いま話題の件だが、ことの是非以前に、深夜に速攻でサイモンヴィーゼンタールセンターに通報し、非難声明を出させたのが日本の防衛副大臣であることに大きな衝撃を受けている。政府の人間なら、国外の団体に通報するまえに、まず五輪組織委員会に調査と対応を指示するべきではないのか。
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はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) epub版 右クリックでダウンロード 読者のみんなは、ぼくに深く感謝するがよいのだ。これはそれだけの価値がある、すごい本だからだ。 この短い本に収められた叡智のすごさは、ちょっと比類がない。第1章は、彼の限定合理性理論のまとめであると同時に、自分でその限界をバシバシ指摘したおっかない部分。2章は、進化論について一般人の知るべき事を、とんでもなく高度な話まで含めて網羅している。第3章では、1982年の時点で地球温暖化の話にすでに目配りしてあるのに驚くし、また最後に出てくる、各種経済学派のちがいは唯一、期待形成の
TEDで大人気になったトークや、著書『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う』で有名なサイモン・シネック。成功する会社とそうでない会社の違いや、ビジョンやパーパスの重要性を説く彼は、アメリカをはじめ世界中でリーダーシップを学ぶ多くの人々から支持を得ている。 彼の提唱するスタイルは「サーバントリーダーシップ」と呼ばれるもので、21世紀のリーダー手法として取り入れている企業も多い。 今回は冒頭のトーク以外にも数多くの素晴らしいスピーチを行っているサイモン・シネックから、リーダーシップに関しての12のポイントを、動画と共に学ぼうと思う。 1. 世界最強チームメンバーに共通する特徴とは?会社が成長するには優れたチームが必要になる。しかし、どうすれば優れたチームを生み出すことができるのか?そこで彼が注目したのが世界最強と言われるアメリカ海軍のエリート部隊、ネイビーシールズだ。 彼は実
サイモン・レン=ルイス「財政再建に励んでも債務対GDP比が下がらない理由,そして,政治家たちが見当違いなタイミングで財政を引き締めがちな理由」(2023年4月18日) 「財政再建に取り組むべし」(公共支出削減や増税をすべし)という主張の理由として,しばしばこういうことが言われる.「債務対GDPの比を下げるのに必要だからだ」 ――だが,なるほど財政再建のためのさまざまな方策を打てば公共部門の債務は減少する見込みが大きいものの,同時に,GDP も減少させることになる見込みも大きい.だから,債務対GDPの比への影響は定かでない.IMF が公開したばかりの研究によれば,過去の証拠に照らして見ると,財政再建が債務対 GDP 比にもたらす影響は,平均で見て無視できる程度(i.e.実質ゼロ)なのがうかがえる. さらにその研究を詳しく見てみると,緊縮支持派にとっていっそう悪い研究結果が出ていることが見てと
[Simon Wren-Lewis, “How most of the West got the pandemic so badly wrong?” Mainly Macro, May 4, 2021] 近頃は,そうそう大したことでは驚かなくなっている私だが,OECD 諸国の大半が今般のパンデミック対応で失敗したのには愕然とした.とはいえ,ジョンソンのイギリス,トランプのアメリカ,ボルソナーロのブラジル,モディのインドの成り行きに愕然としたわけではない.こうした国々が失敗する理由は,あまりに歴然としていた.なにより,パンデミックが始まる前から,「イギリスは人命を救うために経済を制限することから手を引く国になるべきだ」と,ジョンソンは考えていた.そうすることで,イギリスは世界経済でなんらかの大きな優位を得られるだろうというのが,彼の思惑だった.これによって国民保健サービス (NHS) が陥っ
2024年3月26日、データベース管理システムのPostgreSQLの開発やデータサーバーソリューション会社の2ndQuadrantの立ち上げに携わったソフトウェア開発者のサイモン・リッグス氏が亡くなりました。 PostgreSQL: Remembering Simon Riggs https://www.postgresql.org/about/news/remembering-simon-riggs-2830/ First picture of pilot who died in crash at Duxford aviation museum https://www.telegraph.co.uk/news/2024/03/27/plane-crash-imperial-war-museum-duxford/ 'Truly great' Bedfordshire man named
英国の歴史家サイモン・セバーグ・モンテフィオーリの著書は48ヵ国語に翻訳され、世界的なベストセラー作家としても知られる。著作の主なテーマは彼の専門であるロシアで、これまでエカテリーナ2世、ロマノフ家、ヨシフ・スターリンなどの伝記を執筆してきた。 1500ページにわたる大作となった新著『世界——人類の家族史』(未邦訳)では、先史時代からウクライナ戦争に至るまでの人類史上において絶大な影響力を誇ってきた一族や王朝を分析している。 そんなモンテフィオーリが、古代ローマの後継問題からプーチンとの秘話、北朝鮮の金一族についてまでスペイン紙「エル・ムンド」に語り尽くした。 ——世界の家族史の大家であるあなたに、ご自身の家族史について伺います。あなたの先祖は1492年にスペインを離れたセファルディー(スペイン系ユダヤ人)ですが、具体的にはどちらの出身だったのでしょう。 私が調べたところによると、コルドバ
以前 テレビで紹介していた詩。 詩の内容は確か・・・ ー 僕は宇宙服を着る。 宇宙服を着ていれば安心。 窮屈だけれど脱ぐわけにはいかない。 ひとたび宇宙服を脱ぐと息が出来ない。 生きてはいけない。 ー こんな感じです。 確かに宇宙に出たら宇宙服は必須ですがここでいう宇宙とは私たちを取り囲む社会。 宇宙服はその社会との関わりを遮断する壁のことでそれがあるからこそ自分だけの世界が守られている。 ひとたびその壁を失くすと自分の世界が侵食され壊れてしまう。 確かこんな解釈でした。 傷つく事を恐れるあまり社会との関わりを断ち自分の殻に閉じこもってしまう。 実に繊細な心の持ち主なんですね。 いつか宇宙服が必要なくなるといいなぁ。 この詩の作家さんも本のタイトルも不明です。 記憶をたどって調べたのですが見つかりません。 正直この解釈で良かったかどうかも段々自信が無くなってきました。 もしかしたら私個人の
はじめに 数日前に、サイモン『人間活動における理性』の海賊訳を公開したら結構みんな喜んでくれて幸甚。 cruel.hatenablog.com が、これを実際に読んでくれた人でも、結構苦労しているらしい。 note.com でてくる用語として、馴染みのないものが結構ある、というのがつまづく原因となっているみたいだ。扱っている範囲が野放図に広くて、経済学の効用理論の話が認知心理学みたいな話に逸れつつ、そこから進化論の話に入って、それが制度論だのメディア論だのに飛び火して、という代物だから仕方ないといえば仕方ない。 が、実際にでている話はそんな面倒なことではない。馴染みのない用語の大半は、無視していいものばかり。ゲーデルとか、アリストテレスとかね。 そういうのはただの、インテリの符牒だから気にしなくていい。「アリストテレス云々」というのは、古来の正統派学問の伝統でずっと、という意味でしかない。
[Simon Wren-Lewis, “It makes no economic sense to keep shrinking the state without changing what the state is meant to do,” Mainly Macro, November 1, 2022] 前任のクワーテンによる法人税減税を取り消して所得税減税を無期限延期すると,新財務相のハントが発表した.その一方で,国民健康保険料の増額取り消しは取り消さなかった.これを受けて,「緊縮 2.0」の論議がずいぶんと盛んになっている.将来にありうる公共支出の削減に「緊縮 2.0」というラベルを当てはめるのが好ましいかというと,私はあまり自信がない.2010年以降になされた公共支出削減を「緊縮」と呼んだのは,いくらか理にかなっていた.というのも,よりによって景気循環の間違った時期に公共支出を
[Simon Wren-Lewis, “Now is not the time?” Mainly Macro, April 20, 2020] このポストは4月19日付 Sunday Times 記事の前に書かれた文章で,あの記事を踏まえて少し書き換えてある.政府がおかしたとくに深刻な失敗は,事態を追いかけて見ている人たちなら誰でも知っていたことだ.この記事では時系列をおいかけるのではなく,なされた失敗の種別に注目する. 「いまはその時ではない」というフレーズは,このところよく耳にする(ただし疑問符なしで).このフレーズを口にしている人たちの全員というわけではないが,いまの政権に共感している人たちがこう言っているのが目立つ.「後知恵で『ああすればよかった』という話をするのはいまではない,それよりも人命を救うことに集中する必要がある」と彼らは言う. この言い分に一理ある理由はおわかりだろう.
ハーバート・アレクサンダー・サイモン (Simon, Herbert Alexander) ハーバート・アレクサンダー・サイモン (Simon, Herbert Alexander) サイモン著作リンク一覧 サイモン著作一覧 Wikipedia サイモン著作リンク一覧 コンピューターと経営 (O.ティード共著 宮城浩祐, 椙岡良之 訳. 日本生産性本部, 1964) 経営行動(松田武彦, 高柳暁, 二村敏子 訳. ダイヤモンド社, 1965/新版 松田武彦 [ほか]訳. ダイヤモンド社, 1989/ 新版 二村敏子, 桑田耕太郎, 高尾義明, 西脇暢子, 高柳美香 訳. ダイヤモンド社, 2009) システムの科学 (倉井武夫, 稲葉元吉, 矢矧晴一郎 訳. ダイヤモンド社, 1969/稲葉元吉, 吉原英樹 訳. ダイヤモンド社, 1977/新版 稲葉元吉, 吉原英樹 訳. パーソナルメ
[Simon Wren-Lewis, “Fiscal policy during and after the coronavirus pandemic,” Mainly Macro, December 1, 2020] 先日行われたこのセミナーに触発されたのもこの記事を書こうと思ったきっかけだが,同時に,The Resolution Foundation から出たこの見事な論文にも触発された.長文失礼.だが,とりあげるべき事柄が多いのだ. この記事は5パートにわかれる.最初のパートでは,過去10数年に財政政策の理解がどう発展してきたかに目を向ける.パンデミック下で財政政策をどう実施すべきかを考えるのに,この点は必須の背景知識だ.2つ目のパートでは,パンデミック下の財政政策支援に目を向ける.3つ目のパートでは,大衆がワクチンを接種した結果としてパンデミックが実質的に終わったときから,経済が完
ハーバート・A・サイモンって個人的にとても好きなんだけれど、こないだふと『意思決定と合理性』という短そうな本を手にとったら、いやあ、唖然としてその後ワナワナするくらい翻訳ひでえわ。 意思決定と合理性 (ちくま学芸文庫) 作者:ハーバート・A. サイモン発売日: 2016/01/07メディア: 文庫 このひどさについては、アマゾンのレビューでさんざん書かれている通り。ちゃんと自分で読んで意味がわかるように訳せよー。 あまりに腹がたったので、原書を買って冒頭部を自分で訳しはじめてしまったわ。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』 冒頭十ページほどだけど。アマゾンレビューで具体的に挙げられている問題箇所は含まれてる。細かい話ではあるけど、そんなわかりにくい言い方は何もしていないと思うんだけどなー。 タイトルは、理性じゃなくて合理性にしたほうがいいかな。やりながら考える。最後まで続くか
[Simon Wren-Lewis, “The economic effects of a pandemic,” Mainly Macro, March 2, 2020] 10年少し前,医療の専門家たちから連絡をもらった.なんらかのインフルエンザ・パンデミックが発生した場合の経済的な影響を知りたいのだという.彼らが必要としていたのは,一般均衡での影響を見るためのマクロ経済モデルだった.1990年代に,私は小さなチームを率いて,COMPACT というモデルを構築していた.連絡をくれた専門家たちと私で論文を1本書き,のちに Health Economics に掲載された.論文では,それまでになされていた他の研究も参照している. 目下のコロナウイルス感染拡大は,私たちが研究したパンデミックとは特徴が異なっているだろうし,そもそもパンデミックにならないならそれにこしたことはない.(死亡率で見ると,
10年くらい前に下北沢のセレクトショップでサイモンミラーのデニムをおすすめされた。 値段は30,000円もして、当時の自分には踏み込んだことのない価格帯。 デニム界で名を馳せるサイモンミラー 氏が作ったというこのデニムは、履いてみるとシルエットがすごくきれいで、やはりいいものは高いなぁと実感した。 加えて、 ・日本(岡山)産のデニムを使っている ・セルビッジという、古い織機を使い生地の端から切り出すといったこだわりの証がある(その時は赤耳という呼び方も教えてもらった) ・アメリカ製🇺🇸 などなど推しポイントをたくさん聞き、結局かなり思い切って購入。 それから、履くほどに洗うほどに風合いを増していくデニムはすっかりお気に入りになった。 5〜6年ほど履いた頃、そろそろ2本目が欲しくなり件のセレクトショップに向かうも、すでに取り扱いは終わっているとのこと。 ネットで色々調べてみると、どうやら
頭と仕事をシンプルにする 思考整理50のアイディア 【本の概要】◆今日ご紹介するのは、昨夜記事にしたCCCメディアハウスさんの「新社会人のための大セール」の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。 「文字が赤い」ことを低評価の理由に挙げているレビューがありますが、その後Kindle版は更新されたのか普通に黒字になっていますので、その点はご安心ください。 アマゾンの内容紹介から。50の「シンプルノート」でパンク状態から完全に解放される。会議、メール、やる気、スケジュール、スマホ、決定、デスク、ノイズ、マルチタスク…etc.「シンプルノート」を実践に移していくうちに、自分の考えが落ち着き、それまで困難に思えた状況に余裕をもって向き合えるようになるだろう。 「60%OFF」という高めの値引率のおかげで、Kindle版が600円以上お買い得です! FlickrFriday: Keep it Simp
[Simon Wren-Lewis, “Quantitative Easing (creating money) is fine during a recession, as long as it goes alongside effective fiscal stimulus,” Mainly Macro, July 27, 2021] 誰もが知っているように,イングランド銀行のような中央銀行はお金を創出している.このことを指して,「中央銀行がお金を刷る」と言ったりもする.だが,現実に中央銀行がお金を創出したいとのぞんだ場合には,市中銀行が保有する「準備金」という 一種の電子的なお金を中央銀行がつくりだすことで,それをなしとげる.量的緩和とは,中央銀行が準備金を創出して自国政府の債券を買う場合を言う. 短期金利が下限に達しているなかでの景気後退期に,中央銀行はそうやって政府の債券を買う.
[Simon Wren-Lewis, “Who still thinks austerity was a good idea?” Mainly Macro, April 7. 2020] 〔こんな新聞記事を想像してみよう〕もうすぐ2020年も秋を迎える.検査/追跡・隔離の新体制がとられ,一部地域がときおり封鎖されている.これはうまくいっているようだ.経済は,第2四半期に前年比 30% の GDP 下落のあとに回復し始めている.だが,この景気回復はメディアが伝えているものとは異なる.GDP の減少と政府による支援策実施にともなう当然の帰結として,政府の財政赤字は大幅に増えた.メディアはもっぱらこの赤字について語っている.こうしたメディアの懸念に対応して,政府は今後5カ年にわたって政府支出を削減すると公表する.ただし,国民保健サービス (NHS) は「守られる」とのことだ. 政府支出削減のくだ
サイモン・レン=ルイス「財政再建に励んでも債務対GDP比が下がらない理由,そして,政治家たちが見当違いなタイミングで財政を引き締めがちな理由」(2023年4月18日) 「財政再建に取り組むべし」(公共支出削減や増税をすべし)という主張の理由として,しばしばこういうことが言われる.「債務対GDPの比を下げるのに必要だからだ」 ――だが,なるほど財政再建のためのさまざまな方策を打てば公共部門の債務は減少する見込みが大きいものの,同時に,GDP も減少させることになる見込みも大きい.だから,債務対GDPの比への影響は定かでない.IMF が公開したばかりの研究によれば,過去の証拠に照らして見ると,財政再建が債務対 GDP 比にもたらす影響は,平均で見て無視できる程度(i.e.実質ゼロ)なのがうかがえる. さらにその研究を詳しく見てみると,緊縮支持派にとっていっそう悪い研究結果が出ていることが見てと
[Simon Wren-Lewis, “The two sides of austerity,” Mainly Macro, January 25, 2021] 『フィナンシャル・タイムズ』が〔財政政策に関する〕過去の誤りを認めたのをきっかけに,世間の議論で見落とされやすい論点を述べておこうと思う.イギリスで2010年からごく最近まで継続されて人々を苦しめた緊縮はひどいものだった.それには,2種類の理由がある.第一に,政府支出の削減(国家規模の縮小)は,たんに無駄を削ぐどころではなく支出をあれこれと切り詰めて紛れもない苦しみを引き起こした.この点に,大半の人々は関心を集中させている.第二に,マクロ経済に関わる理由がある.景気後退期に政府支出を削減するのは,けっしてよい考えではない.しかも,金利がゼロ下限にあるときに政府支出を削減したのは,災厄だった. この2点の区別をはっきりさせるために,
サイモン・シネック さん著書の『「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。』を読みました(*^-^*)📚 組織コンサルタントの著者さんが、人を奮い立たせる50の言葉とキレイな絵を通して、 『「一緒にいたい」と思われるリーダーになる』ための方法が、やさしく指南してくださる一冊です。 言葉が人を育む。大人を勇気づける絵本です★ ふとした言葉に思わず奮い立った。 そんな経験はありませんか? 本書は、リーダーシップにとって大切なことを、 50の言葉とキレイな絵を通して、やさしく説いていく内容が書かれています。 染み渡る。 この言葉がピッタリだと感じる良書です。 親が子どもに読み聞かせるように、職場で読み継ぎたい。 きっと、あなたもそう思われることでしょう。 言葉は、人を育てます。 言葉の質が高いほど、その分だけ人も育ちます。 このことを、うまく体現している一冊。 収録されている50の言葉を吸収し
サイモン・レンルイス「アメリカでいまにもインフレスパイラルが始まるという話についてどう考えるべきか」(2021年6月7日) [Simon Wren-Lewis, “How should we think about talk of an impending US inflationary spiral?” Mainly Macro, June 7, 2021] 2013年に,イングランド銀行のカンファレンスで私が講演をしていたときの話だ.イギリス経済は,3年にわたって景気が急激に悪化していた.講演の詳細は思い出せないが,イギリス経済には財政刺激が切実に必要だ,また緊縮を繰り返してはいけない,という話をしていた.そのとき,非常に著名な学者で,とある中央銀行にも勤めていた経歴の持ち主が,こんな話を言い出した――インフレが起こって,インフレ予想の「タガが外れる」恐れがある.これに返答して喋ってい
[Simon Wren-Lewis, “Sado-populism,” Mainly Macro, August 21, 2021] 「サド・ポピュリズム」は,ティモシー・スナイダー(イェール大学歴史学教授)の用語だ.2017年に公開された連続ミニ講義の第4回で用いられた.おそらくこの講義はトランプ当選に触発されている.最近になって,The New European の Alastair Campbell によって,この用語はイギリスで広まってきている.彼は,「サド・ポピュリズム」を EU離脱とジョンソンに当てはめている.この記事では,金権政治ポピュリズムに関する私じしんの議論にサド・ポピュリズムの概念を関連づけたい(金権政治ポピュリズムについては,たとえばここを参照). なにより些末な相違点は,用語法だ.スナイダーが語っているのは,寡頭政治の話であり,トランプ時代の合衆国がどんな寡頭政
Pete Carr追悼 6月27日に70歳で亡くなったピート・カーを追悼して何曲かかかりました。 ピート・カーはスタジオ・ミュージシャンとして一部でよく知られたギタリストだそうです。1970年代アラバマのマッスル・ショールズでいい仕事をして、ドウェイン・オールマンと並んで個性的なギターを弾いた人と言われているそうです。 Bob Seger「Mainstreet」 ピート・カーの代表的な演奏で、ボブ・シーガーが1976年に出したアルバム『Night Moves』に収録されています。 Night Moves アーティスト:Seger, Bob 発売日: 1999/12/07 メディア: CD Rod Stewart「It’s Not The Spotlight」 ピート・カーが関わった中で最も有名なアルバムであるロッド・スチュワート『Atlantic Crossing』の収録曲。ただこのアルバ
いったんインフレ率は上がったものの,また下がってきている.イギリスにかぎらず,ほぼあらゆるところでインフレ率が下がってきている.このことから,マクロ経済学はどんな教訓を学べるだろうか.そして,どんな問いがなおも残るだろう? けっきょく,〔インフレは供給の混乱からくる一過性のものだと主張した〕「チーム一過性」の言い分は正しかったのだろうか?各国の中央銀行の利上げは遅すぎたのだろうか? また,いざ利上げを始めたときには,急速に引き上げすぎたのだろうか? 本論の前に準備段階でとりあげるべき論点は,生活コストの問題ではない.ある期間にインフレ率が上がって再び下がるとき,その期間の起点に比べて終点の物価はずっと高くなる.自分たちが味わったインフレに見合うだけの所得増加がなかった人たちは,以前よりも悪い状態になってしまう.それも,おそらくは大幅に悪化する.〔パンデミック以前から〕すでに生活の収支を合わ
夜の雨の音と 川の流れの音を聞きながら クランベリーの入った 微かな酸味のクッキーと 冷たいお茶をそばに置き パソコンを開く。 いつもの夜のように 冷たい風が窓から入ってくる。 昼間の暑さが夢のようだ。 咲き誇っていた アメリカンワイルドフラワー。 次々へと咲き続けた小さな花達も 盛りが過ぎ 小さな黄色の花が二つ。 学校は 夏休みが始まったばかりなのに 私は 植物や花に 夏の終わりを感じ 朝の光に 秋の始まりを感じるのだ。 今 ラジオから流れて来る 大好きな サイモンとガーファンクルを聴いて思う。 彼らの曲は 決して夏の曲ではないなと。 秋と冬を思う 知的な曲。 昼間の暑さの疲れを忘れさせる 私にとっての清涼剤の様な曲だ。
[Simon Wren-Lewis, “Why it is crucial to understand why financial markets move, rather than worry about the role of markets in aiding the downfall of a Chancellor and perhaps a Prime Minister,” Mainly Macro, October 18, 2022] 〔※サイモン・レン=ルイスの長文記事を2回に分けて掲載します.本論に続く「補論」(Appendix) はこちら.〕 はじめに メディアはときに金融危機を利用して,昔の宗教指導者たちによる自然災害利用とだいたい同じことをやる.大勢のトレーダーたちの行動の結果として市場は動く.トレーダーたちはそれぞれに異なった考えをもって行動していて,その関心はもっ
認知症の母と暮らす日々のなかで、 自分自身の「認知症の予防と対策」のために、 「子供の頃大好きだった曲のリスト」を作っています 認知症に効果があるこの方法については、ご興味があればこちらもご覧ください↓ www.aiaoko.com エレーン!!! さて、 私の場合の、「忘れられない映画ベスト10」に必ず入る映画は1967年の「卒業」です この映画自体を、認知症になった私に見せてくれたなら、どんな反応をするでしょうか たくさんの曲が流れるので、映画自体のストーリーにはついていけなくても、見つづけることができるのではないかと期待します 昭和な茶の間で、ともに数々の映画をテレビで観た母は、もう映画を見つづけることができなくなってしまいました 映画の筋に、ついていけないのですね でも、マイペースでなら、新聞を読んだり、本を読んだりしています 映画「卒業」 ダスティン・ホフマンもよかった アン・バ
[Simon Wren-Lewis, “Some myths about government debt and how it is financed,” Mainly Macro, April 14, 2020] 先週の木曜(4月9日)にイングランド銀行が対政府貸付機関 Ways and Means Facility の上限を一時的に撤廃したことが,少しばかり物議をかもした.今回の上限撤廃により,事実上,イングランド銀行は今回の危機に当たって必要なだけのお金を政府に貸し付けられるようになった.これがああいう物議をかもすのを見るに,政府債務をめぐる多くの神話がどれほど世間に定着しているのかがよくわかる.そうした神話のうち,おなじみの例を3つとりあげよう. 神話 #1: 景気後退や医学的なパンデミックのような経済危機が展開中かどうかは問題ではない.経済危機であろうとなかろうと,政府債務にいま
サイモン・レン=ルイス「インド変異株がイギリス国内に広まったのは,コロナウイルスと暮らす必然的な結果か?」(2021年5月17日) [Simon Wren-Lewis, “Is the spread of the Indian variant in the UK an inevitable result of living with COVID?” Mainly Macro, May 17, 2021] 迅速に手を打つ COVID-19 のインド変異株 (B.1.671.2) は,いまやイギリス各地にかなり定着してしまい,急速に広まってきている.北東部の感染者数は増加中で,とりわけ若年層で急激だ.この変異株についていま何がわかっていて,どう感染拡大しているか(インドから来た感染者を除外)を詳しく分析した話を読みたいなら,Christina Pagel (@chrischirp) をフォロー
[Simon Wren-Lewis, “Why has UK real wage growth been so low?” Mainly Macro, June 20, 2022] このところ,国内の労働市場が売り手市場になっている期間が続くなかで,イギリスの実質賃金は下がっている.このことに驚きを示している人たちもいる.(この売り手市場は,失業率が上がり始めるとともに終わりをむかえるかもしれない.) 今年4月までに,固定給(賞与を除外)の1ヶ月当たり平均収入の実質水準は,こういう推移をたどってきた(消費者物価で実質化してある): この数値の水準は,パンデミックが原因で2020年に少しばかり混乱した.だが,最近の実質賃金の低下は十分に現実的だ.ここには,固定給よりも消費者物価インフレの上昇が反映されている.この4月に,消費者物価インフレ率は,固定給の伸びを上回って 3% 以上に達した. 「
フリーな音楽 The Edgar Winter Group「Free Ride」 1973年にエドガー・ウインター・グループのシングルとしてリリースされ、全米チャートのトップ15にランクインした曲。「さあ、僕と一緒に自由に行こう!」と歌われていて、アメリカのフリーウェイを自動車やオートバイで疾走しているようなスピード感に溢れている1曲。 They Only Come Out at Night アーティスト:Winter, Edgar Sbme Special Mkts. Amazon Deniece Williams「Free」 1976年リリースされたデニース・ウィリアムスのファーストアルバムに収録されている彼女の代表曲。「私らしく自由に生きたい」と歌われております。デニース・ウィリアムスはアース・ウィンド・アンド・ファイアーのカリンバ・プロダクションから世に出たソウル系アーティストなの
個人の(課税後の)所得水準の比較は、余暇、投資、公共財を無視しているため、相対的な豊かさの指標としては部分的なものに過ぎません。そのため、相対的な豊かさの指標としては、生産性の水準の比較が相対的な所得水準よりも優れている可能性があります。 かつて経済学者ポール・クルーグマンは、一国の生活水準を長期的に改善していくには「生産性が全てではないが、長い目で見れば、生産性が殆ど全てである」と言いました。私は、レゾリューション財団〔低中所得世帯の生活水準改善を目的とする、英国のシンクタンク〕の最近の研究を用いながら、少しだけ意味の異なる、それぞれの国の豊かさの違いを何が決定するのかという問題を検討していきます。答えは 〔クルーグマンの主張と〕とてもよく似ていますが、重要な修正があります。 クリシャン・シャーとグレゴリー・スウェイツによるレゾリューション財団のレポートでは、イギリスの生産性と家計あたり
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