも対応していて初級~中級者用としてはうってつけの存在と言えます。 欧米では先に挙げたFontLabの他に、これのアップデー

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