現在、ミイラは大切に保護されているが、昔からずっとそうだったわけではない。かつてエジプトのミイラはヨーロッパの人々によって、学術的な研究のためではなく、実用的であり娯楽的なことに利用されてきた。 15世紀からエジプトのミイラは貿易商によりヨーロッパに持ち込まれ、奇跡の薬として使用されたり、芸術作品の顔料として使用された。 さらに18世紀になると、上流階級の人々の間で、自宅でミイラの棺を開ける開封パーティーが行われるようになり19世紀には大人気となったそうだ。 かつてミイラは奇跡の治癒力がある薬とされていた 15世紀始めより、商人たちは、エジプトからヨーロッパにミイラを輸入して儲ける「ミイラ貿易」を行っていた。 当時ヨーロッパでは、防腐処理された遺体には、この世のものではない、奇跡の治癒力があると信じていたようだ。 ミイラには、古代世界で治療効果があるとされた物質、「瀝青(れきせい)」が含ま