脳のなかの天使と刺客: 心の健康を支配する免疫細胞 作者:ドナ・ジャクソン・ナカザワ白揚社Amazon近年、『「うつ」は炎症で起きる』などうつ病をはじめとした精神疾患と身体的な炎症の関係性が(一般向けの本でも)注目を集めるようになったが、本書『脳のなかの天使と刺客』も、そうした流れに連なる最新のノンフィクションである。 長年、病気が人の体を襲っても脳だけは立入禁止区域であるとみなされてきた。体で炎症が起こっても脳には関係がないのだと。体の場合炎症して腫れ上がるが、脳の場合は膨らんでも行き場がないからその発想も直観的には正しいように思える。だが、2011年頃から、脳も体の炎症から影響を受けるのではないか? と神経・免疫科学者は考えるようになり、実際それが正しいことが次第に判明しつつある状況である。 脳内の白血球 体の炎症と脳の関係性について、鍵を握っているのが「ミクログリア」と呼ばれる細胞だ