『こんな世の中に誰がした? ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために』(上野千鶴子 著)光文社 かつてないほど温かく優しい語り口で、現代女性の状況を見渡し、最新の論点を的確にまとめた新著『こんな世の中に誰がした?』は、長く日本の女性学を牽引してきた上野千鶴子さんによる基調講演にして、次世代へのバトンのような一冊だ。副題はずばり、「ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために」。本書が生まれた経緯を聞いた。 「ある女性編集者から、どうしても、と口説き落とされたんです(笑)。彼女は当時、40代のシングルマザーで、ここまで苦労して生きてきた、そんな自分が今、読みたい本を作りたい、と言う。そこにやっぱり女性のライターが加わって、女3人のざっくばらんなおしゃべりから、だんだん現在の構成に整えていきました」 章立ては、「仕事」「結婚」「教育」「老後」の4つ。未だ解消されない男女の賃金格差の