小学五年生の次女は、エレベーターとエスカレーターの区別がつかない。昇降する箱と昇降する階段。それは分かっている。でもどっちがエレベーターでどっちがエスカレーターなのか、とっさに答える事ができないらしい。 英語を得意とする長女の「エスカレーションだからエスカレーターって覚えればいいんだよ』というインテレクチュアルなサジェストはブリリアントにスルーされていた。残念だけどエスカレーションと言われて日本国民が思い浮かべるのは、昇降する階段ではなくともさかりえさんのデビュー曲の方だ。 ここはわたしの出番かと、満を持して「ウチがいつも乗るのがエスカレーターだよ」と教えてあげた。我が家はエレベーターに乗らないので。次女は「なるほどね」と得心したような口ぶりだったけど、多分ピンときていない。わたしがこないだ大澤誉志幸さんの『そして僕は途方に暮れる』を聴かせた時と同じくらい途方に暮れた顔をしていた。 こうい